野洲市健康推進課が取り組む、検診手続きのオンライン申請
国内事例

野洲市健康推進課が取り組む、検診手続きのオンライン申請

2022.01.14 Fri

滋賀県野洲市では、「COPD検診受診券再発行の申請」「がん検診無料クーポン再発行の申請」といった検診手続きに、オンライン申請を活用。オンライン申請を、電話や郵送による受け付けと比較すると、市民の利便性向上や職員の業務負荷軽減につながっているといいます。

滋賀県野洲市:50,513人(令和2年国勢調査)

電話対応による事務負担が課題となっていた

——オンライン申請の導入前には、健康推進課として、どのような課題を感じていましたか。

富澤:電話対応による事務の負担や、確認漏れの発生を課題に感じていました。健康推進課では、乳児から高齢の方まで、多くの事業を取り扱っており、担当職員以外がすべての検診の受診条件や必要項目を把握するのは簡単ではありません。従来は、電話に出た職員がメモを取って担当職員に渡すといった方法で受け付けていましたが、必要な項目の確認漏れが発生することもあり、何とか改善できないかと考えていました。

健康推進課 専門員 富澤 加奈子氏

——担当職員以外が電話で受け付ける場合には、どのくらいの時間がかかりますか。

富澤:電話での問い合わせにかかる時間は、1件あたり5〜10分ほどです。市民の方は、相談のような形でお電話をくださる場合が多くあります。要件を伺うだけではなく、状況に応じて受診すべき検診や必要な手続きを案内するため、一定の時間がかかります。

オンライン申請を導入すると、3分の1がオンライン申請を利用

——市民サービスや事務業務に課題感を感じていた中、オンライン申請を導入してみて、どのような変化がありましたか。

大黒:「COPD検診受診券再発行の申請」の受け付けをオンラインで行ったところ、約3分の1がオンラインで申請を行いました。例年は、電話および窓口で申請を受け付けていますが、今回は多くの方がオンライン申請を利用しました。

申請全体の約3分の1にオンライン申請が利用された。

——オンライン申請を周知するためには、市民に対する広報施策も重要だと感じています。今回、広報はどのように行いましたか。

大黒:対象者に郵送する勧奨通知に、オンライン申請の案内を加えました。勧奨通知の目立つ位置には、申請ページにリンクする2次元コードを配置して、より簡単に申請ができるように工夫しました。2次元コードについては、「Grafferスマート申請」の中の2次元コード作成機能を活用しています。LGWAN内で2次元コードが作成できるため、無害化処理を行う必要がなく、より手間なく作成できました。このような対応によって、市民の利用が向上したことを受けて、市民への周知はホームページで行うだけではなく、それぞれの通知にしっかりと入れることが大切だと感じました。

勧奨通知の目立つ位置に2次元コードを配置して、オンライン申請の利用を促進した。

——約3分の1の市民がオンライン申請を利用したということは、それだけ、窓口や電話で対応した市民が減ったということですね。オンライン申請の導入によって、事務業務の軽減にはつながりましたか。

大黒:電話や窓口で受け付けていた申請が、オンラインに変更された分に関しては、単純計算で事務の軽減につながったと考えています。

富澤:オンラインへの移行が進めば、その分だけ市民サービスの向上に向けた取り組みを行う時間の確保につながります。電話によるお問い合わせや窓口での対応がすべてオンラインになることは考えていませんが、周知が進むにつれて、少しずつ、業務に変化が出てくるのではないかと感じています。

健康推進課 主査 大黒 清夏氏

市民からは「電話よりも気軽に手続きできてよかった」の反応

——オンライン申請を利用した市民の方からは、どのような反応がありましたか。

大黒:COPD検診の受診再勧奨の通知送付後、翌々日には再発行のオンライン申請がありました。18時以降の夜間の受け付けも多く、必要項目を入力していくだけで済むので、「電話よりも気軽に手続きできてよかった」と感じてもらえたのではないかと思います。

——市民サービスの向上につながっていますね。他に印象的だった申請はありますか。

大黒:本人の代理で、遠方に住む家族がオンライン申請を利用したケースがありました。従来であれば郵送で申請を行っていただいていたため、対応までに数日かかっていましたが、オンライン申請の場合には、お電話の後、1時間もかからずに申請が届きました。スピーディな対応につながったことで、市民の利便性向上につながったと感じています。

