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2022.01.18 Tue

袋井市「放課後児童クラブ」入所申し込みのオンライン化で、事務負荷を軽減

住民票や所得証明書に続き、放課後児童クラブの入所申し込みをオンライン化した静岡県袋井市。初年度にもかかわらず、34%がオンライン申請を選択し、窓口混雑の解消や、事務負荷の軽減といった成果をあげています。

静岡県袋井市:87,864人(令和2年国勢調査)

袋井市「放課後児童クラブ」入所申し込みのオンライン化で、事務負荷を軽減

「市民サービスの向上、事務負荷の軽減」両方を実現できるのが、オンライン申請だった

——放課後児童クラブの入所申し込みをオンライン化しようと考えたきっかけは何ですか。

鈴木:新型コロナウイルス感染拡大を受けて、窓口混雑回避の観点から、オンライン化の検討を始めました。例年、入所申し込みの締め切り日が近づくと、窓口では多くの方にお待ちいただく状況でした。そこで窓口に人が集中するのを回避するために、オンライン申請に対応しました。


教育部 すこやか子ども課 子育て支援係 主任主査 鈴木 照美氏

——窓口の混雑を解消し、市民サービスを向上したいという考えがあったのですね。他に市民サービスの面では、どのような課題を感じていましたか。

鈴木:窓口で申請書を提出するために、保護者が仕事を休んだり時間を調整したりする必要がある点を課題に感じていました。開庁時間は平日の日中に限られているため、どうしても保護者の勤務時間と重なります。

兄弟姉妹がいる場合、申込書を複数枚書いていただく必要があり、同じような申込書を繰り返し書くのは、保護者にとって負担となる点にも課題を感じていました。

——事務の面では、どのような課題を感じていましたか。

鈴木:事務の面では、申請に不備があった際の電話確認に時間を取られていました。保護者が電話に出られるタイミングと合わない場合には、何度も連絡する必要がありました。

初年度で34%がオンライン申請を利用

——オンライン申請を導入して、課題の解決につながりましたか。

鈴木:想定よりも多く、34%の保護者がオンライン申請を利用しました。申請方法としては、従来どおりの書面による申請とオンライン申請を選択できるようにしたのですが、オンライン申請のメリットを感じて、オンライン申請を選ぶ保護者が多かったのではないかと考えています。


書面での申請とオンライン申請を選択できるようにしたところ、34%がオンライン申請を利用した。

——窓口の混雑に関してはいかがでしたか。

鈴木:例年は提出期限の間際が特に混雑するのですが、今回は、通常時とそれほど変わりませんでした。これまで来庁していた保護者がオンラインに移行したことによって、窓口の混雑緩和につながったのではないかと考えています。

——導入前に課題に感じていた、事務の負荷についてはどのような変化がありましたか。

鈴木:保護者への連絡手段が、電話からメールになったことによって、事務の負荷が想像以上に軽減されました。オンライン申請では、連絡が取れるメールアドレスが確実に取得できます。電話を何度もかける必要がなくなったことによって、業務がとても効率化したと実感しています。

——保護者からメールの返信が来ないことはありませんでしたか。

鈴木:返信が来なくて困ったということはありませんでした。皆さんしっかりと返信をしてくださいました。

——事務の面では、他にどのような変化がありましたか。

鈴木:オンライン申請を導入したことによって、申請不備の減少につながりました。例えば、従来は祖父母の年齢に応じた添付資料が不足している場合がありましたが、オンライン申請を導入したことによって、このような不備が減少しました。保護者等の状況に応じて、必要なものだけを提出すればよいように設定したためです。

入力負荷の軽減にもつながりました。書面で受け付けた申請については、手動でデータを入力する必要がありますが、オンライン申請で受け付けた申請に関しては、データをコピーして使用できるためです。放課後児童クラブに関しては、年々、入所申し込みが増えており、入力の負担が大きくなっているため助かりました。

