稲沢市「ごみの持ち込み」に関する電話の88%をAIが自動完結
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稲沢市「ごみの持ち込み」に関する電話の88%をAIが自動完結

2026.06.10 Wed

年間約1,000件を超える「ごみの持ち込み」に関する電話問い合わせに対して、AI電話による実証実験を行った稲沢市。「Graffer AIオペレーター」を活用し、市民の用件を判断してAIが自動回答する仕組みを導入した結果、受電の88%がAIのみで完結。夜間や休日でも、知りたいときにすぐ解決できる環境を整えることで、市民の利便性向上を実現しています。

市民を待たせることなく、受電の88%をAIが自動完結

——AIによる電話自動応対の流れを教えてください。

家田:市民が「ごみの持ち込み」に関する電話をかけると、まずはAIが用件を聞き取ります。このとき市民は、番号選択や特定のキーワードを意識する必要はなく、普段通りの自然な言葉で話すとAIが内容を判別します。そのうえで、AIが回答できる定型的な内容であればそのまま自動音声で回答し、即答できない質問の場合には担当職員へ転送する仕組みです。

市民は自然な言葉で話すだけで、AIがその場で回答。一方、AIが対応できない内容の場合は、職員に転送する。

——AIのみで電話が完結したのはどのくらいですか。

櫻木:実証実験期間中の868件の受電のうち、88%がAIのみで完結しました。このように高い完結率となったのは、今回対象とした環境センターへの問い合わせが「手数料の確認」や「分別ルール」といった定型的な内容が大半を占めており、AI電話との相性が良かったからだと考えています。

ごみの持ち込みに関しては定型的な質問が多く、AIでの完結率が高い結果となった。

市民の8割が満足。「明確な回答がもらえてよかった」などの反応

——市民からはどのような反応がありましたか。

家田:導入前には「AIの音声を聞いて市民が戸惑うのではないか」という不安もありましたが、実際には直接的なクレームはなく、アンケートでも約8割の人が納得して通話を完了したという結果となりました。さらに、約4割の人からは「明確な回答がもらえてよかった」「今後も継続してほしい」といった好意的な反応もありました。知りたい情報がその場ですぐに手に入る利便性が、このような結果につながったのではないかと感じています。

櫻木:「24時間いつでも問い合わせられるので助かる」という反応もありました。実際、従来は年間で1,000件ほどだった電話の件数が、今回の約4ヵ月半の実証実験期間中だけで800件以上にのぼっています。閉庁時間の電話にも対応できるようになったことで、これまでタイミング的に問い合わせができなかった方の要望にも応えられるようになった結果ではないかと考えています。

市民からのコメントはポジティブなものが中心だった。

——職員からはどのような反応がありましたか。

入山:実証実験という位置づけで「まずはやってみよう」という共通認識があったこともあり、職員から大きな反発が出ることはなく、スムーズに進めることができました。

家田:庁内だけではなく他の自治体からの反応も大きかった印象です。大々的な広報は行っていなかったにもかかわらず、取り組みを知った他の自治体から問い合わせがあり、AI電話に対する関心の高さを改めて実感しました。

環境施設課 主幹 家田 哲治氏

市民の信頼を守るための丁寧な品質管理

——88%という高い完結率を達成されていますが、市民へ正確な情報を届けるために回答品質の側面で苦労された点はありますか。

鈴村:回答の品質維持には気を配りました。AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」によって、市民に誤った情報を伝えてしまうのではないかという懸念があったためです。このような懸念への対策として今回の実証実験では、定期的に対話ログを確認して回答に違和感がないかといったチェックを続けました。

——実際、ログを確認する中で誤った回答は見つかったのでしょうか。

鈴村:運用を始めた当初、環境センターが休業している日であるにもかかわらず、AIが「本日は営業しています」と誤って案内してしまうケースがありました。調査したところ、AIが日本の祝日を正確に把握できていないことが原因だと分かりました。

——AIの誤りが発生した場合は、どのように対処しましたか。

櫻木:市民に直接的な不利益や混乱を招く恐れがある重大な誤りがあった場合は、即座に該当の市民へ直接電話で正しい情報を伝え、個別にフォローを行いました。

一方、回答のニュアンスにわずかなズレがあるといった場合は、同様のケースが再発しないよう、その都度AIが参照する情報を見直したり、回答の仕方を微調整したりと、細かくブラッシュアップを重ねていきました。

環境施設課 技師 櫻木萌子氏

導入に向けた庁内調整と周知の進め方

——高い成果を上げている今回の取り組みですが、導入を検討したきっかけを教えてください。

鈴村:きっかけとなったのは、稲沢市が掲げる「稲沢市DX推進計画」です。計画の中に、「市民の利便性向上と窓口業務の最適化を両立させる施策」として、自動音声による電話案内システムの導入検討が盛り込まれていたことが出発点でした。

現状、生成AIは「個々の状況に応じて複雑な判断が求められる分野」よりも、「よくある質問に正確に答える定型化された分野」で価値を発揮するのではないかと考えています。

そこでまずは、定型的な問い合わせが多い部署を庁内で募集・調査したところ、環境施設課業務での実証実験が動き出しました。

デジタル推進課 主査 鈴村香里奈氏

——実証実験が決まってから、市民への周知はどのように行いましたか。

家田:市のウェブサイトのトップページにバナーを掲載するとともに、マップアプリの電話番号をAI電話の「050」番号に更新しました。こうした広報施策によって、自然な形でAI電話に誘導することができたと考えています。中でも有効だったのはマップアプリの電話番号更新です。ごみの持ち込みを検討している人は、検索エンジンで電話番号を調べてそのまま電話をかけるケースが多いため、「調べたい」と思った瞬間に解決できる導線を作れたことが、利用拡大につながったのだと考えています。

AI電話が作る、自治体と市民の新しい接点

——今回の実証実験を通じて感じたことや、今後の取り組みについて教えてください。

家田:今回の事例から、AI電話は自治体業務において十分活用できるのではないかと感じました。全国的に、行政窓口の受付時間を短縮する動きも広がっていますが、AI電話があれば窓口が閉まっている時間帯も市民との接点を維持できます。そのため、AI電話はこれからの市民対応において、重要な手段の一つになるのではないかと考えています。

櫻木:今回の実証実験を通じて、ごみに関する問い合わせとAI電話は相性がよいと実感しました。現在は一部の業務での実施ですが、今後はセンター全体に対象を広げ、より多くの市民の困りごとをAIが即座に解決できる体制を整えていきたいと考えています。

鈴村:AI電話の活用によって、職員が本来注力すべき複雑な業務に集中できる環境を整えることで、結果として市民サービスの向上にもつなげられるのではないかと考えています。デジタル推進課としては、このような好循環を維持しながら、今後も取り組みを積極的に推進していきたいと考えています。

入山:今回の実証実験で得られた成果をもとに、本格運用につなげていきたいと考えています。「Graffer AIオペレーター」は小さい業務からのスモールスタートが可能です。一度に全てを対応しようとするのではなく、まずは「AIによる応答に適した業務」から展開し、市民の利便性向上と職員の負荷軽減の両立に取り組んでまいります。

デジタル推進課 主幹 入山史啓氏


(※文中の敬称略。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)

稲沢市のAI電話の取り組みは「Graffer AIオペレーター」によって実現できます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。

グラファー Govtech Trends編集部

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