国内事例
福岡市消防局「政令市初の許可書廃止。申請〜決済まで一気通貫でオンライン化」
2024.09.18 Wed
消防庁の「予防業務優良事例表彰」で消防庁長官賞を受賞した、福岡市消防局。「Graffer スマート申請」を活用することによって申請・届出をオンライン化し、事業者の負担を大幅に軽減しました。
一気通貫したオンライン化で、消防庁長官賞を受賞
——危険物・石油コンビナートに関するオンライン申請の仕組みについて教えてください。
危険物・石油コンビナートに関するオンライン申請は、事業者の行う危険物施設の設置許可などの申請・届出がインターネット上で行える仕組みです。
危険物施設・石油コンビナート関係の事業者の手続き全てをオンラインで完結することができる。
——今回の取り組みは消防庁長官賞を受賞されていますね。どのような点が評価につながったのでしょうか。
政令市で初となる許可書の廃止に大きな評価を頂きました。具体的には、これまでは許可書を交付していましたが、申請書に許可印を押印したものを許可書と同等のものとして運用する方法に変更しました。さらに、許可後の申請書をオンラインで返付することによって、申請者の利便性向上とペーパーレス化を図りました。
また、ネット決済の導入によって、申請・届出だけではなく、決済まで一気通貫でオンライン化した点も評価につながりました。
事業者が提出した申請書に押印を行い、従前の許可書と同等のものとして取り扱っている。
事業者が手続きに要していた時間を大幅に削減
——オンライン化によって、どのような効果がありましたか。
手続きに要する事業者の時間を削減することができました。特に県外の事業者にとっては、移動時間や滞在時間を含めると、これまで手続きのために約6時間かかっている場合もあるようでした。これがオンライン化によって、約30分にまで短縮することができているようです。
これまで事業者が手続きのために要していた時間を大幅に短縮することができた。
——具体的に、事業者のどのような業務が削減されたのでしょうか。
オンライン化によって、窓口への申請書類の提出、銀行での手数料の納付といった業務を削減することができました。事業者は、書類の作成から決済まで、すべての作業をパソコンだけで完結することができます。
申請や手数料納付に関する事業者の手間を大幅に削減した。
——事業者からはどのような反響がありましたか。
事業者からは「移動時間が大幅に省けた」や「交通費の削減に繋がった」などのポジティブな反響が届いています。「クレジットカード決済ができるように、会社のルールを整備する」という事業者もいるほど、メリットを感じていただけているようです。
事業者からは、多くのポジティブな声が届いた。
事業者の行動にあわせた申請フォームを作成
——今回の取り組みでは、約100件の申請・届出を短期間でオンラインにより完結しています。申請フォームを作るうえでどのような点を工夫しましたか。
今回は、全ての申請に対してフォームを作成するのではなく、「申請用」「届出用」「窓口クレジット決済用」の3つのフォームのみを用意しました。事業者はまずWord形式などのデータに入力し、その後データをフォーム上から送信する流れで申請・届出を行います。
福岡市消防局予防部指導課危険物係 消防士長 重松 亮太氏
——一般的には1件1件の手続きに対してフォームを用意するケースが多いかと思います。今回このような方法をとったのはなぜですか。
事業者向けの手続きでは、一度に複数の申請・届出を行うケースが多いため、このような形式を取りました。もちろん、事務処理を考えると、項目をフォームに入力してもらったほうがデータの受付や処理はスムーズになるため、今後オンライン申請数の増加に伴い見直す可能性はあります。しかし今回は、まずは短期間でオンライン化して、事業者の反応を見ながら改善していくことを選択しました。
——事務の面についても教えてください。職員はどのような流れで業務を行うのでしょうか。
職員はまず、申請が届いたら画面上で審査を行います。あわせて、庁内決裁用に申請書を印刷します。印刷した申請書に許可印の押印を行ったうえでスキャンする流れで事務運用を行っています。
オンライン化したことによって、職員の業務にも変化があった。
今後は利用率の向上などに取り組んでいく
——今後はどのようなことに取り組んでいく予定でしょうか。
まずは、オンライン申請の利用率の向上に取り組んでいきたいと考えています。公開から半年時点での利用率は約15%で、オンライン化を受け入れる体制を整えながら取り組みを進めています。今後は、事業者に対して積極的に広報していくことによって、より多くの方に使っていただけるようにしていく考えです。
さらに、利用者の声や他都市の事例をもとにした積極的な改善も行っていきます。今回オンライン化した申請・届出以外のものについても取り組んでいくことで、事業者のさらなる利便性向上と職員の業務効率化を図ってまいります。
取材・写真:柏野幸大 / 文:東 真希(Govtech Trends編集部)
(※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。)
福岡市が取り組む、消防関連手続きのオンライン化は「Graffer スマート申請」によって実現できます。複雑なプログラミングや手続きは必要ありません。情報の追加や変更も追加費用なしで分かりやすく設定することができます。費用や導入期間などについては、無料お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。
グラファー Govtech Trends編集部
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