フランス政府高官が語る: Govtechがフランスにとって重要である3つの理由
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フランス政府高官が語る: Govtechがフランスにとって重要である3つの理由

2019.06.24 Mon

フランス政府にてデジタルイノベーションの推進に関わるアンリ・ヴェルディエ氏がGovInsiderのインタビューに応え、フランス政府がGovtechを推進する理由を語りました。フランス政府はGovtechを通じ、公共サービスの効率化のみならず、政府自身の体質の変革や政府と市民の関係性の変化を意図しています。

2017年、マクロン大統領が政権を取ったフランスは、スタートアップによるイノベーションの推進を政府の重要政策と位置づけ、各種の規制緩和や減税、スタートアップ投資の振興などの施策を次々に実行してきました。

さらには、公務員がスタートアップのマインドセットを「コピー」し、公共サービスを改革する「イントラプレナー」の促進、公共サービスに関わるスタートアップ人材を政府内へ取り込む「Public Interest Entreprenuers programme」の実施など、フランス政府はスタートアップの活力を利用した公共サービスの改革に果敢に乗り出しています。

GovInsiderによるインタビューに応じたフランスのデジタル大使・アンリ=ヴェルディエ氏は、フランス政府がGovtechの取り組みを重視する理由を次のように述べています。

ヴェルディエ氏によれば、フランスにとってこのセクター(訳注:Govtechのこと)が重要である主要な理由は3つある。第一に、官僚が産業と緊密な立ち位置にいることで政府による調達を改善できる。……(中略)……

 第二に、テクノロジーによって政府は、公共サービスのデリバリーにおける市民の信頼を復活させることが可能になる……(中略)……フランス人はオンラインで買い物をして当日に商品を受け取れるというのに、入学や補助金申請のために1カ月も待たなくてはならないのだ。……(中略)……

 第三に、テクノロジーは政府と市民の関係性を変えることができる……(中略)……このことはとりわけ、フランスや欧州全般におけるポピュリスト勢力の伸張を前にして決定的に重要だ。強力なGovtechのエコシステムは、利用者のニーズに即したサービスを作り、お粗末なサービスに対する市民の不満に素早く対処する助けになる。(太字は訳者)


引用元:Exclusive: Inside France’s plan to build civil service startups, GovInsider

訳:石井大地(Govtech Trends編集部)

インタビューにおけるヴェルディエ氏の発言から、フランスにおけるGovtechの推進が、単に行政サービスを効率化することのみが目的なのではないことが明言されています。

フランスは、スタートアップエコシステムに政府自らが積極的に関与することで、政府内部の人間にスタートアップらしい考え方や行動様式を身に着けさせたり、政府のITサービスに関する調達を改善したりしようとしています。フランス政府はGovtechの推進を通じて、政府やそこで働く公務員そのものを変えようとしているのです。

さらに、テクノロジーの力を活用し、政府と市民の間にあった壁を突き崩し、より緊密で即応的な政府サービスの実現を志向しています。行政手続きに時間がかかり、複雑で面倒であることは多くの国に共通する課題です。テクノロジーを活用すれば、そうした不便を解決し、市民のニーズ・不満に素早く対処できるようになり、そのことによって政府と市民のあいだに新しい信頼関係を構築することが期待されているのです。

日本でも、行政手続オンライン化法(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)が成立し、行政サービスのデジタル化に向けて動き始めています。

6700万人の国民を擁し、移民問題やポピュリスト勢力の台頭など様々な社会課題を抱える欧州の大国・フランスのGovtechへの取り組みは、日本社会にとっても目が離せない動きとなりそうです。

出典:Exclusive: Inside France’s plan to build civil service startups, GovInsider

画像:OFFICIAL LEWEB PHOTOSCC by 2.0


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グラファー Govtech Trends編集部

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