「変革は人の意志からはじまる」Govtech事業責任者が語る行政DXの可能性と働きがい

こんにちは。HRの畑中です。
今回は、Govtech事業の事業責任者を務める澤田に話を聞きます。

澤田自身の転職経緯、前職経験から当社業務に活かせているものなどを通して、グラファーのGovtech事業部で活き活きと働くメンバーに共通している能力・姿勢について紹介します。

澤田 淳
VP of Business(GovTech事業)
(執行役員・Govtech事業担当)

<プロフィール>
3M Japanでのファイナンス業務経験を経て、GCA(現Houlihan Lokey)に入社。GCAでは、TMT業界を中心としたM&A/PMI、アライアンス戦略策定に携わる。2021年10月にグラファーに経営企画として参画。2023年12月より現任

リアルな声から課題を捉え、デジタル基盤で解決するGovtech

–事業内容を教えてください。

行政と住民をつなぐ業務プロセス全体をデジタル技術で変革し、行政サービスの利便性向上、業務全体の最適化を実現する事業を行なっています。「Govtech」と呼ばれる分野で、住民接点から行政の内部事務まで、行政サービスの各工程ごとにサービス・支援を提供しています。

  • Graffer スマート申請…行政手続きをスマートフォンで完結するデジタル行政プラットフォーム

  • Graffer Call…AIとプッシュダイヤルを活用して、庁舎への受電応対業務、市民・事業者への発信業務を効率化するサービス

  • Graffer 手続きガイド…市民や事業者が、質問に答えていくだけで自分に必要な手続きが分かる、手続き案内サービス

  • Graffer 窓口予約…窓口業務の負担を軽減し、スムーズな体験を提供するオンライン予約

  • お悩みハンドブック…あてはまる悩みにチェックをつけることで役立つ支援や相談先を見つけ出せるサービス

事業の詳細や実績等については、当社のサービス紹介ページも見てみてください。
https://graffer.jp/governments

–業務内容を教えてください。

Govtech事業の責任者を務めています。各機能を束ねながら、事業の短期・中長期の双方における成長を最大化させることに責任を持ちます。端的にいえば、事業を成長・前進させる為に必要なことを全てやります。

–行政や自治体が抱えている課題はどのようなものですか。

行政手続きにかかる時間を集計すると3億時間/年間以上(※)に及ぶと言われています。「行政における手続きが面倒」という住民の声を取り上げるニュースを見かけることがありますが、行政職員側の労働時間、工数、負担も相当なものがあります。

その状況に対して、実は手続きをオンライン化する手段をはじめとした行政領域におけるデジタル化は、約20年前からはじまっていたんです。ただ、そのサービスが住民・職員の双方にとって使い易いものだったかというとそうではなく、普及しきれていない状態が続いていました。

当社事業は、行政の方々の工数・手間を軽減するものであり、住民の方の工数・手間も軽減するものになります。

(※)澤田が執筆に関わった「元コンサルの経営企画担当が「Govtechの市場環境」を分析してみた」に詳細や出典資料の記載があります。

–過去導入事例を教えてください。

私が初めてオンボーディングに携わった千葉県柏市の事例を紹介します。約42万人の人口を抱える同市では「保護者からの電話や窓口での問い合わせが多く、以前は業務がなかなか進まない」という課題がありました。職員の方は次のように話してくださいました。

「ピーク時には(問い合わせが)1日100件を超えることがありました。問い合わせにかかる時間は、1件あたり10〜30分程度です。そのため職員4人で窓口と電話対応を行うと業務に取りかかれないことも多く、課題を感じていました」

当社との取り組みでは、「Graffer 手続きガイド」を利用し、スマートフォンやパソコンから簡単な質問に回答していくだけで保育無償化の対象かどうかを判断できる「無償化判定ガイド」等を提供しました。ホームページ改修と併せた取り組みの結果、問い合わせ数は約50分の1に減少し、問い合わせ内容にも変化がありました。