オンライン申請の導入を機に、申請書を1ページ分削減

——市民サービスの軽減、事務負担の軽減につながっているオンライン申請ですが、導入はどのような体制で進めたのでしょうか。

鈴木:ICT政策課とすこやか子ども課で役割を分担しながらオンライン申請を導入しました。申請書をもとに、ICT政策課が申請フォームを用意して、改善を加えていきました。

——保護者の方が利用する申請フォームを作成する際に、工夫したことはありますか。

鈴木:オンライン申請の導入を機に、申請書の様式を見直しました。不要な項目を見直したことによって、これまで4枚だった申請書を3枚に削減することができました。


4枚分埋まっていた申請書の項目を見直して3枚に削減。

——保護者の負担が最小になるように工夫されたのですね。オンラインの申請フォームだけではなく、紙の様式も変更されたのでしょうか。

鈴木:オンラインの申請フォームの作成にあわせて、紙の様式も見直しました。例えば、添付書類を見れば分かる情報や、入所決定後に確認すれば済むような情報、重複している情報については削除しました。オンラインだけではなく、紙で申請する保護者も楽になればという考えで見直しを進めました。

——申請様式の見直しを行ったきっかけは何だったのでしょうか。

鈴木:日頃業務を行っていると、なかなかこれまでの業務を見直す機会がないのですが、オンライン申請を始めたことを機に「必ずしも必要ではない項目があるのではないか」という、違う目線で考えることができました。

——ICT政策課では、オンライン申請を導入する際に、業務全体で考えているのですね。

久保田:オンライン申請を導入する際には、業務の見直しを行うように努めています。例えば、申請フォームを作成する際、すべてを紙の申請様式にあわせると、必ずしも必要ではない申請項目があることが分かります。DXを実現するためには、単に手続きをオンライン化するだけではなく、申請の受け付けから処理までの業務全体を改善していく必要があります。オンライン申請の導入を、業務設計を見直す機会とすることで、長い目で見たときに、業務を効率化し生産性を向上させることにつながるのではないかと考えています。


企画部 ICT政策課 情報システム係 係長 久保田 邦彦氏

市民からは「24時間いつでも申請できるのがよかった」などの声

——業務の面でメリットがあったということですが、市民サービスの面ではいかがでしたか。

鈴木:市民からは「24時間いつでも申請できるのがよかった」「手続きが簡単にできた」などの声が届いています。市民とのやりとりの中で、「日中なかなか電話に出られないため、メールで連絡を取れたことがよかった」という声もありました。

——オンライン申請の目的としていた、市民サービスの向上につながったと言えますね。市民にはどのようにオンライン申請を広報したのでしょうか。

鈴木:オンライン申請がはじまることを、市の広報紙やホームページで周知したり、小学生児童および5歳児の保護者あてにお知らせ通知を配布したりしました。児童クラブにおいても案内を掲示してもらい、送迎時の保護者が確認できるようにしました。オンライン申請を行う保護者がつまずいた際にもフォローできるように、マニュアルも用意しました。


マニュアルを準備して、保護者が申請の際につまずかないように工夫した。

マイナンバーカード取得と並行でオンライン申請を推進

——オンライン申請の利用を推進するための要素の一つが、マイナンバーカードです。今回の放課後児童クラブに関してはマイナンバーカードが不要な手続きですが、住民票の交付手続きなどではマイナンバーカードが必要となります。袋井市では、どのように取得を推進していますか。

久保田:袋井市では、オンライン申請の推進と、マイナンバーカードの取得促進をセットでとらえています。マイナンバーカードは持っているだけでは意味がないため、カードの使い道である、オンライン申請とあわせて広報していく必要があると考えています。

