マイナポータルとは【2020年3月最新状況】できること・自治体が押さえておきたいポイント
Govtech動向

マイナポータルとは【2020年3月最新状況】できること・自治体が押さえておきたいポイント

2020.03.10 Tue

マイナポータルとは何なのか、できることや今後のロードマップ、使い方を解説します。マイナポータルを巡る動きは、2019年以降大きく変化しています。iPhone/Androidアプリへの対応をはじめ、2020年にはマイナポイントの開始、健康保険証への対応、引っ越しワンストップへの対応などの新たな取り組みが控えています。地方自治体が今後デジタル化を進めるうえでは、このような背景を理解しておくことが大切です。

「マイナンバーカードは何のために持つのか」「何ができるようになるのか」「ぴったりサービスとマイナポータルの違いは何か」など今更聞けない基本を交えて今後の展開に迫ります。

そもそも、マイナポータルとは何か

マイナポータルとは、政府が運営し、市民がPCやスマホから行政手続きの申請・届出を行ったり、行政からのお知らせを受け取ったりできるオンラインサービスです。マイナポータルのアカウント開設には「マイナンバーカード」が必要です。2017年11月13日から正式運用が開始されており、対応する電子申請手続きは順次増加予定です。

参考:マイナポータル

マイナポータルでできること【2020年3月現在】

マイナポータルでできることは、子育て関連など一部の行政手続きの検索・電子申請や、e-Taxなど外部サイトへのログイン、行政からのお知らせの受け取りなどです。

さらに2020年1月20日には「法人設立ワンストップ」の運用が新たに開始され、法人登記後に必要な行政手続きがマイナポータルから一括で行えるようになりました。


マイナポータルの主要なサービス・機能

  1. 子育て・介護・防災など、市民が行う一部の手続きの検索、電子申請(サービス名:ぴったりサービス)
  2. マイナポータルを入口として外部サイト(e-Taxなど)へログイン(サービス名:もっとつながる)
  3. お知らせ機能
  4. 公金決済
  5. 行政機関等が持つ個人情報の確認(サービス名:あなたの情報)
  6. 行政機関同士が個人情報をやりとりした履歴の確認(サービス名:やりとり履歴)
  7. 法人登記後の関連手続(サービス名:法人設立ワンストップ)

※上記以外にも、代理人設定機能、よくある質問・問い合わせ機能、パスワード変更機能があります。

参考:内閣府『マイナポータルとは』

機能1.  ぴったりサービス(電子申請)

マイナポータルのメイン機能である「ぴったりサービス」は、子育て・介護・防災などの手続きが電子申請で行えるサービスです。子育て関連(児童手当・保育)や介護保険、防災などの一部の申請が対象で、自治体によって、対応している手続きは異なります。

電子申請の方法は、市民が対象地域を検索して、オンラインで入力・申請を行うという流れです。申請の中には、マイナンバーカードが必要な手続きと、マイナンバーカードがなくても行える手続きがあります。

「ぴったりサービス」の中では、企業などが就労証明書を作成できる「就労証明書作成コーナー」のサービスも提供されています。就労証明書とは、社員が認可保育所に入園を申し込む際に必要となる書類で、通常、企業の人事担当者が手書きで作成します。人事担当者が就労証明書作成コーナーを利用することで、自治体によって書式が異なる就労証明書が簡単に作成できます。マイナンバーカードは必要ありません。

参考:
ぴったりサービス 公式ページ
内閣府
『人事担当者の方へ(就労証明書作成コーナー)』

【補足】ぴったりサービスのLINE公式アカウント

2017年から、マイナポータル「ぴったりサービス」のLINE公式アカウントが開設されています。LINE公式アカウントの位置付けは、「ぴったりサービス」の入口のようなイメージです。たとえば、LINEのアプリ上から各自治体でどんな手続きが行えるのかを検索できるようになっています。LINE公式アカウントへの登録には、マイナポータルへのアカウント登録やマイナンバーカードは必要ありません。LINE上で行えるのは検索までで、検索後にマイナポータルの公式サイトへ移動して、実際の電子申請手続きを行うという手順です。

参考:LINE株式会社『【コーポレート】LINE、マイナポータルの子育てワンストップサービスの「サービス検索機能」連携提供を11月7日より開始』

機能2. もっとつながる(外部連携)

