スーパーファストパス導入先進自治体として内閣府から認定
——スーパーファストパスに対応したシステムの仕組みを教えてください。
古川:「Graffer スマート申請」と「Graffer 手続きガイド」を組み合わせて活用することによって、スーパーファストパスへの対応を実現しました。
早期支給を希望する市民は、まず「Graffer 手続きガイド」を使って、自身が支給対象かどうかを判定します。対象の場合、そのまま「Graffer スマート申請」でオンライン申請を行います。
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一気通貫したシステムで、給付の判定から申請までをスムーズに行うことができる。
——どのような流れでスーパーファストパスへの対応を決めたのでしょうか。
古川:もともと武雄市では、令和5年にデジ田交付金を活用する形で、グラファーのシステムを全庁で導入していました。このシステムを組み合わせることによって、スーパーファストパスへの対応が実現できるのではないかと考えたのがきっかけです。そこで給付対象かどうかを判定するサービスを追加導入する形でスーパーファストパスに対応しました。デジ田交付金の活用については、南九州市の事例を参考にしました。
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企画部 デジタル政策課 課長 古川 慎治氏
——今回の取り組みは、内閣府からの認定にもつながっていますね。
古川:スーパーファストパスの導入先進自治体として内閣府から認定を受けました。新藤経済再生担当大臣(当時)と自見内閣府特命担当(地方創生)大臣(当時)から認定証と盾を授与されたことは、大変光栄なことです。より早期に給付金の支給を受けたいと考える市民に向けて、利便性の高い仕組みを提供できたことが評価につながったと考えています。
参考:内閣府「デジタルによる先進的給付事務(スーパーファストパス)大臣認定式」
最短3日での支給を実現
——スーパーファストパスへの対応によって、どのような効果がありましたか。
古賀:最短2週間だった、給付金の受け付け開始から支給までの期間を、最短3日にまで短縮することができました。これまでは市民から「一刻も早く給付金を給付してほしい」という問い合わせが寄せられることもありましたが、スーパーファストパスに対応したことによって、このような要望に柔軟に対応できるようになりました。
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受付開始から支給までの大幅な期間短縮につながっている。
——市民サービスの向上につながっていますね。
古賀:給付金事務にかかる職員の負担は大きく、過去には振り込みまでの期間が想定よりも遅れたケースもありました。しかし、今回の取り組みで給付金を早期に受け取れる環境を整えたことで、市民サービスを向上させることができたと考えています。
——市民からはどのような反響がありましたか。
古賀:市民からは「助かった」「分かりやすかった」などポジティブな声が寄せられています。給付金の対象判定からオンライン申請までの一連の流れがスムーズにつながるシステムを構築できたことが、満足度につながっているのではないかと思います。従来型の書面での手続きに比べて手間が削減されている点も評価につながっています。
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市民からは多くのポジティブな声が集まっている。
——職員の業務にはどのような変化がありましたか。
古賀:これまで手作業で入力していた申請情報がデータで取り込めるようになったため、入力ミスが削減されました。市民からの問い合わせも減少しており、職員の業務負荷軽減につながっています。
——職員にとってのメリットにもつながっているのですね。
古賀:導入当初は、オンラインのシステムに不慣れだったことから「ついていくのがやっと」という意見もありました。しかし、市民からのポジティブな反応が職員のモチベーションの向上につながったことで、次第に「やってよかった」という反応も出てきました。取り組みを重ねる中で、担当課からは「次もオンラインでやるんだよね」という声も聞かれるようになり、デジタル化が前向きに受け入れられる様子がうかがえます。
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企画部 デジタル政策課 デジタル推進係 係長 古賀 大揮氏
工夫を重ね、よりスムーズな運用を実現
——スーパーファストパスの対応を今後検討していく自治体のために、より具体的に、準備の流れを教えてください。
古賀:給付金の詳細が決定した段階で、まずはオンライン申請フォームを用意します。武雄市では、紙の申請書をベースに独自のフォームを用意しています(※)。
(※)「Graffer スマート申請」で用意されているテンプレートを活用することも可能です。
あわせて、給付金の対象かどうかを判定するためのページを作成します。「Graffer 手続きガイド」のテンプレートを活用し、武雄市にあわせた微調整を行っています。
——システムの準備にはどのくらいの期間がかかりましたか。
古賀:初回はシステム準備に2週間ほどかかりました。しかし現在では、過去に作成したものを修正する形で対応しているため、数時間で準備が完了しています。
——スーパーファストパスの開始後、ファストパスへの切り替えタイミングについては、どのように運用していますか。
古賀:支給要件確認書が市民の手元に届くタイミングで、スーパーファストパスの判定ページへのリンクを削除し、ファストパスに誘導しています。なお、HPへのスーパーファストパスの記載については、文章自体を削除するのではなく、取り消し線で見え消しにするようにしています。
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非常にスムーズな流れで準備〜運用を行っている。
——支給要件確認書の到着のタイミングはどのように計算しているのでしょうか。
古賀:支給要件確認書を郵便局から送る際、一番早く市民に届くタイミングを確認しています。そのタイミングを基準にして、スーパーファストパスからファストパスへの切り替えを行うことで、より適切なタイミングでの切り替えを実現しています。
——市民にとって分かりやすい画面となるように、工夫したことはありますか。
古賀:判定ガイドに納税通知書のイメージ画像を、申請フォームに支給要件確認書のイメージ画像を貼り付けることによって、市民が判断に迷わないように工夫しました。視覚的に分かりやすく表現することによって、対象者以外の市民が誤って申請するトラブルはこれまでに発生していません。
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分かりやすい画面となるように工夫を重ねている。
地元紙への掲載が周知のカギに
——スーパーファストパスへの対応で、一つの懸念となるのが市民への広報です。武雄市ではどのように周知を行ったのでしょうか。
古賀:市報や市公式HP、市公式LINEなど、複数の媒体を活用して周知を行いました。その中でも特に効果が大きかったと感じるのが地元紙への掲載です。
——地元紙にはどのような流れで掲載に至ったのでしょうか。
古賀:記者クラブに対してスーパーファストパスの件を案内した際に、地元紙である佐賀新聞の記者が興味を持ってくれました。その結果、紙面で大きく取り上げられ、多くの市民にアクセスしてもらうことができました。
今後はオンライン申請のさらなる浸透に取り組んでいく
——今後はどのようなことに取り組んでいきますか。
古賀:今後もスーパーファストパスの取り組みを通じて、市民サービスをさらに向上させていきたいと考えています。
また庁内では、徐々にオンライン申請に興味を持つ課が増えてきていると感じており、この流れをさらに加速させたいと考えています。具体的には、オンライン申請を市民にとってより利用しやすい選択肢の一つとして提供すると同時に、デジタル化の恩恵を多くの方々に届けていきます。そのために、デジタル化の障壁となるアナログ規制の解消にも取り組み、市民の利便性をさらに向上させていきたいと考えています。
取材・写真:柏野幸大・東 真希 / 文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)
武雄市が取り組む、デジ田交付金を活用したスーパーファストパスへの対応は「Graffer スマート申請」「Graffer 手続きガイド」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。
グラファー Govtech Trends編集部
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