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2020.12.14 Mon

電子申請サービス刷新の効果とは。150種類のオンライン申請を新サービスへ移行する北九州市の狙い

電子申請サービスを刷新した北九州市。サービスの入れ替えを通じて目指すのが、「住民の利便性向上」と「事務の負荷軽減」とを両立するオンライン申請の実現です。150種類の手続きを段階的に移行する中で、どのような効果が得られたのか。サービス移行によって、住民への確認作業を5分の1に削減することに成功した「集団検診のオンライン申請」を例に取り上げます。聞き手:本山 紗奈、東 真希(Govtech Trends編集部)

電子申請サービス刷新の効果とは。150種類のオンライン申請を新サービスへ移行する北九州市の狙い

電子申請サービス刷新の効果とは。

——刷新の狙いを教えてください。

山本:電子申請サービスを刷新した狙いは、住民の利便性向上と、事務の効率化です。旧来利用していた汎用型の電子申請サービスは、多くの機能が利用できた反面、住民の使い勝手に改善の余地がありました。手続きによっては不備が発生しやすく、申請内容を住民に確認するための事務に負担がかかってしまっているものもありました。そこで押印廃止等を背景に、オンライン申請の効果を高めるために、電子申請サービスをリニューアル。2020年11月に「ネットで手続きガイド」として公開しました。12月末にはアンケートやイベントを含む150種類におよぶ手続きの移行を行いました。

総務局情報政策部 情報政策課企画ライン 主任 山本 貴之氏

——電子申請サービスを刷新したことによって、特に効果が得られた手続きを教えてください。

山本:特に効果が得られた手続きが、集団検診のオンライン申請です。集団検診のオンライン申請は、2020年8月から旧サービスを通じて受け付けていましたが、今回の電子申請サービス刷新に伴い、2020年11月から新サービスに移行しました。

集団検診オンライン化の背景
北九州市では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年8月分まで休止していた集団検診を、9月分から予約制で再開。その申請をオンライン申請および郵送で受け付けています。毎月30〜50か所で行われる集団検診に対して、オンラインでは毎月およそ500〜600件の申請を、郵送ではおよそ500〜800件の申請を受け付けています。利用者の多くは高齢者層です。

——集団検診のオンライン申請を刷新したことによって、どのような効果がありましたか。

古川:住民に対する確認作業の件数が、5分の1に減少しました。これまで発生していた、申請情報の不備が格段に少なくなったためです。

保健福祉局 健康推進課 健診係長 古川 久雄氏

——住民への確認が必要な申請は、全体の何%ほど発生するのでしょうか。

古川:旧サービスの際は、住民への確認が必要な申請は、20%程度発生していました。しかし、サービスを刷新したことで、住民への確認が必要な申請が、4%程度にまで減少しました。

図1:住民への確認が必要な申請件数の変化

——業務時間の観点では、どのくらいの削減効果がありましたか。

古川:月17時間の業務工数を削減しました。年間に換算すると204時間相当です。旧サービスでは月間1220分程度の確認作業が発生していましたが、サービスを刷新したことによって、月間200分程度に減少。削減された時間は他の業務に充てることができました。

図2:業務時間の削減効果


以前は、住民への確認作業に大きな負荷がかかっていた。

——旧サービスの頃には、どのような内容の申請不備があったのでしょうか。

古川:以前は、存在しない組み合わせの検診会場・日程が入力されるといった不備が発生していました。集団検診は、毎月30〜50か所の会場で実施しており、会場ごとに受けられる検診の種類や日程が異なります。そのため、利用者が「この日に受けたい」と考えても、該当する検診が全ての会場で受けられるわけではありません。しかし旧サービスでは会場が自由に入力できたことによって、日程と会場の組み合わせが正しくない状態で申請されることが多くありました。

——不備があった際には、どのような対応を行っていたのでしょうか。

古川:主に会計年度任用職員2名が、電話で住民への確認作業を行っていました。確認件数は多く、さらに電話がつながらない場合には郵送で連絡していたため、業務負荷がかかっていました。確認作業のために一日中電話をしているような状況でした。


なぜ新サービスで申請不備が解消されたのか。ポイントは「利用者目線」

——新サービスへの移行によって、不備の内容にはどのような変化がありましたか。

古川:新サービスに移行したことによって、不備の内容は、かなり限定的なものに絞り込まれました。たとえば、存在しない検診会場・日程の組み合わせで申請されていた不備については、現在は適切な選択肢の中から選べるようになったため、発生しなくなりました。

