共同調達で県全域のデジタル化を推進。滋賀県が動く
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共同調達で県全域のデジタル化を推進。滋賀県が動く

2021.09.16 Thu

県主導の共同調達によって、スピード感を持ってデジタル化を進める滋賀県。「時間や場所を問わない行政サービス」を県全域で実現するにあたり、県はどのように共同調達を進め、実際にどのような効果が出ているのでしょうか。聞き手:本山 紗奈(Govtech Trends編集部)

左から、総合企画部 情報政策課 地域デジタル化連携推進室 主事 森野 聖久氏、主任主事 岡部 浩樹氏

共同調達で、県内全域のデジタル化をスピードアップ

——共同調達の狙いを教えてください。

当時、県内におけるほとんどの市町で、行政手続きに対するデジタルの活用が進んでおらず、住民の利便性向上や職員の負荷軽減の実現に向けて、デジタルの活用が喫緊の課題となっていました。そこで県全域におけるDXを加速するために、県の主導による共同調達を行いました。

——県で共同調達を行って、感じているメリットを教えてください。

共同調達による一つ目のメリットは、県民にとって利便性の高いデジタルサービスの迅速な実現です。共同調達に参加した各市町間で、有用な活用事例を共有することで、県全体の行政サービスレベルを迅速に向上できます。

二つ目のメリットは、行政デジタル化のスピードアップです。県から各市町に対して、システムに関する詳細な調査結果や評価を提供することによって、各市町はより効率的に、短期間で検討を進められます。

三つ目のメリットは、各市町の調達にかかる事務負担の軽減です。各市町で個別に調達する場合は、基準を設けたり選定したりする必要があります。一方、共同調達によって、県があらかじめ選定した、要件を満たしているサービス事業者を利用できるため、仕様書の作成や評価といった調達に関わる業務を削減できます。

四つ目のメリットは、コスト削減です。共同調達によって各市町が個別に利用する場合よりも、数割程度の費用削減につなげることができました。

滋賀県では、県が調達したサービスを各市町が共同で利用することによって、県民の利便性向上、デジタル化のスピードアップ、事務負担軽減、コスト削減を実現。

共同調達の前に実証実験を行うことで、各市町はイメージ通りに導入

——共同調達をはじめる前には、どのようなステップを踏んだのでしょうか。

共同調達の前に、実証実験を行いました。2019年7月に設立した「スマート自治体滋賀モデル研究会」での検討を経て、2020年10月にモデル自治体の3市で「Graffer スマート申請」「Graffer 手続きガイド」を試験導入する共同調査研究事業を実施。利用者アンケートやデータにもとづく効果検証を踏まえて開始に踏み切りました。実証実験を経て使い方、機能等を整理したことによって、イメージと乖離がない状態で導入を進めることができました。

2019年に設立した滋賀モデル研究会を背景に、2020年に共同調査研究事業を行ったうえで、2021年4月から共同で利用を開始した。

——最終的に、どのような製品を共同調達したのでしょうか。

オンライン申請サービス「Graffer スマート申請」、オンライン手続き案内サービス「Graffer 手続きガイド」、自治体の窓口予約サービス「Graffer 窓口予約」を共同調達しました。各市町におけるデジタル化を目指して、各製品の活用をはじめています。

県は、研修等を通じて各市町をサポート

——各市町での利用はどのくらい進んでいますか。

既に8市が共同調達に参加しており、今後も増加予定です。各市町に一律利用をお願いする方法ではなく、任意で参加を呼びかけています。各市町の優良事例を共有しながら、県全域のデジタル化を加速していきたいと考えています。(更新:2022年1月現在、10市町が共同調達に参加しています)

——県では、各市町の利用をどのようにサポートしていきますか。

市町同士の情報交換に加えて、今後は研修等も実施したいと考えています。「Graffer スマート申請」「Graffer 手続きガイド」「Graffer 窓口予約」は、SaaS型(※)のシステムのため、効果が出た事例があれば取り入れることができます。

——先行事例を真似しやすいということですね。

そうですね。先行導入した市町の事例を受けて、デジタル化が進むことを期待しています。

——今後は、どのような取り組みを行う予定でしょうか。

オンライン申請をはじめとしたデジタル化が県全域で加速するように、各市町に対して情報を提供していきたいと考えています。さらに、相談会や幹部職員向けセミナーを企画して、継続的に市町のDXを後押しする予定です。

(※)SaaSとは
「SaaS」とは、「Software as a Service」の略で、各自治体がそれぞれソフトウェアを開発・利用するのではなく、全自治体がインターネットを経由して共同利用するサービスです。

文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)

滋賀県が取り組む県全域のデジタル化には、オンライン申請サービス「Graffer スマート申請」、オンライン手続き案内サービス「Graffer 手続きガイド」、自治体の窓口予約サービス「Graffer 窓口予約」が利用されています。費用や導入期間については、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。

滋賀県

人口:
141.36万人(令和2年国勢調査)

導入サービス:
Graffer スマート申請
Graffer 手続きガイド
Graffer 窓口予約