9割がオンライン経由になり、事務工数が削減
——大河原町子ども家庭課が進めるオンライン予約は、どのような仕組みでしょうか。
泉:子ども家庭課では、町民が来庁前にオンラインで窓口での手続きを予約できる仕組みを用意しています。町民は簡単な操作で、スマートフォンやPCから24時間いつでも予約することができます。

スマホから窓口を予約することができる。
——具体的にはどのような手続きで、オンライン予約を活用していますか。
芳賀:母子保健係では、母子健康手帳の交付予約や乳幼児相談の予約に、オンライン予約を活用しています。
高橋:児童福祉係では、児童扶養手当や特別児童扶養手当に関する現況届の面談予約をオンラインで受け付けています。

子ども家庭課ではさまざまな予約をオンライン化している。
——導入によって、事務の観点ではどのような変化がありましたか。
武山:児童扶養手当現況届の面談予約については、9割以上の方がオンライン経由で予約するようになりました。これまでは仕事の合間をぬって電話をかける保護者が多く、昼休みの時間帯に予約の電話が集中していました。そのため受付期間中は職員がお昼に席を外すのも難しい状況でした。しかし現在は、予約の大半がオンラインとなったことで、電話対応の負担が大幅に軽減されました。

予約の9割がオンラインになったことで、電話対応の負荷が軽減された。
高橋:面談当日の準備時間も減少しました。紙の台帳で予約を管理していた頃は、来庁者を正確に把握するのに手間がかかっていました。しかし現在はシステム上で必要な条件で絞り込んでCSVデータとして出力できます。当日の朝に予約一覧を出力して、そこから前年度の情報などを効率よく準備できるようになりました。
——母子健康手帳交付の予約については、どのような変化がありましたか。
芳賀:これまでは予約制ではなかったため、来庁者数を事前に予測できず、毎月の交付日には職員3名を配置して対応していました。しかし現在では、予約人数に応じて「少ない日は1名、多い日は3名」といった形で、過不足のない人員配置ができるようになりました。
佐藤:生年月日や出産予定日などの情報を、事前に把握できるようになった点も大きな効果です。来庁前に対象者を特定できることで本人に関する情報の詳細や担当保健師の特定を済ませられるため、来庁当日の検索や確認の時間を取らずに済むようになりました。その分、個別の状況に応じた案内や相談に時間を割けるようになり、より質の高いフォローにつながっています。