——マイナンバーカードの取得を促進するために、どのような施策を行ったのでしょうか。

久保田:マイナンバーカードの取得促進施策として、市内の商業施設などで出張申請をしたことをはじめ、「袋井デジタルキャンペーン」の取り組みを行いました。「袋井デジタルキャンペーン」はマイナンバーカードを用いてオンラインで応募・申請すると、5,000円分のキャッシュレスポイントが得られる袋井市独自の取り組みです。マイナンバーカードをすでに持っている市民も対象とすることによって、オンライン申請を体験してもらう狙いもありました。袋井市のマイナンバーカード取得率はもともと県内では低かったのですが、今では、県内でもトップレベルまで向上しました。(2021年12月末現在 49.3%)

市全体のデジタル化に向けて、デジタル人材の育成に取り組む

——マイナンバーカードに関して、県でトップレベルの取得率にまで向上したのですね。このような取り組みを進めるうえでベースとなるのが、デジタル人材です。当社で行った調査では、デジタル化の障壁となる大きな要因が人材不足であることが明らかになっています。袋井市では、どのようにデジタル人材の育成を進めていますか。

久保田:デジタル人材の育成にあたっては、民間人材を招いたり、市の職員を省庁に派遣したりする取り組みを行っています。現在、民間人材に関しては、内閣府のデジタル専門人材制度を活用して、通信キャリアであるNTTドコモから人材を招いています。

職員の派遣に関しては、「Graffer スマート申請」の導入を担当していた髙柳が経済産業省に出向しています。袋井市においても、他自治体と同様にデジタル人材の育成を急務だと考えているため、積極的に育成を行っているところです。

——経済産業省への派遣には、どのような狙いがあるのでしょうか。

久保田:デジタル化を推進するためには、事務全体や制度に対する理解があり、さらにデジタルをどこに活用できるかといった観点を持つ人材が必要だと考えています。自治体だけでこのような人材を育成することは難しいため、経済産業省での経験が役に立つのではないかと考えています。

——実際に経済産業省に出向してみて、いかがですか。

高柳:経済産業省における経験を通じて、デジタルを理解しながら、業務を全体的に見渡して改善することが大切なのだと感じました。行政組織におけるデジタル人材というと、一見、デジタルに詳しくないといけないような感じがしますが、必ずしもそうではなくて、デジタルを使って業務を変革する視点が必要なのだと考えています。安易にデジタル化するのではなく、場合によっては制度をデジタルに合わせて変えていく観点も必要です。行政サービスのデジタル化を進めることによって、職員の仕事のあり方もこれから急速に変わっていくのではないかと思います。


経済産業省 商務情報政策局 総務課 情報プロジェクト室(ICT 政策課から派遣) 髙柳 徹氏

今後は、テンプレートを活用しながらさらなるオンライン化を進めていく

——今後はどのようなことに取り組んでいく予定でしょうか。

鈴木:すこやか子ども課では、放課後児童クラブの利用変更・中止届や保護者負担金軽減申請書に関しても、オンライン化を進めていきたいと考えています。放課後児童クラブの入所申し込みに関するオンライン化は、想像以上にスムーズに進みました。今後もオンライン申請を取り入れることによって、保護者の負担や事務の負担を軽減していきたいと考えています。

——ICT政策課ではどのような取り組みを行っていきますか。

久保田:ICT政策課では、引き続き庁内全体のオンライン化を進めていきたいと考えています。申請件数や対象市民の年齢層、添付書類の有無といった観点で、担当課と調整しながら、効果が大きそうなものから順に対応する予定です。

その際に役立ちそうなのが「Graffer スマート申請」のテンプレートです。自治体が行う手続きの多くは共通しています。テンプレートを活用することによって、オンライン申請を新しく始める際の負荷を軽減しながら、デジタル化に取り組んでいきたいと考えています。

取材:本山 紗奈、東 真希 / 写真:本山 紗奈、柏野 幸大 / 文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)

袋井市が取り組む、「放課後児童クラブ」のオンライン申請は「Graffer スマート申請」によって実現できます。導入時は、優良事例を取り込んだテンプレートを活用可能です。費用や導入期間については、 無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

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