オンライン化は情報システム課の全面サポートで推進

——オンライン化プロジェクトの進め方に関しては、自治体によって違いがあるかと思います。野洲市の場合には、担当課と情報システム課で、どのように役割を分担しましたか。

松井:野洲市では、担当課が制度や申請書の情報を提供し、情報システム課が申請フォームのひな型の作成を行いました。プロジェクトの進め方については、たしかに自治体によって考え方が異なる部分だと思います。野洲市では、庁内で調整を進めている中で、このような分担であれば担当課の負担も少なく、オンライン化が進めやすいと判断しました。

情報システム課 主任 松井 淳悟氏

——情報システム課が申請フォームのひな型を作成されているのですね。

松井:担当課にヒアリングを行ったうえで、情報システム課が申請書の様式をベースに申請フォームのひな型を作成しています。電子申請システムとして利用している「Graffer スマート申請」は直感的に操作ができて、条件分岐の設定等ができるため、フォームを作成するのが楽しいと感じています。オンライン化を推進することによって市民の方にも喜んでいただけたためうれしく思います。

共同調達のメリットは、調達負荷の軽減・コストメリット・情報共有

——市民サービスの向上や事務の軽減につながっているオンライン申請を導入するきっかけとなったのが、県によるシステムの共同調達ということでした。共同調達についてどのようなメリットを感じていますか。

松井:共同調達によって、調達事務の削減や、コスト削減、他市との情報共有ができるメリットを感じています。特に、他市との情報共有ができる点に大きなメリットを感じています。

——自治体間では、どのような情報交換を行っているのでしょうか。

松井:オンライン化の進捗や課題の共有などを行っています。申請フォームの共有も進んでいます。最近では例えば、近江八幡市に「国民健康保険被保険者証の再発行手続き」等に関して、オンライン申請のフォームを提供していただきました。「Graffer スマート申請」を共同で利用することによって、新しい手続きを取り入れる障壁が低くなっている点がよいと感じています。

参考:滋賀県の共同調達に関する詳細事例『共同調達で県全域のデジタル化を推進。滋賀県が動く

目指したのは、市民サービスの向上と職員の業務負荷軽減の両立

——オンライン申請をはじめたきっかけは何だったのでしょうか。

松井:県の共同調達を一つのきっかけとして、オンライン化の取り組みをはじめました。市民サービスの向上に向けて、課題感を持っていたため、共同調達を機にデジタル化に取り組みたいと考えました。

——オンライン申請の導入前には、どのような課題があったのでしょうか。

松井:開庁時間に来庁が難しい層への市民サービスを課題に感じていました。開庁時間や庁舎の場所は限られているため、すべての市民が来庁するのは、簡単ではありません。実際に市民からのお問い合わせメールが夜間に届くことも多く、ニーズがあると感じていたため、時間外に申請や対応ができる仕組みを用意したいと考えていました。

今後はさらにオンラインに対応した手続きの増加や広報に取り組む

——今後はどのようなことに取り組む予定ですか。

松井:市民への広報にさらに力を入れていきたいと考えています。担当課と連携を取りながら、広報誌やリーフレット、チラシへの掲載や、市民へのプッシュ型の通知を通じて、オンライン申請ができることを広報していきたいと考えています。

——手続きに関して、次はどういった手続きをオンライン化する予定でしょうか。

松井:オンラインと親和性の高い、子育て関連の手続きを中心に、様々な手続きのオンライン化に取り組んでいきます。オンライン化する手続きの優先順位としては、まずはオンラインだけで完結する申請を、次に添付書類が必要な申請や、より複雑な条件の申請といったイメージで、範囲を拡大していきたいと考えています。「Graffer スマート申請」には多くのテンプレートが備わっているため、テンプレートをうまく活用しながら、効率的にオンライン化を進めていきます。

取材:柏野 幸大、本山 紗奈、東 真希 / 写真:野手 咲芳 / 文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)

野洲市が取り組む、検診手続きのオンライン申請は「Graffer スマート申請」によって実現できます。導入時は、優良事例を取り込んだテンプレートを活用可能です。費用や導入期間については、 無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

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