市民の利便性向上、窓口の混雑回避が導入のきっかけに
——オンライン予約を導入したきっかけは何ですか。
マイナンバーカードの申請が急増することが見込まれる中、窓口の混雑を回避したいと考えたのがきっかけです。窓口に来る方が増えれば、その分庁内の混雑につながります。感染拡大防止を目的に、これまで以上に混雑することがないよう工夫できることはないかと考えていました。
市民の利便性向上につなげたい狙いもありました。当初は電話のみで予約を受け付けていたため、市民は役所の受け付け時間内に電話をする必要がありましたが、仕事などで日中に電話をかけられない方にとっては不便な状態となっていました。
——職員の業務観点では、どのような課題を感じていましたか。
職員の業務観点では、電話で予約を受け付けるのに1件あたり約10分かかることに課題を感じていました。電話では手続きに必要な情報を伝えたり、不明点に回答したりするため、どうしても一定の時間が必要となります。マイナンバーカードの発行数に比例して業務時間が増加している時期だったため、少しでも負荷を軽減できないかと考えていました。
電話予約を受け付けていた際は、マイナンバーの発行数に比例して業務が増加することに課題を感じていた。
——市民の利便性向上や窓口の混雑緩和といった狙いがあったのですね。導入の背景として、市ではどのような方針があったのでしょうか。
丹波市では、人口減少が加速している状況の中、限られたマンパワーを「職員でなければできない業務」にシフトさせていくことが大切と考え、2021年から行政DXの推進に取り組んでいます。中でも、キャッシュレス決済の導入など、特に「市民との接点」に着目したデジタル技術の活用を進めています。オンライン予約の導入もこのような方針に則ったもので、まさに市民サービスの向上と市役所の生産性向上の両方につながるものだと考えました。
オンライン化によって、市民の利便性が向上。予約の受け付けにかかる時間削減にも寄与
——マイナンバーカードの受け取り予約をオンライン化したことによって、市民にはどのようなメリットがありましたか。
オンライン予約を導入した結果、市民は24時間いつでも予約できるようになりました。電話予約と比較して、より簡単に、より都合のよいタイミングで予約いただけるようになったことによって、市民サービスの向上につながったと考えています。
窓口における市民の滞在時間の短縮にもつながりました。これまで電話予約の対応にかかっていた職員の時間を、申請支援等、他の業務に回せるようになったためです。
——職員目線ではどのようなメリットがありましたか。
職員の目線では、電話予約と比較して、受け付けにかかる時間が削減されました。これまで1件あたり約10分かかっていた電話対応の時間が削減されたためです。マイナンバーカードの申請件数が増加している時期でしたが、業務負荷を増やすことなく対応できたのは、オンライン予約のおかげだと思います。
電話では1件あたり約10分かかっていた予約の受け付けが、オンライン化によって不要になった。
——職員からは、他にどのような声がありましたか。
職員からは、「市民から新規予約の問い合わせがあった際、担当の職員でなくても対応できるようになったので助かる」という声がありました。これまで、対応できる職員がいない時間帯に電話がかかってきた場合には、かけ直していただく必要がありましたが、現在はオンラインで予約できる旨を伝えるだけのため、誰でも対応できるようになりました。
——何割くらいの方にオンライン予約が利用されましたか。
開始から3カ月で、全体の約4割である751件がオンラインで予約されました。丹波市は高齢者の多い地域のため、オンライン予約を導入する前は、これほど多く利用されると思っていませんでしたが、実際には年代にかかわらず多くの市民に利用いただきました。
約4割の市民がオンライン予約を利用した。地域によっては5割〜6割がオンラインを選択した。
——本庁でも支所でもオンライン予約を導入したのでしょうか。
本庁はもちろん5つの支所においても、マイナンバーカードの受け取りにオンライン予約を導入しました。支所へは利用方法を一度説明したのみで、スムーズに利用を進めることができました。
——市民に対しては、どのようにオンライン予約の広報を行っているのでしょうか。
マイナンバーカードの受け取り案内に、電話予約とあわせてオンライン予約について掲載しています。「スマホで予約」という見出しとともに、オンライン予約のページに遷移する二次元コードを目立つように配置することによって、多くの方に利用いただけたと考えています。
マイナンバーカードの受け取り案内に二次元コードを入れることによって、市民にオンライン予約を広報している。
今後はオンライン申請の拡大などを通じて、市民サービスの向上・職員の業務効率化に取り組んでいく
——今後は、どのようなことに取り組んでいく予定でしょうか。
オンライン予約については、今後さらに運用の効率化にも取り組んでいきたいと考えています。市民課としては、マイナンバーカードの利活用という観点も意識しながら、今後、オンラインの活用の幅を広げていきます。
市民に対して、オンラインで予約ができることをより広く広報していきたいと考えています。オンラインでできることを知らないために利用していない市民もいると考えられるため、どのように周知していけるかが一つの課題だと考えています。
オンライン予約に加えて、オンライン申請についてもどんどん進めていく予定です。さまざまな申請のオンライン化を進めることによって、市民サービスの向上や職員の業務効率化に取り組んでいきたいと考えています。
取材・写真:佐竹 佳穂 / 取材・文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)
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グラファー Govtech Trends編集部
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