プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える
グラファーは、誰もが等しくテクノロジーの恩恵を受け自由を享受することができる社会の実現に向けて
避けては通れない社会課題の解決に挑戦し続けます。
Message
「優れた企業があまたあるなかで、グラファーという企業の何が特別なのか?」
創業者である私の頭の中を離れないこの問いに対して、いまならこう答えられます。
「グラファーは、社会課題を探索し、『これだ』と思うものを見つけたら、その課題を解決するために全メンバーがコミットし、結果を出すまでやり切る会社である。事業領域や社会課題をあらかじめ定めて事業活動を行うのではなく、『我々はどんな領域で事業活動をすべきか?』という問いを考えるところから組織的に取り組み、組織的に結果を出す会社である。」
グラファーの祖業は、行政サービスのデジタル変革事業(Govtech事業)です。事業の立ち上げから6年ほどで、当社が提供する行政サービスのデジタル変革プラットフォーム「Graffer Platform」は都市部を中心に200近い地方自治体に導入され、4,000万人以上の人々を対象にサービスを提供するまでに成長しました。
これだけの実績を短期間であげているにも関わらず、実は私を含む創業チームのなかに、行政領域で仕事をした経験があるメンバーは誰もいませんでした。それどころか、私が起業を決意したとき、行政領域で事業をしようとすら考えていませんでした。創業時に出資をしていただいた投資家の方から、「日本の行政サービスの非効率や不便を解消することに大きな社会的意義があるのではないか」と問いかけられ、その言葉に共鳴してこの領域を選びましたが、私たちがこの領域で成功できる確かな根拠があったわけではありません。
他社をみれば、行政領域で事業を立ち上げるスタートアップの創業チームはほとんど例外なく、公務員として勤務した経験があるか、官公庁や自治体を相手にビジネスをした経験がある人たちで構成されています。
行政領域で仕事をした経験のないまったくの「素人集団」だったグラファーが、Govtechスタートアップとして日本で最も早く成長した会社の1つになったのはなぜなのか。これが、グラファーという会社を考えるときの最大のポイントになります。
いま、我々は生成AIを活用したビジネス変革支援事業(Enterprise事業)を立ち上げ、急速な成長を実現しています。Govtech事業と同様、この事業は私自身が発案したものではなく、当社のメンバーが「いまの日本企業にはこのようなサービスが必要なのではないか」と発案したところから始まった事業です。
現在、生成AI活用ソリューションである「Graffer AI Solution」は、日本を代表する大企業や学校法人、自治体など多くのお客さまに導入いただいております。この成果は、グラファーで働くメンバーの組織的な働きによってもたらされたものであり、創業者である私は、この成果の一部にささやかながら貢献しているにすぎません。
ここでも、私たちは必ずしも「生成AIの専門家集団」ではありませんでした。しかし、「生成AI技術を活用して企業の生産性を高めることが、私たちの社会をより豊かな場所にすることにつながる。この機会をポジティブに活かせなければ、私たちの社会は停滞から免れない」という課題意識・危機意識から、チームの力を結集して成果に結びつけています。
そのほか、リリース後1年で47万人ユーザーに使われるに至ったウェブサービスである「お悩みハンドブック」は、1人のメンバーが自身の困難に直面した経験をもとに企画したプロダクトです。病気や障害、家庭環境、経済苦など、様々な困難に直面する人を支援する制度はたくさんあるのに、それを見つけ、使いこなすのが難しい――そうした課題意識に共鳴して立ち上げた事業ですが、このプロダクトによって実際に人生を前向きに変えられた、というユーザーの皆様の声もたくさん耳にしています。
私は、自分自身の考えを強烈に打ち出して組織を率いるタイプの人間ではありません。そうではなく、この社会で様々な課題に直面し、それを解決しようと考えている人々の声を聞き、それに共鳴した上で、課題解決に取り組むためにチームと社会を動かすことに力を注いでいます。
グラファーは様々な社会課題の解決に挑んでいますが、どれも共通しているのは、「人と組織の課題を解決することで、社会に価値をもたらす」という考え方です。行政機関がデジタルサービスを使いこなすにも、企業が生成AIを使いこなすにも、あるいは一人一人の市民が様々な支援制度を使いこなすにも、多くの困難や障壁があります。そうした困難や障壁をなくしていくことで、人々はより自由で豊かな時間や、多くの選択肢を手にすることができるはずです。
私たちは、相互に無関係な複数事業に取り組む会社ではなく、人間にとっての自由や豊かさを実現するために、それを阻害する要因を解消することに取り組む会社です。私たちは常に、テクノロジーそのものではなく、テクノロジーを使う側である人や組織にまつわる普遍的な問題に着目して仕事をしています。どんな社会課題に取り組むときも、人や組織が直面する困難を乗り越える支援をしようとするスタンスはまったく変わりません。
以上のような事業活動は、グラファーで働くメンバーの多様性によってはじめて成立します。それは、個々のメンバーがそれぞれ多様であることだけではなく、一人一人のメンバーが人生のなかでぶつかってきた多様な経験にも支えられています。
私自身、医学部で脳の研究に携わったこと、著述家として様々な本を出版してきたこと、ウェブサービスの開発・運営を担ったこと、投資家としてスタートアップの成長を支援したことなど、様々な職種・職能を経験するなかで、「様々な仕事に共通することは何か」を考えるようになりました。多様な経験があることの最大の利点は、様々な事柄に共通する重要な点を見抜けるようになることなのです。
グラファーでは、多様なメンバーの多様な経験を結集することで、多様で混沌とした事物の連続のなかから「本当に大切なことは何か」を見抜き、本質的で重要な問いを立てて仕事をすることを重視します。このような組織文化を維持・発展させることで、今後も長期的に成長を続けていきたいと考えています。
株式会社グラファー 代表取締役・創業者
石井大地