要介護認定の確認が24時間可能に。いわき市でケアマネジャーの89%が「負担減」
国内事例

要介護認定の確認が24時間可能に。いわき市でケアマネジャーの89%が「負担減」

2026.03.24 Tue

要介護認定に関する電話問い合わせの削減に取り組む福島県いわき市。「Graffer 要介護認定照会」を導入することによって、ケアマネジャーが24時間いつでも認定状況を確認できる環境を整備しました。事業所の89%が負担軽減を実感し、職員と事業所の双方にメリットをもたらした取り組みについて、詳しく話を伺いました。

認定状況をオンラインで確認。電話対応の負担を大幅に削減

——「要介護認定照会」の仕組みについて教えてください。

星:「要介護認定照会」は、ケアマネジャー等がオンラインで要介護認定の進ちょく状況や認定結果を確認できる仕組みです。被保険者番号と申請日を入力すると、必要な情報を迅速に照会することができます。進ちょく状況だけでなく、認定結果も表示されるため、郵送を待つよりも早く結果を確認できるのが特長です。

オンラインで24時間いつでも、要介護認定の進ちょくが確認できる。

——実際に「要介護認定照会」を利用する事業所にはどのようなメリットがありますか。

星:事業所の業務負荷軽減につながっています。実際に「要介護認定照会」を利用した事業所の89%が「電話で進ちょく状況を照会する業務負担が減った」と回答しています。また、システム全体の満足度についても、5点満点中4.25点と高い評価を得ています。

——認定結果までシステムで分かる点については、事業所からどのような反応がありますか。

星:介護保険証が届く前に認定結果がオンラインで照会できるため、87%が業務効率化に役立つと回答しています。

事業所の業務負荷軽減や業務効率化につながっている。

——事業所からは、具体的にどのような反響や声が寄せられていますか。

星:「閉庁後でも進ちょくを確認できるようになった」「システムなら気兼ねなく確認できる」「システムがシンプルで操作しやすい」といった声が届いています。

事業所からポジティブな声が届いている。

——次は、職員のメリットについても教えてください。

星:導入前は、多いときで数分に1回の頻度で電話が入ることもあり、その都度業務が中断されていました。現在は月に平均約2,700件の照会がオンラインで行われています。

——月2,700件というのは、かなり多いですね。

星:そうですね。以前は「忙しい職員に電話をするのは気が引ける」と問い合わせを控えていたケアマネジャーの方も多かったようですが、システム化によって潜在的なニーズが可視化された形です。もし、現在寄せられている約2,700件の照会をすべて電話で受けていたと仮定すると、月に約45時間分(※)もの対応時間に相当します。システムがこの膨大な照会を自動で受け付けてくれるおかげで、実際の電話対応は大幅に減少し、職員は認定審査会の資料作成など、本来注力すべき業務に集中できるようになりました。 (※)1件1分と仮定した場合の試算

認定結果が出るまでの「30日」の壁。期間短縮を目指して

——導入のきっかけを教えてください。

鈴木:導入の背景には、要介護認定の通知までに要する期間が、法令で定められた「30日以内」という原則を超えていたという課題がありました。本来、認定結果は申請から30日以内に通知されるべきものですが、当時いわき市では平均40日、コロナ禍のピーク時には約47日を要する状況が続いていました。この通知の遅延は、市民が必要な介護サービスを適切なタイミングで受ける機会を損なうことにつながるため、一刻も早く改善したいと考えていました。

また、通知が遅れることで「結果はいつ出るのか」といった問い合わせの電話が発生し、その対応に職員が追われることで本来の事務作業がさらに遅れるという悪循環も起きていました。こうした状況を根本から改善するため、デジタルの力を活用した業務効率化が不可欠だと考えました。

——課題を解決するために、具体的にどのようなアクションを取られたのでしょうか。

鈴木:国の「新しい地方経済・生活環境創生交付金(※)」を活用し、「要介護認定照会」のシステム化を含む3つのDX施策をセットで申請しました。点ではなく面で対策を打つことで、認定事務全体のスピードアップを図る狙いがありました。

(※)新しい地方経済・生活環境創生交付金は申請当時の名称です。

保健福祉部 高齢福祉課 介護保険係 係長 鈴木 雅人氏

——システム選定はどのように進めたのでしょうか。

鈴木:他の自治体の先行事例を調査しながらソリューションを探しました。独自のシステム構築も検討しましたが、職員の異動があっても継続的に運用できることや、24時間365日いつでも利用できる安定性を重視し「Graffer 要介護認定照会」を選定しました。

毎朝の更新作業で最新の認定状況を反映

星:毎朝、介護認定の進ちょく状況などのデータを基幹システムからダウンロードし、照会システムへアップロードしています。進ちょくデータに加え、いわき市では居宅届データも取り込み、必要に応じてCSVの加工を行ったうえで更新しています。このような毎朝の更新作業によって、ケアマネジャーの方は常に最新の情報を確認できるようになっています。

保健福祉部 高齢福祉課 介護保険係 主事 星 蒼樹氏

事前周知の徹底でスムーズな導入を実現

——導入にあたって、広報面で工夫した点はありますか。

鈴木:2025年10月の本稼働に向けて、1カ月前の9月から周知を開始しました。ホームページへの掲載に加え、事業所向けのチラシを配布して、事前の利用登録を呼びかけました。チラシの作成にあたっては、グラファーから提供されたひな形をベースに、いわき市向けにアレンジすることで、効率的に準備を進めることができました。

事前にチラシを配布して、利用登録を呼びかけた。

——事前の反応はいかがでしたか。

鈴木:市内に約150ある介護事業所のうち、開始前の9月時点で約100事業所から登録申請がありました。まずはシステムを利用するための事業所登録を促し、9月末までに審査・登録を完了させるスケジュールで進めました。本稼働後は、事業所間の口コミなどで登録が進んでおり、スムーズな利用拡大につながっています。

さらなる期間短縮と利便性向上を目指して

——今後の展望を教えてください。

鈴木:今回の「要介護認定照会」システムに加え、並行して進めている他の2つの施策と合わせて、目標である認定期間の短縮化を実現していきたいと考えています。また、国の「介護情報基盤」についても動向を注視しています。接続時期などは未定ですが、今後も実際に利用する方々の利便性を第一に考えながら、市としての対応やシステムのあり方を判断していきたいと思います。

取材・写真:柏野幸大 / 取材・文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)

いわき市が取り組む、要介護認定照会のオンライン化は「Graffer 要介護認定照会システム」によって実現できます。費用や導入期間については、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。

いわき市
いわき市

人口:
33.29万人(令和2年国勢調査)

導入サービス:
Graffer 手続きガイド
Graffer 要介護認定照会