京都市「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」の申請オンライン化で事務担当者数を4割削減
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京都市「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」の申請オンライン化で事務担当者数を4割削減

2024.08.22 Thu

京都府京都市では、「出産・子育て応援交付金」「産後ケア事業」の申請手続きをオンライン化。「Graffer スマート申請」を活用することで、子育て世帯の負担を軽減するとともに、職員の事務負担を大幅に軽減しました。

出産・子育て応援給付金とは
出産・子育てにかかる経済的負担の軽減のため、妊娠届出時・出産後の面談後に計10万円相当を交付する給付金で、給付を受けるには対象者からの申請が必要です。(京都市では「出産・子育て応援ギフト」として実施)

産後ケア事業とは
産後ショートステイ、産後デイケアに対する補助を通じて、産後の母親や子どもを支援する事業で、利用には対象者からの申請が必要です。(京都市では「京都市スマイルママ・ホッと事業」として実施)

オンライン化によって担当者数、郵送費の削減などを実現

——京都市が始めた、「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」のオンライン申請はどのような仕組みですか。

阪田:「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」のオンライン申請は、出産・子育て応援給付金の申請や、産後ショートステイ・デイケアの利用申請をスマートフォンから行える仕組みです。

京都市では2024年4月から「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」のオンライン申請を行っている。

——「出産・子育て応援給付金」については、オンライン申請の導入によってどのような効果がありましたか。

阪田:事務担当者の人数が5名から3名に削減できました。特に影響が大きかったのが、紙の申請書の入力作業が不要になったことです。


年間約3万件の申請をオンライン化したことで、担当者の人数を削減することができた。

阪田:決定通知書の郵送費についても、約250万円分の削減効果が出ています。これまで決定通知書については、1件1件手作業で郵送していました。しかし現在は「Graffer スマート申請」の完了通知機能を利用して自動メールで送付しているため郵送対応が必要なくなりました。

実施要綱で「文書により当該申請者に通知する」としている部分は、京都市デジタル手続条例の「処分通知等について(中略) 書面等により行うことなどが規定されている場合でも、オンラインで行うことができる」という条文を適用し、要綱を改正することなくオンライン化できました。

——大きな削減効果が生まれていますね。他にはどのような効果がありましたか。

阪田:申請書の保管スペースも削減できました。以前は年間約10万枚の用紙を保管する必要がありましたが、現在ではほとんど不要になりました。

京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部 子ども家庭支援課 母子保健担当 担当係長 阪田 泰史氏

——「産後ケア事業」のオンライン申請については、どのような効果がありましたか。

阪田:オンライン申請の導入と同時に対象者や運用方法の大幅な変更を行ったのですが、利用者数が約1.5倍に増加したにもかかわらず、作業量は大幅に減少しています。従来の紙運用では到底対処できなかったことだと思います。

子育て世帯からは「時間が取れない中でありがたい」などの声

——オンライン申請の利用者は、全体の何割くらいでしたか。

淵:「出産・子育て応援給付金」「産後ケア事業」ともにオンライン申請の利用率は95%を超えています。原則オンライン申請を推奨していますが、特別なサポートが必要な方については紙での申請も残しています。

オンライン申請の開始から約4カ月しか経っていないにもかかわらず、現在は申請の95%以上がオンラインで行われている。

——オンライン申請を利用した市民からは、どのような反響がありましたか。

淵:オンライン申請を利用した子育て世帯の方からは、「区役所に行かなくてもよくなった」「育児で時間が取れない中でもサクサク申請できてありがたい」といった反響が届いています。子育て世帯の方にとって、スマートフォンでの操作は日常的なことのため、デジタル化に大きなメリットを感じていただけているようです。

利用者からはポジティブな反響が多く届いている。

——「産後ケア事業」については、所管の区役所が事務を行われていますね。区役所の職員からは、どのような声がありましたか。

淵:区役所の職員からは「作業量の削減につながった」という声が届いています。オンライン化のタイミングで運用方法も大きく変更しましたが、申請フォームを作り込んだうえで詳細なマニュアルを作成して案内を行ったことで、職員の負荷軽減につながっています。


京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部 子ども家庭支援課 母子保健担当 淵 美月氏

デジタルに合わせて運用方法を変更し、業務を効率化

——次は、運用面での変化について教えてください。まず「出産・子育て応援給付金」については、オンライン化によってどのような変化がありましたか。

阪田:「出産・子育て応援給付金」について、以前は申請内容を1件1件手作業で入力していましたが、現在では、CSVファイルを基幹システムに取り込むだけになりました。

決定通知書の送付についても、以前は通知書データの作成・印刷・郵送と、かなりの作業量がかかっていました。しかし現在では「Graffer スマート申請」から完了通知メールを送信するだけです。

——次に「産後ケア事業」の運用面について、オンライン化によってどのような変化がありましたか。

阪田:「産後ケア事業」について、以前は所管の区役所の窓口に来ていただき利用希望者に対して詳細な状況などをヒアリングしていましたが、現在では、制度改正に伴い、利用希望者が所管の区役所にオンラインで申請する方法に変更しています。

決定通知書の送付についても以前は、1件1件決定通知書を作成していました。しかし現在では、「Graffer スマート申請」の帳票レイアウト機能を利用することで、これまでの運用を大きく変えずに、メールで送付できるようになりました。

(※)帳票レイアウト機能とは、従来の帳票などの書式をPDFで取り込んだうえで、そのレイアウト上に市民が入力したデータなどを配置できる機能です。京都市では、市民が入力したデータに加えて職員が入力したデータを配置したものを決定通知書として市民にメールで送付しています。

オンライン化を通じて、子育て世代のさらなる利便性向上に取り組んでいく

——非常に大きな効果を生み出している、今回のオンライン化を振り返ってみていかがでしたか。

五味:子育て領域は制度変更も多く、これまでなかなか大がかりな取り組みが行えていませんでした。しかし今回「Graffer スマート申請」を導入し、一定の効果を生み出せたことで、風穴を開けることができたと考えています。

このような成功を支えたのは、「改善しよう」というマインドをもったメンバーです。こうしたメンバーがいたことが、オンライン化の実現につながりました。

また、デジタル化戦略推進室が実施した、全庁的な「Graffer スマート申請」の導入や、デジタル手続条例の制定なども大きな後押しとなったと感じています。このような後押しなく、担当課だけでデジタル化を進めるのは非常に難しいことだと感じます。

京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部 子ども家庭支援課 子ども家庭支援課長 五味 孝昭氏

——デジタル化戦略推進室では、今後どのようなことに取り組んでいきますか。

古山:オンライン化に対するニーズが、今後ますます高まっていくのは間違いないと考えています。一方、職員目線では「デジタルを使うことによる業務削減効果はどのくらいか」といった観点も重要になってきます。さらに全庁的なデジタル化を進めていくうえでの前提となる環境整備等の取り組みについても着実に進めていきたいと考えています。

——子ども家庭支援課での、今後のデジタル化の予定を教えてください。

五味:今回の取り組みを通じて、デジタル化は子育て世代の利便性向上や、負荷の軽減につながるものだと実感しました。今後はますます多くの事業でオンライン化に取り組み、市民の利便性向上に取り組んでいきます。

取材・写真:柏野幸大 / 文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)

京都市が取り組む、子育て関連手続きのオンライン化は「Graffer スマート申請」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。

グラファー Govtech Trends編集部

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