角田市「1フォームあたり作成に30分」1カ月弱で23種類のオンラインサービスを構築
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角田市「1フォームあたり作成に30分」1カ月弱で23種類のオンラインサービスを構築

2023.03.13 Mon

2022年に1カ月弱で、15種類のオンライン申請フォームと、8種類のオンライン手続き案内を構築した宮城県角田市。その基盤として採用したのが「Graffer スマート申請」と「Graffer 手続きガイド」です。なぜこのような短期間で取り組みを進めることができたのか、担当者に伺います。

テンプレートの徹底活用が短期導入のポイント

——角田市では、1カ月弱で23種類のオンラインサービスを構築されたということですが、どのようなスケジュールで導入を進めたのでしょうか。

坂井:2022年9月頃に「Graffer スマート申請」と「Graffer 手続きガイド」の導入を決定し、その後、担当課がシステムを構築しました。構築を開始したのは11月からで、12月1日にはサービスを公開しました。

総務部 デジタル推進室 デジタル推進係 係長 坂井 佑基氏

——1カ月弱という短期間で23種類ものオンラインサービスを構築されたのですね。どのような体制で取り組んだのでしょうか。

坂井:デジタル推進室係1名と、市民課1名の計2名体制でプロジェクトを進めました。デジタル推進室係では、システム導入のための契約や使い方の把握など全体に関わる部分を担当し、市民課ではデジタル化する手続きの選定やシステムの設定を担当しました。

——市民課では、どのような流れで構築を進めたのでしょうか。

佐々木:オンライン化する手続きを洗い出したうえで、坂井からシステムのレクチャーを受け、設定を進めました。最初に取り組んだ手続きの設定には少し手間取りましたが、二つ目以降の手続きは1手続きあたり30分もかからずに設定できました。

市民福祉部 市民課 市民係 係長 佐々木 愛子氏

——1手続きあたり30分もかからずに設定できたのはなぜでしょうか。

佐々木:「Graffer スマート申請」や「Graffer 手続きガイド」に用意されたテンプレートを活用したためです。
テンプレートをもとに必要な部分だけ変更すればよかったため、難しさは感じませんでした。当初は2023年1月のコンビニ交付とあわせてサービスを開始したいと考えていましたが、想像以上に簡単にできたので、開始を12月1日に前倒しできたほどです。

「Graffer スマート申請」や「Graffer 手続きガイド」には、利用実態がある自治体のフォームをもとに作成されたテンプレートが多く用意されている。それぞれのテンプレートの内容は整理されており、即座に利用できる。

——23種類のサービスは、テンプレートをもとに構築したのですね。テンプレートに対して何か変更を加えましたか。

佐々木:テンプレートをベースにしながら、全体の2割ほどに変更を加えました。例えば、手続きの説明文章や、問い合わせ先、料金体系の設定などについては、角田市にあわせて変更しました。それ以外の部分は、テンプレートをそのまま採用しています。

設定時には「市民にとっての分かりやすさ」を重視

——市民から見て分かりやすいオンラインサービスにするために、工夫したことはありますか。

佐々木:設定の際には、できるだけオンラインで回答しやすいように気を配りました。紙の申請書をそのままオンライン化するのではなく、テンプレートを活用しながら、設問や選択肢の数が少なくなるように工夫しました。

——市民課で申請フォームなどを作成した後、庁内ではどのようなチェックを行ったのでしょうか。

坂井:チェックの際は、スマートフォンで実際に入力しながら、細かい点を確認していきました。市民から見て難しいと感じる部分がないか、表記の分かりにくさや用語の不統一がないかといった点も細かく確認しました。

市民からは「スムーズに手続きできた」の声

——オンライン申請を開始してまだ間もないタイミングですが、利用した市民からは、どのような反応がありましたか。

佐々木:市民からは少しずつ反応が届いています。「スムーズに手続きできた」といった反応を見ると、市民の利便性向上につながっていると感じます。

——職員から何か意見などはありましたか。

佐々木:申請を開始した直後に、何人かの職員が実際にオンライン申請を利用して住民票を取り寄せていました。利用した職員からは「こんなに早く届くとは驚いた」、「意外と簡単にできた」という声が届いています。

