国内事例
市全体のオンライン化を進める泉大津市がはじめた「飼い犬の登録、変更」のオンライン手続き
2021.11.01 Mon
大阪府泉大津市では2019年から市全体でオンライン化を推進。市民が時間や場所にとらわれず必要な手続きを洗い出せる「バーチャル市役所」の取り組みをはじめ、各種業務におけるデジタル化が進んでいます。その一つとなるのが「飼い犬の登録」オンライン手続き。「窓口に加えてオンラインを取り入れることで、市民の利便性を高めたい」と話します。どのような仕組みなのでしょうか。
大阪府泉大津市:74,412人(令和2年国勢調査)
「対面での手続きを減らしたい」という思いがあった
——泉大津市では、数々の手続きにおいてオンライン化を進めています。今回取り組みをはじめた「飼い犬の登録、変更」のオンライン手続きは、どのような仕組みなのでしょうか。
新谷:「飼い犬の登録、変更」のオンライン手続きは、市民がオンラインで、飼い犬の登録・変更・死亡に関する手続きを行えるサービスです。市民は、これまで犬を新しく飼い始めたり、引っ越したりした際に、市役所まで行って対面で手続きを行う必要がありました。しかしオンラインに対応したことで、自宅や職場からスマートフォンで手続きができるようになりました。
環境課 係員 新谷 隆氏
——市民はどのような流れで手続きを行うのでしょうか。
新谷:市民は、スマートフォンやパソコンの画面から必要な内容を入力するだけで手続きを完了することができます。
市民は24時間いつでも、犬の登録、変更、死亡の際の申請をスマートフォンから行うことができる。
新谷:ただし現在のところ、登録・変更の際には後日、鑑札の受け渡しのために来庁いただく必要があります。死亡の際には鑑札のやりとりがないので、手続きはオンラインだけで完結します。今後は、オンライン決済を導入したり、鑑札を郵送したりすることによって、対面なしに、オンラインで完結できるようにしていきたいと考えています。
犬種のリストを申請が多い順に並べたり、回答した内容によって次の質問を変えるなど、市民が入力しやすいように工夫された入力画面。
導入後、市民からは「平日に役所に行けないので助かった」の声
——市民からはどのような反応がありましたか。
新谷:市民からは、「平日に市役所に行けないのでとても助かる」「わざわざ市役所まで行かなくてもよい」「時間に関係なく申請できて助かった」という声が届いています。
——システムの使い方に関するお問い合わせはありますか。
新谷:システムに関する問い合わせはありません。申請いただいた多くの方が、スムーズに利用できているのではないかと思います。
——職員目線ではどのようなメリットがありましたか。
新谷:オンライン申請は、業務の中断がなく、職員の都合がよいタイミングで申請が処理できる点が便利だと感じています。土日に届いた申請についても、週明けにまとめて確認できるため、業務に支障なく取り入れられています。
泉大津市で進む、全庁的なオンライン手続きの取り組み
——泉大津市が取り組む「バーチャル市役所」について教えてください。
奥田:泉大津市におけるオンライン化の背景にあるのが、2019年から進めている「バーチャル市役所」の取り組みです。「バーチャル市役所」とは、市民がオンラインで手続きを簡単に調べられるサービスです。
大野:「バーチャル市役所」は、市民サービスの向上を目指した取り組みです。人口減少、職員数の減少、大規模災害の頻発といった課題がある中で、市民サービスの維持・向上を目指し、市として着実にオンライン化を進めてきました。
——「バーチャル市役所」とあわせて、オンライン申請に取り組んだ背景を教えてください。
谷内:このような状況に加えて、2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大。感染防止に向けて、来庁しなくても手続きができる環境が市民からも強く求められるようになりました。
奥田:新型コロナウイルス感染症への対応などで、職員の業務量が増加しているといった状況も大きく影響しています。市民サービスを維持向上するためには、デジタル化によって、業務を効率化する観点が必要です。
左から、政策推進課 課長補佐 谷内 恵介氏、政策推進課 課長補佐兼デジタル行政推進担当長 奥田 高宜氏、政策推進課 係員 大野 孔明氏(泉大津市の高架下広場「もんとパーク」にて。「もんとパーク」の利用申請及び利用実績報告にも、オンライン申請を活用しています。)
奥田:こういった背景を受けて、市民が時間と場所にとらわれず、ウェブ上で手続きを完結する取り組みを進めてきました。例えば、水道の使用開始・中止届や職員採用試験の申し込みといった手続きについても、担当課の協力を得ながらオンライン化を進めています。
今後は、市民への広報に力を入れていきたい
——オンライン手続きを広げていくために、今後はどのようなことに取り組む予定でしょうか。
新谷:「飼い犬の登録、変更」のオンライン手続きに関しては、より多くの市民に役立てていただけるように広報面を工夫していきたいと思います。市のホームページだけではなく、獣医師経由の案内といった、目に触れる機会を増やしていきたいと考えています。
——環境課としては、「飼い犬の登録、変更」以外に、今後どのようなテーマでのオンライン化が考えられますか。
新谷:例えば、「幼児2人同乗用自転車購入費助成金」の申請などへの活用も検討していきたいと思います。従来は数回来庁する必要があったのですが、オンライン申請を導入することによって、申請者の来庁回数を減らすことができると考えています。
——政策推進課としては、今後どのように全庁的なオンライン化を進めていく予定でしょうか。
奥田:今後は、さらに多くの手続きについてオンライン申請を導入していきたいと考えています。例えば、イベント参加等の申し込みについては積極的にオンライン申請が取り入れられるのではないかと思っています。既にオンライン化に対応した担当課の声を庁内で共有しながら、市民にとって、よりメリットのあるサービスを作っていきたいと考えています。
泉大津市マスコットキャラクター「おづみん」と、プロジェクトメンバーの皆様。
取材:本山 紗奈、東 真希 / 写真:本山 紗奈 / 文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名は取材当時のものです。)
泉大津市が取り組む、「飼い犬の登録・変更手続き」のオンライン申請は「Graffer スマート申請」によって実現できます。導入時は、さまざまな優良事例を取り込んだテンプレートを活用可能。費用や導入期間については、
無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。
グラファー Govtech Trends編集部
Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。
株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。