何からはじめればよい? 行政デジタル化の「第一歩」に選ぶべき手続きとは
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何からはじめればよい? 行政デジタル化の「第一歩」に選ぶべき手続きとは

2021.02.26 Fri

これからデジタル化に本格的に取り掛かろうと考える自治体の悩みの一つが、「どのような分野の手続きからオンライン化をはじめたらよいかが分からない」という課題です。実際に、当社が2020年8月に実施した調査(※)では、33%がこのような課題感を持っていることが明らかになっています。ではどのような分野から始めるべきか、当社が実際に業務調査を実施した中からポイントをまとめでご紹介します。

(※)「新型コロナウイルスと行政デジタル化に係る緊急調査」の設問「デジタル化を推進するために必要としている情報」において、33%が「どの分野からどのような手法でデジタル化を進めればいいか初期段階からの情報」と回答。人口5万人未満の自治体においては42%が同選択肢を選択しています。

オンライン化に適した手続きとは

手続きのオンライン化に適した手続きを選定する際には、一定の基準を設けて手続きを絞り込みます。その際にひとつの基準となるのが、「申請数の観点」、「法律による制約の観点」、「添付書類の観点」です。

以下の図1で、申請数が一定以上あり、添付書類が申請者の手元にあり、対面交付や紙原本が必須ではない手続き。つまり、次の3つの円が重なる部分が、オンライン化に適した手続きを検討するベースとなります。


図1:オンライン化に適した手続き

オンライン化に取り組む分野の選び方

3つの円が重なる、オンライン化に適した部分を選別するには、次の図2が役立ちます。流れに沿って手続きを選定していくことで、「オンライン化に適した手続き」、「検討が必要な手続き」、「オンライン化に適さない手続き」に分けることができます。

まずは申請数で絞り込み、次に法律による制約や、添付書類の観点で絞り込みます。最初に申請数で絞り込むのは、一定の申請数でふるいにかけることによって、効率的に調査を行うことができるためです。


図2:オンライン化に取り組む分野の選び方


申請数の基準とは(※1)

申請数の基準は、自治体の規模によって異なります。たとえば1日1件以上の申請や、年間1,000件以上の申請といった基準で選定します。申請数によって選別するのは、一定ボリュームがある手続きのほうが、申請者に対して「デジタル化に対応した手続きがある」という認知が進むためです。デジタル化が推進されていることを職員が体感することで次のステップに進めやすいといったメリットもあります。

紙原本が必要かどうか(※2)

申請書や添付書類に紙原本が必要な手続きは、オンライン化に適さないと判断します。最終的に、別途郵送が必要となったり、提出のために窓口に出向く必要が出てくるためです。

添付書類が申請者の手元にあるかどうか(※3)

添付書類が、申請者の手元にある免許証や通帳の場合にはオンライン化に適していると考えます。たとえ添付書類が複数あったとしても、スマートフォンで撮影して添付するだけでよいためです。一方、役所に取りに行く必要がある書類の添付が必要な手続きは、オンライン化に適さないと判断します。役所に取りに行った際にあわせて手続きを行うためです。

絞り込みをしたあとは優先度をつける

図2の流れに沿うことによって、オンライン化に取りかかる際の手続きを選定しやすくなります。それでも優先度に迷う場合や、選定の結果、オンライン化に適した手続きが複数ある場合には、「効率化することによる業務量の削減効果が大きい手続き」、「先行事例がある手続き」「新しく制定される手続き」を優先します。

「まずは第一歩をはじめたい」自治体の方に

オンライン化をはじめる分野を選定するためには、幅広い業務調査を行う方法があります。しかし、調査対象手続きは数多く、何から取り掛かればよいのかが分からず、二の足を踏むケースも見られます。「まずは第一歩をはじめたい」という自治体の方はぜひ、指針の一つとして、今回ご紹介した方法をご活用ください。

行政デジタル化の実現に向けて、各自治体では取り組みが進んでいます。デジタル改革を後押しするのは、あらゆる行政手続きをオンラインで完結する「Graffer スマート申請」、簡単な質問に答えるだけで行政手続きを洗い出せる「Graffer 手続きガイド」などの製品です。Graffer 製品の導入期間や費用については、お問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
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