GOVTECH TRENDS

グラファーがお届けするデジタル行政の最新情報メディア

2022.01.20 Thu

【DX推進 デジタル化のヒント】佐世保市DX推進室「事務担当課が情報提供、DX推進室がフォーム作成」

全庁的なデジタル変革を進める長崎県佐世保市。令和4年度までに「地方公共団体が優先的にオンライン化すべき手続き」および年間申請件数100件以上手続きのオンライン化を目指すDX推進室では、担当課が申請書などの情報を提供し、DX推進室が申請フォームを作成する分担で進めています。分担の背景にはどのような発想があるのでしょうか。

長崎県佐世保市:243,223人(令和2年国勢調査)

【DX推進 デジタル化のヒント】佐世保市DX推進室「事務担当課が情報提供、DX推進室がフォーム作成」

【1. 計画】令和4年度までに「地方公共団体が優先的に推進すべき手続き」および年間申請件数が100件以上の手続きについてオンライン化を進める

——佐世保市では、どのような計画でオンライン化を進めていますか。

平松:庁内で実施した棚卸し調査を行った結果をもとに、令和4年度までに「地方公共団体が優先的に推進すべき手続き」および年間申請件数が100件以上の手続きについてオンライン化することを目指しています。すでに個別の業務システムなどでオンライン化が完了している手続き以外に関して、順次オンライン化を進めています。

【2. 手続きの選び方】優先順位を設けて順に対応

——オンライン化の対象とする手続きの優先順位の考え方について伺いたいと思います。最も優先する手続きはどのように絞り込みましたか。

平松:最も優先する手続きは、令和2年に策定された「デジタル・ガバメント実行計画」および「自治体DX推進計画」を参考にして絞り込みました。デジタル・ガバメント実行計画の中の「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続」、自治体DX推進計画の中の「特に国民の利便性に資するオンライン手続」のうち、佐世保市がまだ対応していない手続きを優先することとしました。

——次に優先する手続きは、どのように選定しましたか。

平松:次に優先する手続きとして、年間申請件数が100件以上の手続きを対象としました。棚卸し調査で回答のあった、年間100件以上の手続きに関しては、すべてをオンライン化する方針です。

——「優先する手続き」に該当しない手続きは、どのような方針で対応していきますか。

平松:本来はすべての手続きをオンライン化することが望ましいのですが、一度にすべてをオンライン化することは難しいため、申請件数が少ない申請については、担当課の業務負荷を検討したうえで、順次対応していきたいと考えています。

佐世保市では、優先順位を明確にしてオンライン化を進めている。

【3. 担当課との調整、進め方】担当課が情報を提供、DX推進室がフォームを作成する分担

——計画をスムーズに実行するうえでは、DX推進室と担当課との調整が一つのポイントとなってくるかと思います。佐世保市ではどのように役割を分担したのでしょうか。

平松:担当課が、制度に関する情報や申請様式の提供、構築後のテストを実施。DX推進室がヒアリングを行ったうえで要件を整理し、申請フォームの作成や修正を行っています。

——担当課とDX推進室で、このように役割分担を行ったのはなぜですか。

平松:限られた期間の中で、オンライン化に対応することを優先したためです。佐世保市では、これまで図書の貸し出し予約や電子入札といった手続きでのオンライン化に対応していましたが、その他の申請については未対応でした。デジタル変革に向けた庁内のハードルは比較的高い状況だったため、まずはDX推進室が申請フォームの作成を担うこととしました。

——現状を踏まえて、初期段階ではDX推進室が申請フォームの作成をリードする進め方を採用したということですね。申請フォームの作成には負荷がかかりませんか。

平松:申請フォームの作成は、慣れれば30分もあればできるものが多くあります。項目数にもよりますが、修正の場合にも、多くは10分ほどで完了します。作成する数が多いと一定の負荷はかかりますが、オンライン化の取り組みとして必要な作業のため、丁寧に進めています。

——申請フォームの作成は、どのようなフローで進めるのでしょうか。

富永:担当課からのヒアリングで得た情報をもとに、DX推進室がおおよその申請フォームを作成します。そこから担当課が内容を確認して、2、3回往復の修正を行って完成します。

左から、総務部 DX推進室 富永 愛美氏、平松 純一氏、係長 金ヶ江 佐代子氏

——今後も引き続き、DX推進室が申請フォームを作成していく予定でしょうか。

平松:全体の状況にあわせて、柔軟に対応していく予定です。申請フォームを作成する役割を担当課に移行していくことも視野に入れています。オンライン化が進み、市民からのオンライン化へのニーズが増えていけば、オンライン申請に対する全庁的な取り組み方も変化してくると思います。

——全庁的なオンライン化を進めるには、担当課の協力が欠かせません。担当課の負荷を下げたり、オンライン化に取り組みやすくしたりするために、どのような工夫を行っていますか。

平松:オンライン化を進めるにあたっては、担当課に向けた説明会を実施しています。説明会の中でオンライン申請の画面を直接見てもらったり、テスト申請を実際に行ってもらうことなどにより、取り組みが進むように工夫しています。