オンライン化によって、適切な人員配置が可能となった。
町民からは「電話よりも予約しやすい」などの声
——町民の反応はいかがでしょうか。
芳賀:町民からは「24時間予約できるのが助かる」「思ったよりも簡単に予約できる」などの声が届いています。スマートフォンの操作に不安がある方も一定数いるため、うまく利用できるかという不安もありましたが、実際には多くの方がスムーズに活用されています。
子ども家庭課 母子保健係 保健師 芳賀 美雪氏
佐藤:「電話よりも予約しやすい」という反応もありました。実際の予約データを見ると、深夜・早朝の時間帯に予約が入ることも多く、育児や仕事の合間時間に対応されている様子がうかがえます。
子ども家庭課 母子保健係 保健師 佐藤 友栄まりあな氏
芳賀:また、日本語が母国語ではない方からも好評です。電話での会話には不安があっても、オンライン予約ならWebブラウザの翻訳機能を使って確認できるため、「安心して手続きできる」という感想が寄せられています。
町のDX方針策定が検討のきっかけに
——町民の利便性向上と職員の業務負荷軽減を両立する取り組みですね。導入を検討することになったきっかけについて教えてください。
荒井:令和5年3月に策定した、町のDX方針がきっかけとなりました。高齢化が進む中、これまでと同じやり方で行政サービスの水準を維持するのは年々難しくなりつつあります。
こうした背景から、業務全体をデジタル前提へと転換していく必要があると考え、デジタル政策推進室を設置し、具体的な取り組みとして、町民との接点である窓口業務の見直しに着手しました。導入にあたってはトップダウンで決めるのではなく、庁内で広く情報を発信しオンライン化に移行できる窓口業務を募る形をとりました。そこで手を挙げたのが、今回の子ども家庭課です。
政策企画課 デジタル政策推進室 係長 荒井 早紀氏
町民目線を徹底して、より分かりやすい予約システムへ
——予約システムの構築については、どのように進められたのでしょうか。
泉:ベースとなる設定や画面構築は、デジタル政策推進室が担当し、子ども家庭課と相談・修正を重ねながら、公開に至りました。
——予約システムの画面では、どのような点を工夫しましたか。
佐藤:利用者の負担を軽減するために、入力項目は極力少なくなるように心がけました。例えば、従来は口頭で聞き取っていた内容も、フリーテキスト入力ではなく選択式にすることで、迷わず入力できるようにしています。
高橋:説明文も必要最小限にとどめ、不要な情報は省くことで画面の見やすさを重視しました。その結果、予約システムの使い方に関する問い合わせはほとんどありません。
子ども家庭課 児童福祉係 主事 高橋 まりも氏
——運用開始後は、子ども家庭課で修正を行ったのでしょうか。
芳賀:運用開始後の文言修正などは子ども家庭課で行っています。操作は簡単で、マニュアル等を見ることなく、直感的に操作することができました。特別なレクチャーも不要で、スムーズに運用できています。
——オンライン予約に関する町民への広報はどのように行いましたか。
芳賀:町の公式ウェブサイトをはじめ、子育てアプリ、広報紙、チラシなどを通じて周知しました。
武山:チラシには二次元コードを掲載し、スマートフォンから手軽に予約できるように工夫しています。
子ども家庭課 児童福祉係 主事 武山 有里沙氏
成功事例を広げ、さらなる利便性向上へ
——今後、子ども家庭課ではどのようなことに取り組んでいく予定ですか。
芳賀:出生連絡票についてもオンラインで提出できるようにしたいと考えています。現在ははがきによる手続きですが、出産直後は多忙な時期のため、スマートフォンから提出できれば、町民の負担を軽減できるはずです。
佐藤:導入にあたっては「Graffer スマート申請」の共有フォーム検索機能が活用できるのではないかと考えています。他自治体で実際に使われているフォームを活用することによって、ゼロから作るよりもかなり効率的に導入できると考えています。
武山:その他、子ども医療費のオンライン申請についても検討しています。今後もオンライン化できる手続きがあれば積極的に取り組み、より利便性を感じられるような仕組みを広げていきたいと思います。
木村:私が入庁した時にはすでにオンライン予約が導入されていたため、スムーズに業務に入ることができました。実際に働いてみて感じるこの便利さが、これから取り組もうとしている他の課の方々にも広がっていくと嬉しいです。
子ども家庭課 母子保健係 保健師 木村 柚那氏
高橋:実際の予約データを見ても、早朝や夜中の利用が多く、町民が生活スタイルに合わせて活用していることが分かります。「窓口に出向かなくてもスマートフォンひとつで手続きできる」という価値をさらに広げていきたいと思います。
泉:私たち子ども家庭課は、面談や訪問で席を外すことも多く、デジタル政策推進室の支援なしには今回の取り組みは実現できなかったと感じます。デジタルで効率化できる部分はデジタルに任せて、私たちは専門領域である「人による支援」に集中する。そうすることで、町民サービスをより充実させていきたいと考えています。
子ども家庭課 母子保健係 係長 泉 奈希沙氏
山岸:デジタル政策推進室の「気軽に相談できる体制」も重要でした。「やりたいことはあるがやり方が分からない」という場面で、解決に向けて伴走してもらえたことは大きな支えとなりました。今後も連携しながら取り組みを進めていきたいと考えています。
子ども家庭課 課長補佐兼児童福祉係長 山岸 香織氏
——最後に、全庁的な展望についてお聞かせください。
荒井:DXを進める際、担当課が通常業務と並行して「0から1」の新しい仕組みを作るのは、非常に負担が大きいものです。そこでデジタル政策推進室がフォームの初期構築などを担当し、現場の負担を抑えることで導入を後押ししてきました。今回の子ども家庭課の成功事例をきっかけに、踏み出すことを迷っている他の課にも横展開していきたいと考えています。今後も全庁で連携し、町民の利便性向上に取り組んでまいります。
大河原町が取り組む、予約のオンライン化は「Graffer 窓口予約」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。
グラファー Govtech Trends編集部
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