「新しい生活様式」の実現に向けた新型コロナ対応臨時交付金の活用【2020年7月詳報】
令和2年6月24日の改正で、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下、臨時交付金)」の活用範囲が「新しい生活様式」に向けた対応に必要とされるものにまで拡大しました。その影響で、行政手続きや内部事務のデジタル化に臨時交付金を活用するための検討が進んでいます。そこで臨時交付金の対象事業や、「新しい生活様式」のための臨時交付金の活用例、申請締切などの情報を集約してご紹介します。
臨時交付金の対象事業が拡大
臨時交付金の対象事業は、令和2年6月24日の改正で「新しい生活様式」の実現を目的とした事業に範囲を拡大しました。この改正では、第1次補正予算の際に対象とされていた感染拡大の防止や、地域経済や住民生活の支援を通じた地方創生に加えて、「新しい生活様式」を踏まえた地域経済の活性化等への対応が追加されています。
6月12日に成立した第2次補正予算で計上された2兆円のうちの1兆円は「新しい⽣活様式」を踏まえた地域経済の活性化等への対応分に配分されています。残りの1兆円は家賃⽀援を含む事業継続や雇⽤維持等への対応分です。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地⽅創⽣臨時交付⾦の拡充』
この臨時交付金はさまざまな領域に幅広く活用することができます。『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金Q&A(第2版/6月24日)』では、「感染対応として効果的であり地域の実情に合わせて行うものであれば、原則として使途に制限はなく幅広く使うことができる」と記載されています。新型コロナウイルスの影響は地域によって異なるため、各自治体での実態にあわせて利用計画を立てることが必要となるのです。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度要綱』
「新しい生活様式」の実現に向けた臨時交付金の活用例
臨時交付金は、「新しい生活様式」を定着させるための社会的な環境整備を目的としたさまざまな分野に活用することができます。たとえば『地⽅創⽣臨時交付⾦の活⽤が可能な事業(例)』には例として「⾏政⼿続のオンライン化」が明示されています。その内容は次のように記されています。
( ⾏政⼿続のオンライン化・電⼦処理化、ネット発信の強化 )
・ ⾏政⼿続のスマート化、⾏政事務のデジタル化の推進
・ 電⼦図書館サービスやオンライン健康相談サービスの導⼊
たとえば、新型コロナウイルスの影響で深刻な打撃を受けた事業者への補助金交付事業を行う際の、申請のオンライン化や交付業務を委託する事業に交付金が充てられるといった事例も見られます。
出典:『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金活用した「新たな日常」に対応するための政策事例集』
1. 行政手続の徹底したオンライン化に活用
臨時交付金を行政手続のオンライン化や各種データのオープンデータ化のための環境整備に活用することができます。例としては、市民の利便性を向上したり、行政の運営コストを削減したりするといった取り組みが挙げられています。自治体には、地方での新たな働き方の波及やデータ活用による新しいビジネスの創出が期待されます。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金活用した「新たな日常」に対応するための政策事例集』P15
2. 新たな災害対応スタイルの構築に活用
臨時交付金は防災のIT化に役立てることもできます。コロナ禍の中で災害が発生した場合を想定し、被災者支援制度の手続きをデジタル化するといった対応が求められます。罹災証明書の申請時手続きの際の混雑を解消したり、アプリを活用した避難情報の収集・提供を行ったりすることで、新たな災害対応スタイルを構築することが期待されます。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金活用した「新たな日常」に対応するための政策事例集』P16
3. 「コロナ対応型スーパーシティ」の実現に活用
臨時交付金を次世代の街づくりに利用することもできます。感染症への対応で行動が制約される中、行政手続き・買い物・通院などの日常生活がオンラインで行えるような新しい仕組みを構築することが求められます。技術を活用することで、感染症対応がなされた生活を総合的にサポートするような「コロナ対応型スーパーシティ」構想を先行的に実現することが期待されます。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金活用した「新たな日常」に対応するための政策事例集』P18
第1次補正予算では1252事業が「デジタル・トランスフォーメーションの加速」の分野に採択
これまでの臨時交付金の活用実績としては、「リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速」の分野に1,252事業が採択され770億円が充てられています。具体的には、オンラインによる学習環境の整備・オンラインによる関係人口の創出や就職支援、オンラインセミナーやオンライン会議のための環境整備などです。第2次補正予算では、この「デジタルトランスフォーメーションの加速」の分野がさらに増えていくことが考えられます。
出典:
・内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 地方公共団体別事業一覧(第1次提出分)』
・内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 第一次実施計画の提出状況 【確定値】』
骨太方針2020で「デジタル化推進」が最優先課題とされ、一気に進める機運が高まる
行政デジタル化は、骨太方針2020(「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」)において最優先課題に位置付けられています。10年かかる変革を前倒しで一気に進め、「書面・押印・対面主義から脱却」することが強力に後押しされているのです。こういった流れを意識し、感染対策を前提とした窓口の非対面化や内部事務の効率化をはじめとしたデジタル環境の整備に取り組んでいく必要があります。
出典:内閣府『経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~第1章』
臨時交付金の申請締め切りは9月30日
臨時交付金の第2次補正予算分の申請締め切りは、9月30日(水)です。先行受付分は7月31日(金)が締め切りで9月頃交付予定、最終受付分は9月30日(水)締め切りで11月頃交付予定というスケジュールです。緊急的な対応が必要だった第1次補正予算とは異なり、第2次補正予算の締切は余裕を持って設定されています。その背景には、感染対策と地方創生の両面から事業を組み立て、本質的な課題解決につなげてほしいという意図が表れています。どのような事業を行うべきかを幅広く検討したうえで、地域にとって本当に必要な取り組みを進めていくことが重要だといえます。
出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金~脱コロナに向けた協生支援金~』
グラファーでは行政手続きがスマートフォンから完結できるオンライン申請である「Graffer スマート申請」、市民向けの手続き案内サービスである「Graffer 手続きガイド」を提供しています。これらのサービスは既に、新型コロナウイルス対策のための窓口の混雑緩和や事務業務の改善に役立てられ、感染拡大の防止を実現しています。こうしたデジタル化・オンライン化の分野に対して臨時交付金を活用することをご検討中の場合には、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
グラファー Govtech Trends編集部
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