「水道の開始・中止」のオンライン手続き——「導入はあまりにもスムーズ」福岡市の取り組み
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「水道の開始・中止」のオンライン手続き——「導入はあまりにもスムーズ」福岡市の取り組み

2021.12.14 Tue

「スマートフォンから簡単に手続きできるようにしてほしい」という市民の意見を受けて、「水道の使用開始・中止」のオンライン申請をリニューアルした福岡県福岡市。新しい電子申請システムの活用によって、スムーズな導入を実現しました。担当する水道局は、どのように取り組みを進めたのでしょうか。

福岡県福岡市:1,612,392人(令和2年国勢調査)

オンライン申請をリニューアル。市民の意見がきっかけに

——福岡市では、2021年6月から新しい電子申請システムを使った「水道の使用開始・中止」のオンライン申請をスタートしています。きっかけは何だったのでしょうか。

きっかけは、市民の方からの「スマートフォンで簡単に申請できるようにしてほしい」という声です。スマートフォンの普及を背景に、5年ほど前からこのようなニーズが増加しており、どうにか実現できないかと課題意識を持っていました。

水道局 営業管理課 センター係長 下川 猛氏

——以前は、どのような方法で「水道の使用開始・中止」の申請を受け付けていましたか。

2017年から、電話とオンライン申請で受け付けていました。しかし従前のオンライン申請は、パソコンでの申請を前提とした申請画面で、スマートフォンからは操作しづらい状態でした。このような中、DX戦略課から「新しい電子申請システムが活用できるのではないか」というアドバイスを受け、導入の検討をはじめました。

——導入時にはどんなことを重視しましたか。

「モバイルファースト」を前提に、市民の利便性を重視しました。あわせて、入力項目の見直しも行っています。従前のフォームをそのまま転用するのではなく、市民がより入力しやすい状態となることを目指しました。

——市民にとって入力しやすいフォームを目指したということですね。どういった方法で入力のしやすさを高めたのでしょうか。

市民への公開前に、庁内でテストと改善を繰り返し行い、分かりにくい箇所を減らしていきました。例えば、エラーが発生しやすい箇所はないか、入力制御に問題がないか、入力内容に迷う箇所はないかといった点です。テストは何名かの職員に依頼し、できるだけ複数人の目でチェックするようにしました。

市民がスマートフォンから申請しやすいように工夫された申請画面。

リニューアルの効果として「オンライン申請数が倍以上に増加」

——新しい電子申請システムに切り替えた結果として、どのような変化がありましたか。

従前の電子申請システムの際と比較して、オンラインでの申請数が約2.5倍に増加しました。電話による受け付け分が減少し、その分オンラインによる受け付け分が増加したためです。

従前の電子申請システムと比較して、オンラインによる申請数が増加した。

——オンラインでの申請数が倍以上に増加したのですね。なぜこのような変化があったのでしょうか。

スマートフォンで簡単に申請できるようになったことが一つの要因です。新しい申請画面の構成やデザインは「モバイルファースト」の思想で作られています。そのため、市民はスマートフォンがあれば、自宅でも外出先でも簡単に申請することができます。

——他にはどのような要因がありますか。

もう一つの要因は、導入と並行して行った運用の見直しをきっかけに、申請者の利便性を向上できたことです。従前のシステムにおいては、水道の開始・中止の希望日付として「5営業日先から1カ月先」といった限られた日程しか選択できませんでした。一方、新しい電子申請システムでは、希望日付として当日以降全ての日付を受け付けられるようにしました。このような運用の見直しをセットで行うことによって市民の利便性が高まり、結果的に申請数の増加につながったと考えています。

市民の反応は「分かりやすくスムーズに手続きできた」

——実際にオンライン申請で「水道の開始・中止」の手続きを行った市民からは、どのような反応がありましたか。

市民からは「初めて利用しましたが、分かりやすくスムーズに手続きをすることができました」「画面を戻っても入力内容が保持されていたり、選択した項目に色がついて分かりやすい」「ストレスなく手続きができた」といった反応が届いています。

——操作方法に関するお問い合わせはありますか。

操作方法に関するお問い合わせはありません。市民からは「操作しやすく見やすかった」という声が届いており、スムーズにご活用いただけているのではないかと思います。

心強い「DX戦略課」の存在

——新しい電子申請システムを設定するうえで、導入はどのような体制で進めたのでしょうか。

水道局から2名、DX推進課から1名の計3名でプロジェクトを進めました。導入時の設定はあまりにもスムーズでした。

——DX戦略課とのやりとりで感じたことはありますか。

DX戦略課のサポートによって、短期間で要件や改善点を洗い出すことができました。DX戦略課に水道局のシステム構築を経験した職員がおり、窓口からバックヤードを含めた運用の実態を理解していたため、導入にあたっての共通認識の醸成に時間を要することなく進められたのがよかったと考えています。

詳細事例:福岡市DX戦略課の詳細事例は、『福岡市の行政DX、なぜ成功したか——「市民のため」からはじめるデジタル化』で紹介しています。

DX戦略課との連携によって、スムーズな導入を実現。左から、総務企画局企画調整部 DX戦略課 DX戦略係長 松本 篤史氏、総務企画局企画調整部 DX戦略課長 橋本 康範氏、DX戦略課 DX戦略係長 稲田 修弘氏、DX戦略課とともにオンライン化を実現した、水道局 総務部 営業管理課 お客さまセンター係長下川 猛氏。

今後は、さらなる利用増加を目指す

——オンライン申請の活用に向けて、今後はどのようなことに取り組む予定でしょうか。

今後は、オンライン申請システムが対応できる範囲の拡大を検討する予定です。例えば、現在の「水道の開始・中止」の手続きに加えて、「水道料金の支払い方法の登録・変更」に関してもオンライン化することによって、市民の利便性をさらに高めることができるのではないかと考えています。

あわせて、オンライン申請の利用増加につながる取り組みも検討していきます。「水道の開始・中止」の手続きに関しては、繁忙期に1日あたり3,000件ほどの電話受け付けがあります。混雑時には電話口でお待たせしてしまうこともあります。今後、オンライン申請の広報を拡大していくことによって、このような課題の解消につなげていけるのではないかと考えています。


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グラファー Govtech Trends編集部

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