図3:新サービスの画面イメージ
希望の区を選択すると、日時・会場がセットになった選択肢から選ぶことができる。利用者は自分に関係がある情報だけを確認すればよい。

——新サービスは、以前とはどのような点が異なるのでしょうか。

古川:新サービスは、利用者目線を重視しているのが最大の違いです。利用者が、より簡単に、ミスなく入力できるような工夫を行っています。たとえば、一部の申請者にしか関係ない項目は、特定の選択肢を選んだ場合にしか表示しないようにしています。このような入力制御を組み合わせることによって、利用者はより簡単に申請できるようになります。

——利用者目線という観点で、他にはどのような違いがありますか。

古川:スマートフォンでの操作が簡単に行えるようにしています。たとえば、旧サービスはPCでの入力を前提としていたため、スマートフォンから申請する住民にとって使い勝手のよいものではありませんでした。新サービスは、スマートフォンにも最適化されており、最小限のスクロールで操作を進めることができます。


利用者からは「分かりやすく便利」「郵送よりも簡単」の声

——利用者からは、どのような反応がありましたか。

山本:実際の利用者からは「分かりやすく便利だった」という反応がありました。「こんなに簡単にできるとは思わなかった」「いつでも予約できるのがよい」といった声も届いています。

古川:操作方法が分からないといった問い合わせはほどんどありません。以前は、操作に関する問い合わせがありましたが、新サービスに移行したことでほとんど発生しなくなりました。

また、「ハガキによる郵送手続きよりも手間がかからない」という声もありました。実際に申請してみると、ハガキによる郵送申請よりもオンライン申請のほうが、かなり簡単に申請できます。今回のように、対象者に高齢者が多い手続きでは、仮にパソコンやスマートフォンをお持ちであっても、オンライン申請を避ける住民も見受けられます。本来、オンライン申請は、市民の利便性を高めながら、事務を効率化できる仕組みです。そのため、今後はオンライン申請の利用率を高めるための周知・啓発活動にも尽力していきたいと考えています。


北九州市が活用する、職員自らが申請項目を設定できる「セルフサーブタイプ」とは

——今回のサービス刷新には、「Graffer スマート申請」の「セルフサーブタイプ」を活用いただいています。セルフサーブタイプのどのような点を評価されましたか。

山本:「Graffer スマート申請」の「セルフサーブタイプ」は、職員自らがオンライン申請の画面を作成できるサービスです。設定画面はシンプルで見やすく、整理されています。

図4:「Graffer スマート申請」セルフサーブタイプとは
職員自らがオンライン申請を自由に構築できる。たとえば、マイナンバーカードによる認証、クレジットカード決済などは、設定を変更するだけで簡単に取り入れることができる。入力項目を必須入力にしたり、任意入力にしたりといった変更にも難しい操作は必要ない。

——「セルフサーブタイプ」をどのように利用していきますか。

山本:職員が「セルフサーブタイプ」を設定する際に、プログラミングなどの特別なスキルは必要ありません。部品を組み合わせるイメージで設定していくため、現場の職員が簡単に操作することができます。原課が主導して情報政策課やグラファーがサポートする形で、オンライン化に対応していくことができます。

今後は、オンライン申請をさらに浸透させていく

——「セルフサーブタイプ」を活用して、今後はどのようなことに取り組んでいきますか。

山本:今後は、現在のサービスの移行に加え、さらに新たな手続きを追加してオンライン化を推進していきます。移行の際には、旧来の内容をそのまま移行するのではなく、表現を見直しながら、使い勝手がよりよくなるように刷新します。その後は、これまでオンライン申請に対応していなかった申請についても、オンライン化していきたいと考えています。

左から

株式会社グラファー:柏野 幸大、畠山 陽佑、及川 涼介、吉岡 翔子、竹村 まり江

北九州市:情報政策部長 神野 洋一氏、情報政策課 主任 山本 貴之氏、情報政策係長 藤原 弘光氏、情報政策課長 浜崎 善則氏、情報政策課 主任 古賀 直樹氏、情報政策課 井上 あゆみ氏、行政経営課 主任 髙野 明歩氏

写真:本山 紗奈、野手 咲芳 / 文:東 真希 (Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。)


北九州市のオンライン申請は「Graffer スマート申請」によって実現することができます。あらゆる行政手続きをスマートフォンやパソコンから完結できるため市民メリットが大きく、事務コストの削減にもつながります。セルフサーブタイプを活用することで、職員自らがオンライン申請を作成できます。費用や導入期間については、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

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