——担当課の協力を得ることが難しく、課題を感じる自治体も多いと伺っています。うまくいった方法などがあれば教えてください。

平松:本市も試行しながらではありますが、オンライン化の説明をする際に、申請画面のサンプルを見せるのは、やりやすい方法と感じています。担当課と共通したイメージがない中で話を進めるよりも、目の前にサンプルがあった方が実現の障壁が低くなるためです。

——実際にオンライン申請に取り組んだ担当課からは、どのような反応がありましたか。

金ヶ江:担当課からは、「DX推進室にリードしてもらえるのが大変ありがたい」という反応がありました。市民サービスの観点で、窓口や郵送でしか申請ができないことに課題を感じている担当課も多くあります。押印廃止の流れもあり、申請件数が多い課や業務負荷が大きい課に対しては、オンライン化の取り組みが進めやすい状況になっていると感じます。

参考:佐世保市消防局の事例『消防に関する届出のオンライン化を進める佐世保市「急な出動の場合に受け付けが困難」を解決』

【4. 市民の反応】申請フォームにおける様々な工夫によって、市民からは「簡単にできた」の声

——オンライン申請を利用した市民からの声で、印象に残っているものはありますか。

平松:市民からは「簡単にできた」など、オンラインのメリットを評価する声がありました。今後、住民票の請求や転出届など市民により身近な手続にオンライン申請を拡大することによって、より幅広い意見が集まるのではないかと考えています。

——「簡単にできた」というのはうれしい声ですね。市民にとって、より簡単で、使いやすい申請フォームを作るために、工夫したことはありますか。

富永:申請フォームを作成する際には、できるだけ、パソコンやスマートフォンで入力しやすいフォームを心がけました。例えば、申請書の項目をある程度まとめたり、表現方法を変えたりといった工夫を行いました。「条件分岐機能(※)」を活用して、質問項目を可変式にすることによって、不要な設問には回答しなくてよいようにすることにも配慮しました。条件分岐を適切に使うことで、申請間違いの削減にもつながるため、今後も活用して改善を重ねていきたいと考えています。

(※)「条件分岐機能」とは
条件分岐機能とは、回答した内容によって、次に続く設問を出し分けることができる機能です。

【5. 広報の工夫】市民向けに「デジタル活用・体験講座」を開催

——オンライン化の際に重要な観点となってくるのが、市民への広報です。佐世保市では、どのようにオンライン申請の広報を行っていますか。

平松:佐世保市のホームページや公式SNS、市長の記者会見などにおいて行政手続きのオンライン化を広報しています。市のホームページでは、オンライン申請の一覧ページを設けたり、トップページの目立つ位置に配置するなどの工夫をしています。

あわせて2021年度、初めての取り組みとして、市民向け講座「スマートフォンでできる!デジタル活用・体験講座」を開催しました。市民向けの講座を行った背景には、デジタル活用に対する苦手意識のある方々が、苦手意識を払しょくし、デジタルを活用できるようにしていくことが、デジタル活用力を底上げする上で重要であるという考えがあります。

他にも、FMさせぼのラジオ番組に出演し、市民に向けてオンライン申請の取り組みやメリットを紹介する取り組みを行っています。

机の上のノートパソコンを見ている人たち自動的に生成された説明

ラジオ収録時のイメージ(写真はイメージです。佐世保市ホームページから引用。)

——市民向けの「デジタル活用・体験講座」について詳しく教えてください。

平松:「デジタル活用・体験講座」は、市民向けにスマートフォンの操作方法などを体験してもらうことを目的とした市民講座です。スマートフォンの操作や機能の体験に加えて、「デジタルを活用した行政サービス」について紹介を行いました。その取り組みの一つとして、行政手続きのオンライン化についても紹介しています。紹介の中では2次元コードを配布して、テスト申請ができるようにしました。

【6. 今後の展望】計画の推進と改善を並行して進めていく

——今後はどのように取り組みを進めていく予定でしょうか。

平松:計画に基づいてオンライン化を進めていきながら、すでに対応したオンライン申請の改善も行っていきたいと考えています。市民にとってより便利で使いやすいオンライン申請の取り組みを進めていきます。

取材:柏野 幸大、本山 紗奈、東 真希 / 写真:本山 紗奈 / 文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)

佐世保市が取り組むオンライン申請は「Graffer スマート申請」によって実現できます。導入時は、優良事例を取り込んだテンプレートを活用可能です。費用や導入期間については、 無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『Digital Government for the People』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。

GOVTECH TRENDS

presented by

Graffer, Inc.

グラファー「Govtech Trends」編集部

Govtech Trends(ガヴテック・トレンド)は、株式会社グラファーがお届けする、 行政のデジタル化・スマート化に関する最新情報をお伝えするメディアです。

市民中心のデジタル行政サービスを実現しましょう

窓口書類作成、手続きに関する問い合わせ工数の削減、電子申請など、
行政のデジタル化を実現する多様な製品を提供しています。
グラファー製品について詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

詳しく見る   お問い合わせ