窓口の混雑解消や、職員の負担軽減を目的に導入
——確定申告の相談窓口を予約制にした狙いを教えてください。
米原:窓口に事前予約制を導入したのは、相談窓口の密を回避したいと考えたためです。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、待ち時間の混雑を回避することが急務となっていました。
税務課 市民税係長 米原 豊彦氏
——どのような方法で予約を受け付けたのでしょうか。
米原:初年度については、電話と窓口で予約を受け付けて、紙の受付簿で管理していました。事前予約制自体は実現できましたが、運用面では大きな負荷がかかっていました。
——どのような負荷がかかっていたのでしょうか。
米原:電話と窓口で受け付けた予約を、1枚の受付簿で管理していたことにより、業務が煩雑になっていました。例えば、同じタイミングに複数の問い合わせがあった際には、物理的に1枚しかない受付簿を、職員同士で受け渡しながら対応する必要がありました。予約内容の確認や修正にも手間がかかっていました。
「Graffer 窓口予約」を導入する前は、1枚の受付簿を手渡ししながら、予約を受け付けていた。
——確かに、受付簿をすべて紙で管理すると、運用面で負荷がかかりますね。他にはどのような経緯があったのでしょうか。
弘重:行橋市全体でも、窓口混雑や電話対応時の負荷が課題となっており、解消していこうという動きがありました。例えば、予約のための電話については、一件一件はそれほど負荷のかかるものではありませんが、積み重なると業務量は膨大です。市全体のこのような動きも受けて、窓口予約をオンライン化する取り組みがはじまりました。
総合政策課 政策推進係長 弘重 友就氏
窓口のオンライン予約によって事務負担が2分の1に
——窓口の予約をオンライン化することによって、どのような効果がありましたか。
米原:市民目線では、スマートフォンやパソコンから24時間いつでも予約が取れるようになったことによって、電話をしたり、窓口まで行ったりする必要がなくなりました。予約の空き状況もオンラインでリアルタイムに確認できるため、これまでのように、問い合わせないと空き状況が分からないということもなくなりました。
——職員の目線ではどのようなメリットがありましたか。
米原:職員の目線では、紙の受付簿で運用していた頃と比較して、事務負担が2分の1に減少しました。電話や窓口での対応負荷の軽減に加えて、受付簿のデジタル化によって、予約を受け付ける職員の業務が効率化されたためです。
——受付簿のデジタル化によって、どのような変化があったのでしょうか。
米原:紙の受付簿を廃止し、デジタルで管理するようにしたことによって、予約の登録や確認、修正にかかる職員の業務負荷を削減できました。
「Graffer 窓口予約」は、オンラインで受け付けた予約も、電話や窓口で受け付けた予約も、一元的に管理することができます。最新の予約情報についても、リアルタイムに確認しながら同時に編集できるため、職員同士で受付簿を回す必要はありません。紙で管理していた頃よりも、負担が大きく減ったと感じます。
オンライン・電話・窓口の予約を、すべて「Graffer 窓口予約」で一元的に管理。職員はリアルタイムで予約状況を確認できる。
——実際に実務を担う職員の方の反応はいかがでしたか。
米原:職員からは「オンライン予約をはじめる前と後で、業務が大きく変わった」という反応がありました。オンラインで受け付けた予約については、二重予約が発生することもないため、そういった点でも運用負荷が軽減されました。
——「Graffer 窓口予約」の設定にはどのくらい時間がかかりましたか。
米原:当初は機能の概念を理解する際に少し時間がかかりましたが、理屈が分かった今では簡単だと感じます。新規で設定する際にも、10分もかからずに作成できるのではないかと思います。
きっかけは総合政策課の働きかけだった
——窓口予約のオンライン化に取り組もうと考えたきっかけは何だったのでしょうか。
米原:総合政策課からの働きかけがきっかけです。総合政策課から、全庁的な電子申請システム導入のアナウンスがあったことを機に、確定申告の相談予約に関してもオンライン化できないかと持ちかけました。
——総合政策課では、全庁的なデジタル化をどのように進めているのでしょうか。
北山:総合政策課では、秘書課とともに「行橋市行政サービスデジタル化基本計画」に基づいて、全庁的なデジタル化を進めています。デジタル化に関わる全体的な制度設計に関わる部分は総合政策課と秘書課が担い、それぞれの担当課がオンライン申請やオンライン窓口予約を導入するためのサポートを行っています。
総合政策課 政策推進係 北山 大地氏
今後は、市民への認知拡大やさらなるオンライン化に取り組む
——今後、税務課ではどのような取り組みを行う予定でしょうか。
米原:税務課では、市民への広報にさらに力を入れていきたいと考えています。周知のタイミングをより早くするとともに、配布物に二次元コードを配置するなどの工夫を行うことによって、オンライン予約の利用割合を向上していきます。
——今回のプロジェクトでは、デジタル化によって職員の工数削減を実現しています。他の担当課でも同様の取り組みを拡大していく予定でしょうか。
弘重:デジタル化基本計画の実行に向けて、全庁的な取り組みを進めていきたいと考えています。そのためには、各担当課でそれぞれキーマンを見つけることが重要です。おのおのの業務にどのようなメリットがあるのかを体感してもらい、自分ごとにしてもらいながら、取り組みを拡大していきたいと考えています。
——全庁的には、どのような手続きにオンライン申請を活用していく予定でしょうか。
友松:行橋市は県内でマイナンバーカードの交付率がトップレベルで、全国的に見ても高い水準となっています。配布するだけでなく、カードを活用してもらうためにも、本人確認で公的個人認証を利用できる手続きについては、積極的にオンライン申請を導入し、デジタル化による利便性向上をアピールしていきたいと考えています。
秘書課 企画政策係長 友松 潔彦氏
北山:他には、全庁的な聞き取り調査を行った際に担当課が「オンライン化しやすい」と回答した手続きにも注力していきたいと考えています。申請件数が多い手続きを優先しながら、市民サービス向上と職員の負荷軽減を進めていきます。
取材:本山 紗奈 / 文:東 真希 / 写真:野手 咲芳(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)
行橋市が取り組む、窓口のオンライン予約は「Graffer 窓口予約」によって実現できます。費用や導入期間については、 無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。
グラファー Govtech Trends編集部
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