マイナポータルが提供する「もっとつながる」は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)、ねんきんネットなどの外部システムと連携できるサービスです。マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインすれば、別途ログインなしに外部サイトにアクセスできる仕組みです。たとえば、マイナポータルにログインした後であれば、通常必要な利用者識別番号や暗証番号を入力することなく、そのままe-Taxにログインして確定申告が行えます。ただしマイナポータルでの初回の設定は必要です。

外部連携を行うことで、外部サービスに届いたメッセージも自動的にマイナポータルに集約されて、閲覧できるようになります。

参考:
内閣府『マイナポータルからもっとつながる』
内閣府『マイナポータルからe-Taxを利用する』
国税庁
『スマートフォン × マイナンバーカードでe-Tax!進化するスマート申告!』

機能3. お知らせ機能

マイナポータルのお知らせ機能は、行政からのお知らせ、民間サービスからのお知らせを受け取ることができるサービスです。市民は、これまで書面で届いていたお知らせをプッシュ通知で受け取れるようになります。

自治体にとっては、郵送などで発送していた書類が電子的に通知できるようになるため、封入や発送のための印刷費や事務コストの削減につながるというメリットがあります

参考:富士通『マイナポータルを使った子育てワンストップサービスとお知らせサービスの円滑な運用』

機能4. 公金決済

公金決済サービスは、マイナポータルのお知らせ上に届いた納付通知について、ネットバンキング(ペイジー)やクレジットカードでの決済が行えるサービスです。

出典:『マイナンバーカード利活用推進ロードマップ』P10

機能5. あなたの情報(個人情報の確認)

「あなたの情報」は、行政機関が持つ個人情報を確認できるサービスです。マイナポータル上で、日付と項目(税・年金・世帯情報など)を指定することで開示を求めることができます。開示された個人情報はマイナポータル上で確認することができ、ログアウト時に削除されます。

機能6. やりとり履歴

「やりとり履歴」は、行政機関同士でやりとりされた個人情報の履歴を確認できるサービスです。期間を指定して申請することで、やりとりの詳細が確認できます。

機能7. 法人設立ワンストップ(2020年1月から開始)

「法人設立ワンストップ」は、法人設立後に必要な行政手続がオンラインから一括で行えるサービスです。これまで、法人設立後に手間がかかっていた、国税・地方税に関する設立届や、雇用に関する届出(年金事務所・ハローワーク)などが一回の手続きでまとめて行えます。

「法人設立ワンストップ」によって、法人設立の手間の大幅な削減しや、手続きの漏れをなくすことが目指されています。その背景には、日本のビジネス環境ランキングが法人設立分野では35か国中32位と、世界的に非常に低いことがあげられます。2021年2月からは、定款の認証、設立の登記も含めた全ての手続がワンストップで行えるようになる予定です。

マイナポータルへの利用登録がなくても、マイナンバーカードがあれば利用できます。

参考:
国税庁『法人設立ワンストップサービスで簡単手続!』
法人設立ワンストップサービス 公式ページ
内閣府
『マイナンバーメールマガジン 第64号(令和2年1月24日)』

マイナポータルのセキュリティ面の安全性

マイナポータルのセキュリティ面の安全性は、マイナンバーカードの「公的個人認証サービス」によって守られています。公的個人認証サービスとは、オンライン上でサービスにアクセスする際に、アクセスしているのが間違いなく本人であることを電子的に証明するために国が提供するサービスです。マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を使うことによって、このサービスが受けられるという仕組みです。

マイナンバーカードが果たす役割

マイナポータルの土台となる本人認証の役割を担うのがマイナンバーカードです。マイナンバーカードは身分証であると同時に、オンライン上で本人を特定するための鍵の役割を果たすものでもあるのです。マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書は、12桁の番号であらわされるマイナンバーとは全く異なるものです。

カードが手元にないと個人認証が行えないため、インターネット上で電子手続きを行う際の、なりすまし防止、データ改ざん防止につながります。マイナンバーカードの取得時には身元確認が必須となっているため、本人以外が使用することはできません。

参考:内閣府『公的個人認証サービスとは』

マイナポータルの使い方・利用方法

マイナポータルは、PCやスマートフォンからアクセスして、マイナンバーカードで認証を行うことで利用できます。PCからでもスマートフォンからでも、マイナンバーカードは必要です。

