姫路市が、要介護認定の進捗確認をデジタル化。月40時間以上の業務削減
姫路市介護保険課では要介護認定の進捗状況に対する事業所からの照会をデジタル化。システム活用することによって、1カ月あたり40時間以上の業務削減を実現しました。
デジタル化によって月40時間以上の問い合わせ対応業務を削減
——姫路市介護保険課が活用している、要介護認定の進捗確認ができるシステムは、どのような仕組みですか。
谷垣:要介護認定の申請から認定までのステータスがひと目で確認できる仕組みです。ログインして必要な情報を入力すると、認定の予定日などが確認できます。個人情報に配慮したシステムのため、安全に利用することができます。
24時間いつでも、要介護認定の申請の進捗状況を照会することができる。
——システムを導入することで、職員の業務にどのような効果がありましたか。
増田:月40時間以上の業務削減につながりました。要介護認定の申請に関する進捗状況のお問い合わせは、平均して1日に120件以上、対応時間は1件あたり1分程度です。問い合わせに付随して別の用件が発生することもあるため、対応時間がさらに延びることもあります。しかし、システムを通じて申請の状況が確認できるようになったことによって、問い合わせの件数を大幅に削減することができました。
月あたり40時間以上の業務削減につながっている。
——他には、デジタル化する前と比較してどのような違いがありますか。
谷垣:以前は、照会の電話があるたびに業務の中断が発生していました。しかし、現在では、電話件数が大幅に減少し、より業務に集中しやすい環境に変化しました。削減された時間は他の業務に充てられるようになり、大きな効果を感じています。
介護保険課 係長 谷垣 佳昌氏
ケアマネジャーからは「使いやすい」の声
——実際にシステムを利用している、事業所のケアマネジャーからはどのような反応がありましたか。
相川:事業所のケアマネジャーからは、「使いやすい」「土日・祝日も関係なく照会できるのがありがたい」といったポジティブな声が届いています。
利用者からは好意的な反応が届いている。
導入検証時のアンケートでも、9割以上が「このシステムを導入してほしい」と回答しており、使い勝手のよいシステムになっていると感じています。
——ケアマネジャーから、操作方法が分からないといった声はありませんでしたか。
相川:操作は非常に簡単で、1件あたり1分もかからず照会できるため、これまでに「難しい」といった声をいただいたことはありません。まれにシステムログイン時のIDとパスワードを忘れてしまったという質問はありますが、ウェブ上ですぐに再発行の申請ができるようになっています。
介護保険課 主任 相川 智美氏
——実際の運用において、ケアマネジャーが照会を行えるようにするために、例えば、要介護認定の申請者本人の同意を得るようなフローがあるのでしょうか。
相川:要介護認定の申請書に、進捗状況の照会に対する同意の項目を追加しています。この項目にチェックと署名を記入してもらうことによって、ケアマネジャーが本人の代わりに進捗状況を確認する同意を得ています。
要介護認定の申請書で、照会の同意を取ることができる。
メールやホームページを通じて事業所に広報
——ケアマネジャーに対してどのように広報を行いましたか。
谷垣:メールや市のホームページを通じて、ケアマネジャーが所属する事業所への広報を行いました。システムの稼働後に電話で照会があった場合には、電話口で回答するのではなく、システムを案内するようにしています。
介護保険課 主事補 増田 龍人氏
——結果として、どのくらいの事業所に使われていますか。
相川:姫路市内ほぼすべての事業所がシステムを通じて照会を行っています。システムを導入する前は、「今までどおり電話で照会したい」という意見がないかといった不安もありましたが、実際には、多くの事業所に活用いただいています。
市民と職員双方にとってよりよい仕組み作りを目指す
——今後はどのような取り組みを行っていきますか。
谷垣:今回の取り組みを通じて、市民満足度の高い仕組みを構築することができました。また、職員の視点からも、業務の見直しを通じて、迅速な要介護認定の実施のために費やす時間を確保できたと感じています。今後、高齢化が進むにつれて、要介護認定の申請数は増加することが見込まれます。引き続きデジタル技術を適切に活用することによって、市民と職員双方にとってよりよい仕組み作りを目指してまいります。
取材・写真:柏野幸大 / 取材・文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)
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