詳細は下記の事例紹介ページを見てみてください。
https://graffer.jp/govtech/articles/kashiwa-hoiku

–貴社の強み・独自性はどのような点にありますか。

当社では、自治体との間でお互いに信頼し合える関係性を築くことを大切にしてきました。信頼関係を土台として行政・自治体で働く方々の声に耳を傾け、高い解像度で課題を捉え、解決するプロダクトを作ることで先進的な自治体での導入・運用実績を積み上げてきました。

アウトカム(成果)に重きを置く思想、顧客に誠実に寄り添う姿勢、課題を見極める力、プロダクト開発力・体制、それらが有機的に連動して価値創出するための文化やミッション…そのどれかひとつが独自であるというよりも全体的に組織として価値発揮できていることに強みがあるのではないかと思います。

これまでの行政機関への案件実績数は約200団体 。今後は導入に対して不安を抱えている方々、なかなか課題解決に取り掛かれていない方々にも寄り添い、支援先を拡大していきたいと思っています。

–Govtech事業に関わるなかで、どんな時にやりがい・面白みを感じますか。

グラファーでの取組み自体が、業界にとって新しい取組になることも多いので、行政DXという国の重点課題へチャレンジできることはとてもエキサイティングだと思います。

あとは、やはり職員や市民の声に触れるときですね。

思い出されるのは荒川区のケースです。当時、同区では手続きに纏わる市民サービスの向上が課題になっていました。当社サービスを導入いただき、オンラインで質問に答えるだけで必要な手続き情報が手元でわかるようになりました。工数削減につながったこともよかったのですが、実際に区民の方々から寄せられた声が印象的で今も覚えています。

「お悔やみ・離婚などの個人的な事情は他人にあまり話したくない。手続きとはいえ、できれば職員にも話したくない。オンライン化されて、無理に人に話さずとも手続きを完了できるのは嬉しい」

こうした声を聞くと、やっていることの正しさを実感でき、やりがいを感じます。

–行政・自治体の職員の方々とも密に関わることが多いと思いますが、いかがですか。

よく話を聞いていくと、多忙な業務のなかでも、住民へのサービスをより良くしたいという想いを持った方々がいます。日本が抱える大きな課題を解決、改善しようと取り組む方々の想いに触れることができるのはとても背筋が伸びますし、責任感も感じます。

こういった想いのある方々に出会うと、将来的に大きな変革の瞬間に立ち合える可能性を感じますし、モチベーションが湧いてきます。

戦略策定業務を経て抱いた“実行”局面へのモチベーション

–転職を考えた背景を教えてください。

実は学生時代、スタートアップ企業でアルバイトをしていました。スタートアップ特有の雰囲気や成長速度を感じたり、30代で経営の意思決定を行っている方々の真横に身を置くことができたりしたのはとても刺激的な経験でした。

その後3M Japanに入社し、ファイナンス部門にて予算策定や財務管理などのFP&A業務を経て GCA株式会社(現Houlihan Lokey)に入社しました。そこではTMT業界を中心としたM&A/PMI、アライアンス戦略策定に携わるようになりました。

ありがたいことに、GCA(現Houlihan Lokey)では優秀な方々とユニークな案件に囲まれながらそれなりに働かせていただいたので、30歳を過ぎて個の力がついてきた実感がありました。また、国内の老舗企業によるスタートアップのM&Aといった案件に携わるなかで、新たな産業を作り出す、産業を変えていくような挑戦をされている方々を見ていて、よりリスクをとって挑戦したいという思いを持ち、転職を考え始めました。

–入社の決め手は何でしたか。

3つの視点で転職先を検討し、決断しました。

1つ目の軸は「第三者としての支援ではなく、当事者として事業に責任を持ち、携われるかどうか」です。それまでに携わっていた仕事は戦略策定レイヤーのものが多かったのですが、実行局面に進むにつれて仮説が進化していく様を見ていると、企業価値を向上させる為には実行への関与も必須だと感じていました。戦略は企業の未来に関する仮説。実行は顧客や競合の反応を通じて仮説を検証し、誤りを修正し、仮説を進化させるという行為。本来(戦略と実行は)切り離すべきではないでしょう。戦略と実行現場が遠く感じられ、戦略策定時の段階で少しのもどかしさ、実行局面への飢えのような感覚がありました。

