障害者手帳で受けられる支援案内にデジタルを活用する福島市「少ない質問数で適切に必要な制度を案内」
国内事例

障害者手帳で受けられる支援案内にデジタルを活用する福島市「少ない質問数で適切に必要な制度を案内」

2023.11.06 Mon

心身に障がいを持つ方への支援案内にデジタルを活用する福島市。「Graffer 手続きガイド」を活用することで、スマートフォンから障害者手帳で受けられる支援制度を簡単に見つけ出せる仕組みを用意しました。

スマートフォンやPCから質問に答えるだけで利用できる制度が分かる「障害者手帳で受けられるサービスガイド」

——「障害者手帳で受けられるサービスガイド」について詳しく教えてください。

「障害者手帳で受けられるサービスガイド」は、スマートフォンやPCで簡単な質問に回答していくと、障害者手帳で利用できる制度や支援策が確認できるサービスです。新しく障害者手帳を受け取った際や等級が変更になった際などに、多数の支援策の中から自分に必要な可能性のあるものだけを選び出すことができます。

「等級は何級ですか?」といった簡単な質問に回答していくだけで、50件を超える手当や支援事業などの中から関連するものだけを選別できる。結果画面では、手続きの場所や必要な持ち物、問い合わせ先といった必要な情報をまとめて確認可能。

——「障害者手帳で受けられるサービスガイド」を始める以前は、どのように案内を行っていたのでしょうか。

以前は、障がい者向けの手引に記載されている支援策のリストの中から、当てはまるものがどれか、目視で探し出す必要がありました。年齢や等級などの条件によって受けられる支援策は異なるため、リストから選び出すのは簡単ではありませんでした。

以前は、手引にあるリストの中から必要な支援策を探し出す必要があった。

少ない質問数で簡単に回答できるように工夫

——ガイドを構築する際に工夫した点はありますか。

利用者が簡単に操作できるように、質問数をできるだけ少なくしました。質問を多くすれば、それだけ正確な絞り込みができる可能性も高まりますが、利用者が「分かりにくい」と感じて途中で離脱してしまっては意味がありません。

質問の順序についても、利用者が回答しやすいように工夫しています。窓口で人がヒアリングを行うように、なるべく大まかな内容から聞いてどんどん細かい内容に遷移していくようにすることで、回答しやすいようにしています。

健康福祉部 障がい福祉課 自立支援係 三川 祥史氏

——利用者の視点でガイドを構築されたのですね。他にはどのような点に配慮しましたか。

専門用語を使わないように配慮しました。正式名称にこだわりすぎず、できるだけなじみのある分かりやすい用語を選択しました。どうしても難易度の高い用語を使う際には、「Graffer 手続きガイド」の注釈機能を活用して、説明文を追加するようにしています。

難しい用語を使う場合には注釈を入れて、利用者の分かりやすさに配慮した。

——導入時はどのような流れで構築を進めましたか。

2022年5月に検討を開始し、6月に初期的な構築を行いました。その後、課内で何人かの職員にテスト利用を依頼し、得られたフィードバックをもとにガイドを修正していきました。10月に内部向け公開、11月には一般向け公開を行っています。公開までにかかった作業時間は修正も含めて約20時間です。

——2022年11月にガイドを公開した後は、内容の見直しなどを行っていますか。

福祉制度は毎年法改正があるため、年1回はガイドの見直しと修正を行っています。操作方法としては、Excelのシートをアップロードするだけのため、修正にかかる時間は1時間ほどです。

利用者からは「分かりやすい」などの反応

——利用者からはどのような反応がありましたか。

利用者からは「分かりやすい」「便利だった」などの反応がありました。これまでは電話や窓口で問い合わせを行う必要がありましたが、「障害者手帳で受けられるサービスガイド」を使えば、24時間いつでも簡単に情報を確認することができます。簡単な質問に回答していくだけのため、耳の不自由な方や精神障がいのある方など電話や来庁が難しい方も含めて、利用者の利便性向上につながっていると感じています。


ガイドに対して利用者からはポジティブな反応が届いた。

今後はさらなる周知や職員の活用にも取り組んでいく

——今後はどのような取り組みを行う予定ですか。

今後も、継続的に利用者への周知に取り組んでいきたいと思います。現在は「障がい者福祉のてびき」に二次元コードを記載したり、A4サイズのチラシを窓口に設置したりすることで、利用者への周知を行っています。また、利用者に対して資料を送付する際の封筒にも二次元コードを印字しています。今後も必要な方に情報を届けるために工夫できる点がないか検討していきたいと考えています。

「障がい者福祉のてびき」の他、チラシや封筒への印字などを通じてガイドの案内を行っている。

職員の活用についても検討していきたいと考えています。このガイドは、利用者だけではなく職員にとっても心強いツールです。特に異動して間もない職員の場合、支援策のすべてを把握するのは簡単ではありません。こういったケースでも「障害者手帳で受けられるサービスガイド」を活用することによって、情報の抜け漏れを防ぎ、応対の質を均一化することができると考えています。さまざまな工夫を通じて、今後も利用者の利便性向上や職員の負荷軽減に取り組んでまいります。


取材:佐竹 佳穂 / 取材・撮影・文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)

福島市が取り組む、「障害者手帳で受けられるサービスガイド」のオンライン化は「Graffer 手続きガイド」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。

グラファー Govtech Trends編集部

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