——オンラインサービスが始まったことを市民に周知するために、どのような取り組みを行っていますか。

坂井:「角田市デジタル市役所」という特設ページを用意したり、「デジタル化お知らせBOOK」という冊子を全戸に配布したりしました。オンラインサービスを利用しやすくするため、期間限定で基本郵送料を無料にする取り組みも実施しました。

——それぞれの広報施策について詳しく教えてください。

坂井:「角田市デジタル市役所」は、角田市で利用できるデジタルサービスが一覧になったWebサイトです。角田市公式ページの目立つ位置にリンクを配置することによって、市民の目に触れやすいようにしています。

角田市で市民が利用できるオンライン申請や、オンライン手続き案内などが一覧で確認できる「角田市デジタル市役所」。

「デジタル化お知らせBOOK」は、角田市で利用できるデジタルサービスを紹介した冊子です。オンライン申請に加えて、コンビニ交付サービスなどを掲載しており、市民が実際にオンラインサービスを利用する際、分からないことがあったら「デジタル化お知らせBOOK」を確認できるような内容にしています。

——「デジタル化お知らせBOOK」の作成にあたり、意識したことはありますか。

坂井:市民にとっての見やすさを重視して、情報量が多くなりすぎないように注意しました。高齢者から見て分かりやすいかどうかといった点にも配慮しています。

「デジタル化お知らせBOOK」では、サービスの概要や、利用の流れを分かりやすく紹介している。画面イメージを多く配置し、視覚的にも見やすく工夫されている。

今後は、定期的な説明会を通じて全庁を巻き込みながらオンライン化を進めていく

——市民課では、通常業務に加えてオンライン化に取り組まれたということですが、大変ではありませんでしたか。

佐々木:通常業務に加えてオンライン化とコンビニ交付に取り組んでいたので、余裕がある中での業務とはいえませんでした。ただ、いざとなったら坂井がサポートしてくれるという安心感は大きく、分からないところはすぐに聞きに行っていました。オンライン化の重要性は理解していましたし、市民にとってメリットがあると感じていたので、やらないという選択肢はありませんでした。

——デジタル推進室として、担当課をサポートするうえで、工夫したことはありますか。

坂井:不明点はすぐにサポートできるように心掛けていました。通常業務がある中での構築となるため、担当課にはどうしても一定の負荷がかかります。そのため、リマインドや進捗確認を定期的に行うなど、コミュニケーションを取りながら構築を支援するようにしました。

——市民課とデジタル推進室のスムーズなコミュニケーションが、今回の成果につながったのではないかと感じます。今後、さらに全庁的なデジタル化を進めていくうえで、注力していくことはありますか。

坂井:全庁に向けた説明会を定期的に行っていきたいと考えています。既に、各課から1名ずつ集まってもらって、「なぜオンライン化が必要なのか」、「操作はどのように行うのか」というような説明会を実施しています。すべての職員の理解を一気に得るのは難しいと思うので、説明会を継続していくことによって、少しずつ広げていきたいと考えています。

——今後は、どのような手続きのオンライン化に取り組んでいく予定でしょうか。

坂井:今後は、飼い犬の死亡届や水道の使用開始・停止手続きなどのオンライン化に取り組んでいます。この二つの手続きを選定したのは、担当課の職員がオンライン化に前向きだったこと、そして「Graffer スマート申請」のテンプレートが提供されていたためです。テンプレートがあることによって、デジタル化のハードルは大きく削減されると感じています。

さらに、市全体でよりデジタルに明るい人材を採用していくために、職員採用試験などについてもオンライン化を検討していきたいと考えています。2031年度末までに100種類以上の手続きをオンライン化し、将来的には、市で行う手続きのほとんどをオンライン化することを目標に、市民の利便性向上や職員の負荷軽減に積極的に取り組んでいきます。


取材・写真:佐竹 佳穂 / 取材・文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)

角田市が取り組む、手続き案内とオンライン申請は「Graffer 手続きガイド」および「Graffer スマート申請」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。

グラファー Govtech Trends編集部

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角田市

人口:
2.8万人(令和2年国勢調査)

導入サービス:
Graffer スマート申請
Graffer 手続きガイド