手順1. マイナンバーカードなどを準備する

マイナポータルの利用に必要なもの

  1. マイナンバーカード
  2. PCとICカードライター、もしくは、マイナポータルアプリ対応スマートフォン

1. マイナンバーカード

マイナポータルの利用にはマイナンバーカード(個人番号カード)が必要です。紙の「通知カード」ではなく、プラスチックのICチップ付きカードが求められます。ICチップに搭載された電子証明書を使用することで、本人であることを確認するためです。

2. PCとICカードリーダ、もしくは、マイナポータルアプリ対応スマートフォン

「PCとICカードリーダライタ」もしくは「マイナポータルアプリ対応スマートフォン」を準備します。

PCとICカードリードライタを使う場合

PCとICカードリーダライタを用意します。ICカードリーダライタとは、PCに外付けしてマイナンバーカードに内臓されたICチップの情報を読み取るための機器です。2000円程度で購入することができます。

参考:公的個人認証ポータルサイト『ICカードリーダライタのご用意』

マイナポータルアプリ対応スマホ(iPhone、Androidなど)を使う場合

マイナポータルアプリに対応している、iPhone、Androidなどのスマホを用意します。2019年11月からは、iPhone7以降の(iOS13.1)のFeliCaに対応した機種で、カードリーダーなしにマイナンバーカードが読み取れるようになりました。Androidでは、Galaxy、Xperia、AQUOSなどの機種に対応しています。利用時には、ios、Androidに対応した無料アプリをダウンロードする必要があります。

参考:公的個人認証サービスポータルサイト『マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧』

手順2. マイナポータルのサイトへログインする

マイナポータルの公式サイトからログインします。ログイン方法は、パソコンとICカードリーダライタを使う場合と、スマホの場合とで異なります。初回利用の際には、メールアドレスの登録など、数分でできるアカウント情報の新規登録が必要です。

参考:マイナポータルログイン画面

マイナポータル・マイナンバーの今後の活用【2020年最新状況】

マイナンバー施策の、今後のロードマップの中でポイントとなるのが、マイナンバーカードの普及です。直近でのマイナンバーカードの普及策としては、マイナポイントの開始、マイナンバーカードの健康保険証利用、民間サービスとのAPI連携の3点に注目が集まっています。

マイナンバーカードの普及に関しては、「2023年3月末までにほとんどの国民がマイナンバーカードを保有することを目指す」という総務大臣の発言の通り、普及に向けた大掛かりな施策が進められています。実際に、2020年度のマイナンバー関連の予算として約2,100億円が、マイナポイントのポイント付与分として約2,500億円が充てられています。

現状の、マイナンバーカードの普及率は15.0%と、微増傾向にあるものの非常に低い状況です(令和2年1月20日現在)。しかし政府はデジタルガバメント実行計画の中で、「マイナンバーカードの普及が日本のデジタル行政の基盤になる」と位置付けており、マイナンバーの普及を目的に、サービス拡大やプロモーション活動を行なっていくことが予定されています。

出典:内閣府 デジタル・ガバメント閣僚会議『マイナンバーカード交付枚数(想定)・マイナンバーカードの健康保険証としての医療機関等の利用環境整備に係る全体スケジュール』P1

参考:
総務省『マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和2年1月20日現在)』
内閣府『デジタル・ガバメント閣僚会議第5回議事録』P3
月刊J−LIS 2020年1月号
『特集:マイナンバーカード 2020年の展望』

2020年9月 マイナポイントの開始

2020年9月から、マイナポイントが開始されます。2020年7月に申し込みが開始され、2020年9月から2021年3月末までの間にマイナポイントが配布される予定です。マイナンバーカードとマイキーIDを取得して事前手続きを行なったうえで、民間のキャッシュレスサービスに一定金額を前払いすると、25%のプレミアポイント(上限5000円分)がポイントバックされる仕組みです

出典:マイナポイント公式ページ

マイナポイントを取得するためには、マイナンバーIDとは別に「マイキーID」を取得する必要があります。マイキーIDは、パソコンやスマホからオンラインで入手できる番号で、手続きにはマイナンバーカード・マイナンバーカードの暗証番号が必要です。

マイナポイントの目的としては、マイナンバーカードの取得促進のほか、消費税率の引き上げや東京オリンピック後の消費の下支えが掲げられています。


参考:内閣府『マイナンバーメールマガジン 第62号(令和元年12月20日)』

2020年10月 マイナポータルで年末調整の簡便化が開始

2020年10月から、マイナポータルを通じて、年末調整で必要な書類の一部をデータで受け取れるようになります。これまで、保険料控除証明書などの年末調整に必要な控除証明書は、民間保険会社から、ハガキなど書面で受け取って従業員自身が申告書に転記していました。これらの情報が、マイナポータルを通じてデータで受け取れるようになります。受け取ったデータは、保険料控除申告書に自動で反映することもできます。

