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2020.03.19 Thu

政府・自治体のデータ活用でトラブルを避けるために必要な「データ倫理」とは

デジタル行政やデータ活用が進むにつれて、あらたな課題となるのが「データ倫理」です。国民から集めたデータはどのように管理し、活用していくべきなのでしょうか。政府や自治体には、すべての国民に対する公平な枠組みが求められています。

政府や自治体が倫理的にデータを活用するために意識すべきことや、イリノイ州クック郡の初代最高データ責任者であるデッサ・ジパロが語る、データ倫理で重要な6つの原則について解説します。

政府・自治体のデータ活用でトラブルを避けるために必要な「データ倫理」とは

政府・自治体がデータを活用する際に必要な「データ倫理」とは?

データ時代の中、これからの政府や自治体にはデータ倫理への対応が求められています。データ倫理とは、収集したデータを「倫理的に」活用することです。日本では行政のデジタル化に伴い、データの蓄積や分析が急速に進みつつあります。しかし、どのようなポリシーでデータを活用すべきかは明確に統制が取られていません。データの取り扱いや活用に関する考え方を定めるための、さらなる議論が必要となってきています。


社会全体でデジタル化が進むアメリカにおいても、データ活用に関する倫理はまだ発展途上です。デジタル化が進むアメリカの民間企業を考えても、データが「倫理的に」取り扱われている状況とはいえません。そのため近年では、データ倫理を原因としたさまざまなトラブルが議論の的になっています。たとえばFacebookやGoogleなどのハイテク企業では、差別的な広告配信、顔認識データの悪用、データの不正取得などを原因とした訴訟が相次いでいます。データを「倫理的に」扱うことは社会の関心となり、責任ある対応が求められているのです。

政府・自治体は、社会的弱者を含むすべての国民にサービスを提供する必要がある

政府や自治体がデータを活用する際に重要な観点が、全ての国民に対して公平に、データサービスのメリットを提供する必要があるという点です。ビッグデータを利活用することによって、国民に社会的不平等を与えてはなりません。行政・自治体には、民間企業での反省を活かした対応が求められています。


とくに必要なのが、社会的弱者に与える潜在的な影響を緩和する観点です。政府や自治体において、AIの活用や高度なデータ分析を行う際には、データの収集、利用、保存の方法が、社会的弱者に不利益を与えるものでないかを考える責任があります。すべての国民に公明正大なデジタルサービスを提供するには、データ倫理に関する十分な議論を行ったうえで、ガイドラインを定めるなどの対策を取ることが求められます。

倫理的なデータ活用のための「6つの基本原則」

イリノイ州クック郡の初代最高データ責任者であるデッサ・ジパロは、倫理的なデータ活用のためには、「所有権」「透明性」「開放性」「プライバシー」「承諾」「情報や知識の活用能力」の6つの原則を組み込むことが必要だと提唱しています。

ジパロ氏が提唱するのは、データの所有者を明確にすること、データを取得する際には利用方法を明確にすること、機密情報を公開しないこと、プライバシーに配慮したうえで詳細情報を適切に一般公開すること、コードやアルゴリズムについても文書化すること、専門用語を使用しないことです。

1)所有権
そのデータの所有者は誰か?データ媒体およびデータ・システムの両方で所有権が明確になることによりデータへのアクセス方法と利用方法を明確に理解可能となる。
2)承諾
どの様な情報が収集されており、どの様に利用されているのかを明確にすべきであり、個人がデータ収集することを直ぐに止めさせるべきである。
3)プライバシー
機密情報または保護されている情報を非公開にする。
4)開放性
「蓄積された情報」または「行レベルの些細な情報」を適切な場所で公衆に開放すべきである(プライバシーと承諾を念頭に置いて)。辞書のように使い易い機械判読可能なデータ形式によりオープン・データが公開されることでガバナンス構造を構築すべきである。
5)透明性
文書化および意思決定のプロセスだけでなく、データと組み合わせて使用されるコードまたはアルゴリズムを文書化することにより透明性が確保されるべきである。
6)情報や知識の活用能力
データについて話したり表示したりする時、専門用語を使用するべきではない。利用者について知り、利用者と協力して可能な限り共通言語を作り上げていくべきである。

ーデッサ・ジパロー

引用元:『Government Data Needs an Ethical Foundation (Contributed)
訳:Toshihiro Hatano(Govtech Trends編集部)

実際の例

たとえば、1) 所有権・2) 承諾・3) プライバシーに関連して、近年全世界でデータ倫理上問題となったのが、「Cookie(クッキー)」の利用です。Cookieとは、ユーザーのWeb上での行動をPCやスマホに保存するための機能です。サイトによってはどのページを閲覧したのか・その日時・訪問回数などの内容が記録させることができます。これまでCookieは多くの企業で利用されてきましたが、個人情報にあたるとして、2018年頃からEUをはじめ全世界で厳しい法規制が始まっています。

欧米企業のWebサービスでは、Cookieの利用をユーザー自身が設定できるような対応が実施されている。出典:Airbnb

4) 透明性に関しても、データ倫理に関する世論の高まりから、どのようにデータを取り扱っているかを公開する企業が増えつつあります。どのようなアルゴリズムで個人情報を扱っているのかを公開し、その内容を改善しています。

データの取り扱いを全ユーザーにオープンにしている。 
出典:Apple

日本でも、リクナビを運営するリクルートキャリアが本人の承諾なしに個人データを使用したことで問題となりました。これは、3) 承諾の観点を無視し、閲覧履歴などを基に内定辞退率を予測、販売していたことが原因の一つです。

データを扱う機会が増えるにつれて、このような原則に配慮した慎重な対応が求められる機会は増加します。政府や自治体では、すでにあるポリシーを見直し、これまで以上に増えるデジタルデータの活用に備える必要があります。

まとめ:日本の政府・自治体でも「データ倫理」に関する定義が必要となってきている

政府や自治体でのデジタル化が進むにつれて、データ倫理の必要性は急速に高まります。国民から収集したデータをどのように運用・管理すべきか、政府はどのような指針を出すべきか。統制を取って取り組んでいくことが日本でも必要とされはじめているのではないでしょうか。

出典:『Government Data Needs an Ethical Foundation (Contributed)

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