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2019.06.26 Wed

英国GDS主催・総額27億円の課題解決コンペティション『GovTech Catalyst』:運営チームが語る舞台裏

行政電子化の先端を行く英国政府Government Digital Service(GDS)が、2000万ポンドの予算をつけて立ち上げた、地方団体と民間企業の大規模な課題解決マッチングイベント『GovTech Catalyst』。その運営チームが、イベント運営を通して見えてきた知見や課題を共有しています。

英国GDS主催・総額27億円の課題解決コンペティション『GovTech Catalyst』:運営チームが語る舞台裏

行政電子化の先端を行く政府と言えば、エストニアやデンマークに並んで言及されることが多いのが英国です。英国は2013年にGovernment Digital Service(通称「GDS」)を立ち上げ、政府IT調達の集約、公共サービス向けのマーケットプレイスの設立など、デジタルガバメントの取り組みを強力に推進してきました。こうした英国の取り組みは、日本をはじめとした各国でも盛んに政策研究がなされています。

なかでも特に興味深いGovtech関連の動きが、GDS自らが2000万ポンド(日本円にして約27億円)の予算をひっさげて展開する「GovTech Catalyst」です。

このイベントでは、地方自治体、地方自治政府(ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)、政府系団体などが持ち込む「課題(challenge)」に対し、事業者(supplier)が解決に名乗りを上げ、双方をマッチングさせていきます。マッチングができた場合には、GovTech Catalyst運営チームが、個々のプロジェクトに対し数万ポンド~数十万ポンドの資金提供を行うと同時に、プロジェクト成功に向けた様々なサポートを行います。

プロジェクトが対象とする分野は多岐にわたります。イベントのページには、交通、ごみ収集、規制改革、ヘルスケア、住宅など様々な課題に対するアプローチが紹介されています。

コンテンツデザイナー、サービスデザイナー、テクニカルアーキテクト、オペレーション・マネージャーなど多様な職種のメンバーからなるGovTech Catalyst運営チームを統括したイアン・テスター氏は、GovTech Catalystの狙いについてこう述べています。

私たちは15の異なる課題を選び、そうした問題に対するイノベーティブな解決策を機能させるため、55の事業者に275万ポンド(訳注:約3.7億円)の資金を与えました。

課題は驚くほど多岐に渡りました――消防士が建物のなかで安全でいられるような技術的ソリューションの発見、英国全土における廃棄物の追跡、それから、孤独や地方の孤立の低減といったものまでありました。

資金援助額の90%以上が中小企業に対して与えられ、英国のGovtechセクターを成長させるという私たちの目的達成に役立てられたことを誇りに思っています。


引用元:What the multi-disciplinary GovTech Catalyst team has learned one year on

訳:石井大地(Govtech Trends編集部)


GovTech Catalyst運営チームのサポートは、単なるマッチングと資金提供にはとどまりません。事業者の持つ画期的な技術を、いかにスケーラブルな形で政府のオペレーションに適用するかを考え、課題を提示する政府機関側、そして解決策を提供する事業者側に深く関与し、それぞれに不足する視点や知識を補っていきました。

テスター氏は、プロジェクトのサポートにおいてぶつかった様々な難題について次のように述べています。

私たちは事業者の新技術をスケールアップし、レガシーなシステムに統合し、データの安全な移行を管理し、個々の新たな発明の適用範囲を制限するというハードな仕事と格闘してきました。

 ……(中略)……

我々は、多くの事業者がService StandardやTechnology Code of Practiceといった、政府のテクノロジーやデジタルサービスの構築や調達において重要な規定について知らないことに気づきました。

そこで、ローンチ前や中間セッションにおいて、こうした基準の重要性について事業者に強調し、さらに事業者が自らのソリューションにこうした基準を適用する方法を理解できるよう共に取り組みました。


引用元:What the multi-disciplinary GovTech Catalyst team has learned one year on

訳:石井大地(Govtech Trends編集部)

このような様々な努力を通じて運営されているGovTech Catalystですが、その運営自体も、日々改善を繰り返し、コンペティションの進行についても参加者のフィードバックを受けて定期的に見直しをしているようです。

英国GDSが運営するGovTech Catalystは、政府と事業者の関係を、従来型の単なる発注者と受注者といったものではなく、課題に対するコミットメントを通じてつながれた、より積極的な関係に変えようとしているように見受けられます。参照記事のなかでも「engagement」という言葉が頻繁に使われている通り、多くの関係者が主体的に関与することによって社会を変えようという前向きな思いが感じられます。

Govtechは決して個々のサービスやソリューションのことではなく、テクノロジーを通じて政府と人々の関係を変えることにつながるものであるということが、こうした事例によってより深く理解できるのではないでしょうか。


出典:What the multi-disciplinary GovTech Catalyst team has learned one year on

画像:gdsteamCC by 2.0

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グラファー「Govtech Trends」編集部

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