利用方法は、事前にマイナポータルの「もっとつながる」機能から設定を行ったうえで、年末に保険会社等から届いたデータを年末調整申告に使用するという流れです。マイナポータル側では事前に自身が加入する民間の保険会社からのお知らせを受け取る設定をしておきます。ただし、民間保険会社側がマイナポータル連携に対応している必要がある点には注意が必要です。

一度設定しておけば、従業員の手間や、企業のチェック業務の負担などが減る仕組みです。しかし、企業側には一時的に、従業員への周知や、人事・給与計算ソフトの改修、問い合わせの増加などの手間が発生することも予想されます。

参考:国税庁『マイナポータルを活用した年末調整及び所得税確定申告の簡便化』

2020年度中 マイナポータルと民間サービスとのAPI連携が本格開始

マイナポータルと民間サービスとが連携して、それぞれの情報の受け渡しが簡単に行えるようになります。民間サービス側のデータがマイナポータルで確認できたり、マイナポータルに保存されたデータが民間サービス側で引き出せたりする仕組みです。たとえば民間サービス側から、マイナポータルに保存された所得や世帯などの情報を電子データで取得することができるようになります。マイナポータルで年末調整用のデータが受け取れるようになったのもこのAPI連携の一貫です。※ API(Application Programming Interfaceの略。通信を受け入れる窓口のことを意味します。)

API連携の活用シーンは、順次増えていくことが予想されています。これまで、ぴったりサービスのサービス検索(2017年11月)、自己情報取得(2019年11月)などについてはすでにAPIが提供されていましたが、2020年度中に、ぴったりサービス(電子申請)、お知らせ情報取得、民間伝送サービスもAPI提供がはじまります。API連携によって官民情報の連携を目指していくことが、内閣官房番号制度推進室から公表されています。

参考:月刊J−LIS 2020年1月号『特集:マイナンバーカード 2020年の展望』


2021年3月 マイナンバーカードの健康保険証利用開始

2021年3月から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります。マイナンバーカードが健康保険証の代わりとして使用できるようになることで、国民には転職時などの切り替えなどが必要なくなるというメリットがあります。

また高額医療費の限度適用になる際に、健康保険組合が認定証の発行を行なう必要がなくなります。医療機関の観点では、患者の健康保険証の確認などの窓口事務が大幅に軽減される効果が期待されています。

さらに将来的には、患者の過去の検診情報、投薬などの履歴が一元管理され、医師は患者から許可を得ることでそれらの情報にアクセスして、医療に生かすことができるようになります

2021年の3月時点では、医療機関の6割、2023年3月には全ての医療機関での導入が予定されています。2021年には、マイナポータル上で薬剤情報が確認できるようになる仕組みも導入される予定です。

利用には、マイナポータルでの事前登録が必要です。

出典:内閣府 デジタル・ガバメント閣僚会議『マイナンバーカード交付枚数(想定)・マイナンバーカードの健康保険証としての医療機関等の利用環境整備に係る全体スケジュール』P1

2020年度 マイナポータルでの子供の予防接種・検診などの情報提供が開始(母子保健分野)

2020年度から、子供の予防接種・検診などの情報や、母の妊婦健診の情報がマイナポータルで一元化されます。背景としては、厚生労働省が行う「母子保健情報の利活用」を目的とした取り組みがあります。将来的には、生涯に渡ってデータで情報が記録される仕組みを構築することが目指されています。

スケジュールとしては、2020年度中に一部自治体での先行実施、2023年度からの全国展開が目指されています。

参考:
生労働省『母子保健分野におけるデータヘルスの推進について』
内閣官房日本経済再生総合事務局『子育てノンストップサービスの検討状況について』

2020年度〜2025年度頃 引越ワンストップサービスの開始

2020年度から、引越ワンストップサービスが段階的に開始されます。引越ワンストップとは、引っ越しに伴う自治体、電気、ガス事業者などの住所変更手続きなどのさまざまな手続きを一元化するサービスです。

