PS-LTE(公共安全LTE)の世界最新動向。アメリカ サンノゼがFirst Netを配置
海外動向

PS-LTE(公共安全LTE)の世界最新動向。アメリカ サンノゼがFirst Netを配置

2019.09.25 Wed

PS-LTE(公共安全LTE)が、全米に先駆け、アメリカのカリフォルニア州サンノゼで全面導入されました。海外アメリカでは「FirstNet」と呼ばれ、高速で大量のデータをやりとりできるなどメリットが大きいPS-LTE。日本では総務省が中心となってオリンピックが開催される2020年に向けて検討が進んでいます。消防や警察が緊急時に利用する通信ネットワークであるPS-LTEとは何か、どのような仕組みなのかなどを、世界が注目するサンノゼの事例を踏まえて解説します。

PS-LTEとは

PS-LTEとは、Public Safety-LTEの略で、警察や消防などの公共用に整備された高速な専用LTEネットワークのことを意味します。震災や自然災害などの緊急事態に、人命救助を適切に行う際には映像等にも対応したリアルタイムな通信が必要です。

しかし、現在の日本の公共用ネットワークは、音声通信のみの無線システムの仕組みが利用されています(2019年9月現在)。また、警察や消防がそれぞれ独自のネットワークを整備しているため、膨大な整備や運用コストがかかっているという課題もあります。そこで、総務省ではオリンピックの開催される2020年に向けて「電波有効利用成長戦略懇談会」を開催し、PS-LTEの検討を具体的に進めています。

図:「電波有効利用成長戦略懇談会 報告書 概要:別紙1」より(スライド14参照)
PS-LTEは、回線速度が速く大量の画像や映像に対応した回線であることが特徴。非常時に迅速に公共安全をサポートすることができるというメリットがある。セキュリティ面にも配慮されている。

【世界最新事例】アメリカ サンノゼのPS-LTE「FirstNet」

アメリカのカリフォルニア州サンノゼでは、全米で初めて米国版PS-LTEである「FirstNet」を救急救命士など、市全体のすべての組織へ導入したと発表しました。アメリカでは9.11同時多発テロを機に70億ドルをかけて公共安全モバイルブロードバンドの整備を実施。緊急時のための中央監視体制と近代化を推し進めていましたが、長い年月を経て、遂にサンノゼが全面導入を実施したのです。

今回のサンノゼで展開された“FirstNet”の全公共機関は以下の通りである。

①警察署 ②消防署 ③緊急管理室 ④市政担当者 ⑤環境サービス ⑥公園 ⑦空港 ⑧シビック・イノベーション・オフィス ⑨公共事業 ⑩交通機関

引用元:What’s New in Civic Tech: San Jose, Calif., Joins FirstNet

訳:Toshihiro Hatano(Govtech Trends編集部)

サンノゼでは、全米に先立ちFirst Netを全面導入することで信頼性の高い公共安全サービスを提供することを目指しています。民間通信企業であるAT&Tがネットワークを構築しており、時代にそぐわない遅い通信網から、先進技術を活用した高速な仕組みへと移行したことで全世界の注目が集まっています。

サンノゼ市職員は、今後は非常事態の支援のための様々な市行政機関が市民から頻繁な支援要請の呼び出しを受けることが想定されるため、 “FirstNet”により多くの公共機関に参加を促していくことを表明した。

引用元:What’s New in Civic Tech: San Jose, Calif., Joins FirstNet

訳:Toshihiro Hatano(Govtech Trends編集部)

まとめ

PS-LTEの最新事例であるアメリカのカリフォルニア州サンノゼの「FirstNet」全面導入の取り組みをご紹介しました。警察や消防などの公共機関が、緊急時に重要な情報を高速に通信することができるPS-LTE。

民間の最新技術を取り入れることで、非常時でも使えるネットワークを張り巡らせることができる仕組みです。アメリカや韓国などの海外のみならず、日本での今後の導入にも注目が集まります。

出典:https://www.govtech.com/civic/Whats-New-in-Civic-Tech-San-Jose-Calif-Joins-FirstNet.html

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グラファー Govtech Trends編集部

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