【ガブテックイベント】Govtech Conference Japan #2「ベンチャーとの協業」登壇レポート
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【ガブテックイベント】Govtech Conference Japan #2「ベンチャーとの協業」登壇レポート

2019.10.17 Thu

2019年9月27日に東京で開催された「Govtech Conference Japan #02」。行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する行政担当者が集う、国内最大級のGovtechイベントです。経済産業省が主催するこのカンファレンスは今回で第2回を迎え、デジタル行政に関わる充実した内容が語られています。今回は「ベンチャーとの協業」に関するパネルディスカッションで議論された、ベンチャーによって自治体の課題をどう解決するのか?よいスタートアップと協働するにはどうしたらよいのか?などの話題についてご紹介します。

取材・写真:田村 愛、文:東 真希(Govtech Trends 編集部)

行政とスタートアップの協働にはどんなメリットがあるのか。

まずコード・フォー・ジャパンの関氏から紹介されたのが、行政とスタートアップがなぜ一緒に仕事をするのか、お互いにメリットはあるのかという内容です。

一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事 関 治之氏

行政側がスタートアップと協働するメリットとしては、行政にない視点を得ることができる点や、最新の技術を導入できる点、優れたUXが提供できるという点などが挙げられます。スタートアップが提供するものと同じようなものを個別開発する場合には非常にコストがかかるため、スタートアップとの連携はコスト面でもメリットがあります。

逆にスタートアップ側のメリットとしては、市役所の職員がステークホルダーと調整してくれるという点や、現場(フィールド)が必要な製品の場合、サービスの実証が行える点や、認知度向上につながるという点です。

しかし、行政がスタートアップと連携するには、お互いにその文化や環境の違いにも目を向ける必要があると関氏は語ります。例えば、行政では部門を超えた調整が行いづらい点や、プロジェクトを進めたい部門と現場が異なる場合がある点があります。スタートアップ側は、大企業ほどリソースがなかったり、時には方針転換によって事業自体がなくなってしまうケースがあるということもあります。

このようなミスマッチを乗り越えて、一緒にやっていくことでお互いに大きなメリットを得ることができるのです。

横浜市、鎌倉市が語るベンチャーとうまく付き合う秘訣とは

ベンチャーとうまく付き合う際には「合わせてもらうという方法もある」と語るのは横浜市の石塚氏。

横浜市経済局ICT専任職/総務省地域情報化アドバイザー 石塚 清香氏

「ベンチャーが提供するサービスは、必ずしも行政向けに作られたものばかりではありません。しかし、他のことに使えるのではないか?と考えることで、行政特有の課題解決に役立てることができます」と石塚氏は語ります。

鎌倉市の橋本氏は、ベンチャーが提供する製品に合わせながらも、行政側の運用を変えなくても導入できるラインを見極めることも大切だと言います。

鎌倉市 行政経営部 行政経営課 担当課長 橋本 怜子氏

鎌倉市では、市民に分かりやすく手続きを案内する「鎌倉市 くらしの手続きガイド」の導入した際、グラファーの「手続きガイド」の枠組みをそのまま利用しつつ、現場の業務は変えない点にこだわりました。

よいベンチャーを見つける方法とは

よいベンチャーを探す際には、ピンポイントで明らかな課題があって探すケースは少なく、様々なサービスにアンテナを張る中で、利用できそうな箇所を見つけていく、と語るのは鎌倉市の橋本氏。

横浜市の石塚氏は「ベンチャーとの出会いには常にアンテナを張っている」と言います。横浜市では、ベンチャーなどの民間からの提案をオンラインで受け付ける公式窓口を設置。24時間受け付けを行う工夫を行っています。

株式会社グラファー 代表取締役CEO 石井 大地

グラファーの石井からは、ベンチャー側の立場では、最初は人づてでの紹介で話が進むケースも多いことを紹介。しかし一度事例ができると、一気に展開が広がると語りました

今後のベンチャーとの取り組み

横浜市では、社会課題の解決に向けて「イノベーション都市・横浜」の取り組みの中で、ベンチャー企業成長支援拠点の立ち上げを予定しています。市としてベンチャー支援を行なっていくことで、よりベンチャーとのコラボレーションを加速化させる動きを進めています。

さいごに

「Govtech Conference Japan #02」のイベントレポートを紹介しました。行政とスタートアップが連携し、テクノロジーを使って効率化を進めるには、今回のイベントで語られたような、ベンチャーの見つけ方や付き合い方を押さえておくことも重要です。多くの自治体がデジタル行政の本格的な実現に向けて動き出す中、1つの観点として参考になれば幸いです。

(※文中の敬称略。所属や氏名は取材当時のものです。)

行政デジタル化の実現に向けて、各自治体では取り組みが進んでいます。デジタル改革を後押しするのは、あらゆる行政手続きをオンラインで完結する「Graffer スマート申請」、簡単な質問に答えるだけで行政手続きを洗い出せる「Graffer 手続きガイド」などの製品です。Graffer 製品の導入期間や費用については、お問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

株式会社グラファー
Govtech Trendsを運営するグラファーは、テクノロジーの力で、従来の行政システムが抱えるさまざまな課題を解決するスタートアップ企業です。『Digital Government for the People』をミッションに掲げ、行政の電子化を支援しています。