現時点でサービスの詳細は公開されていませんが「地方公共団体の手続についてはマイナポータルを経由する」と発言されていることから、引越ワンストップを経由して民間事業者の手続きが一括で行えるものになることが想定されています

参考:内閣府 『デジタル・ガバメント実行計画』P64

出典:『引越しワンストップサービスの検討状況について』P6

マイナポータルの普及率

マイナポータルの利用率は、0.02%程度と言われています(出典:朝日新聞報道2019年7月27日『マイナンバーのサイト、100億円かけ利用率0・02%』

利用件数としては、トップページのアクセス件数は1か月当たり約8万件から約15万6千件です。この数値は、東京都中央区ホームページへのトップページへのアクセス数(月間約16万1千件)と同規模です。「ぴったりサービス」へのアクセス件数は、1か月当たり約1万2千件から約4万2千件です。(2017年7月から2018年12月)オンライン申請件数は、申請や届出の件数は、1か月当たり約100件から約4200件と公表されています。(2017年10月から2018年12月)

充分に普及しているとは言えない状況ですが、マイナンバーカードの取得推進策や利用サービスの拡大で利便性が高まることによって、普及率は年々増加していくとみられています。

出典:
『衆議院議員初鹿明博君提出「マイナポータル」に関する質問に対する答弁書』
東京都中央区『広告について』

自治体に求められるマイナンバー普及策

地方自治体には、マイナンバーの普及を目的とした市民への積極的な広報活動と、職員に対するマイナンバーカードの一斉取得が推奨されています。総務省からは、タブレット活用・無料写真撮影・入力支援等による、申請の効率化や、平日夜間・休日の窓口開庁や臨時窓口の設置等が推進され、市民が申請しやすい環境を作ることが求められています。また、新生児の住民票作成時にマイナンバーカードの取得促進を促すことも検討されています。

自治体職員に対しては、マイナンバーカードの率先した取得が求められています。令和2年度4月以降の新規採用職員の採用時には、全ての職員がマイナンバーカード取得済となることを目指して、採用前からマイナンバーカードの取得が勧奨されるような取り組みが求められています。

参考:
内閣府 デジタルガバメント 閣僚会議『保険者におけるマイナンバーカード取得促進策等』
内閣府 デジタルガバメント閣僚会議『第4回議事録』
内閣府『マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針』

「スマート自治体」の鍵となるデジタル化の波

全国の自治体では、手続きのデジタル化が大きく進みつつあります。その背景にあるのは、デジタル手続法の成立と、自治体の環境変化です。2019年5月に成立した「デジタル手続法」では、努力義務とされながらも、地方自治体に対してオンライン実施の原則化が求められています。職員数の減少、業務時間の短縮、ワークライフバランスに対するニーズの高まりなど、自治体を取り巻く環境も大きく変化しています。

その中で自治体には、単にオンラインで完結する仕組みを用意するだけではなく「市民に使われるスマートな電子申請」が求められています。各自治体が行う市民アンケート結果からは「使い勝手」が一つのポイントだということが明らかになっています。そのためにはユーザービリティに配慮した、ユーザー視点が求められるのです。

【出典】マイナポータル・マイナンバーに関する関連省庁のページ

内閣府『マイナポータルとは』
総務省『マイナンバー制度とマイナンバーカード』
各自治体のマイナポータル(ぴったりサービス)対応状況『サービス検索・電子申請の対応状況』

【まとめ】マイナポータルは行政手続きの申請・届出をデジタル化するオンラインサービス。今後も範囲は拡大傾向にある

市民の行政手続きをパソコンやスマホからオンラインで行えるようにするサービスであるマイナポータル。アプリでマイナンバーカードの読み取りやマイナポータルへのログインができるようになったため、ICカードリードライタが不要になり、利便性は高まっています。

しかし今後の課題として、市民からは「マイナポータルが使いにくい」「マイナンバーカードの取得が面倒」という声は根強く、その点では改善の必要性がありそうです。今後の対応手続き数の増加や、マイナンバーカードの普及が鍵になるため、引き続き状況に注目していきます。


行政デジタル化の実現に向けて、各自治体では取り組みが進んでいます。デジタル改革を後押しするのは、あらゆる行政手続きをオンラインで完結する「Graffer スマート申請」、簡単な質問に答えるだけで行政手続きを洗い出せる「Graffer 手続きガイド」などの製品です。Graffer 製品の導入期間や費用については、お問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『Digital Government for the People』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。