2つ目の軸は「大きな変革の瞬間に立ち会いたい」という思いです。これまでに見てきたM&Aの現場は非連続な変化が起こる戦場でした。新しい産業を作っていく、産業の構造を変えていくという経営者の情熱に触れて、自分も大きな変革の瞬間に立ち会いたい、その変革をする側に居たいと思うようになりました。

3つ目の軸は「長期的に見て(自分自身が)意思決定数を積み重ねられるか」です。今後は企業行動とエシカルがますます切り離せない時代でもあり、ファイナンスなどのテクニカルなものよりも「人」に関しての学びが必要とされると感じています。個人としての人生観や思想、倫理観を磨いていこうと思った際には、さまざまなシーンで自ら決断し、実体験を深めていくことが必要だと考えていました。

2つ目の軸で言えば「行政DX」ほど相応しいテーマはないのではないかと感じました。1つ目と3つ目の軸でみてもその環境や機会があると感じ、入社を決めました。

実際に入社してみると、まさにそれぞれの点を満たせる働き方ができていると思っています。また、「データを参照してブレないトレンドを捉える視点」「抜擢し、具体的な実行を思い切って任せる姿勢」などの特徴を持つ経営陣と働けていることも、グラファーで働き続けている理由のひとつになっています。

–入社後、前職までに得た経験・知識が役立った場面はありましたか。

前職までの経験のなかで、ゼロベースから論点を立て、仕事を作る力は鍛えられていました。例えば、目の前のクライアントの話を聞き、白紙の状態から考え抜く力は入社後も活かされている実感があります。仕事の品質に一切手を抜かず、アウトプットへの執念が伝わってくるプロフェッショナルな(前職の)上司から学んだ仕事への姿勢も今に活かされています。

加えて、前職で鍛えられた力として「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼ばれる「答えの出ない事態に耐える力」も今役立っていると感じています。ネガティブ・ケイパビリティとは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」で、精神科医・作家である帚木蓬生さんという方が定義されている言葉です。

対社内、対社外…そのどちらでも曖昧な状態、答えが見えない状況が日々発生します。すぐにイシューを明確化したり課題の仮置きをしたりしてその場の答えを求めたくなるのが人間。行動は大事ですが、ただ、安易に飛びついてしまうと思考が浅く留まり、それっぽいアウトプットに収まってしまいます。そうならないように、スタートアップという不確実性が高いなかでも、行動だけが解決手段ではないと心得ること。そして、時には不確実性が高い状況に耐え、もやもやと考え続けることが必要なのです。

基本的には、スキルよりもプロフェッショナルとしてのアウトプットへの執着心や高い基準のスタンスを身につけてこられたことが当社で働くことに活きていると感じます。

意志がなければ人は動かず、変革もなし得ない

–今後の展望を教えてください。

当社は業界における古い常識に対してチャレンジし、新しい常識を創ろうとしています。自治体ソリューション市場(※)は約7000億円程度の規模があると言われていますが、(今後は)「当社だけでどれだけ市場の割合を獲得できるか…」という視点だけでは足りないと思っています。行政DXを前進させていきたいという意志がある企業と連携を高めながら、コンソーシアムとして相互創客の仕組み構築やバリューチェーンの拡大などに取り組み、職員の業務負荷削減、市民サービスの向上につながる変革を実現していくことが求められます。

私自身としては、行政・自治体で働く方々に寄り添い、「どういった価値を住民に届けたいのか」という職員の思いを、デジタルを通じた環境・基盤作りで市住民へ届ける手助けをし続けたいと思っています。ゆくゆくはその思いが一方通行ではなく、各地域で(行政と住民の間に)よりインタラクティブな世界を実現していきたいです。

(※)澤田が執筆に関わった「元コンサルの経営企画担当が「Govtechの市場環境」を分析してみた」に詳細や出典資料の記載があります。

–今後入社してくださる方に対して大切にしてほしい姿勢・能力にはどのようなものがありますか。

まず、「答えのない世界にワクワクできるか」がとても大切になります。行政・自治体の職員の方と会話をしていると、何かしらのツールを導入したいと思っているが、その背景にある課題自体にまだ気付いていないケースも多くあります。何を解くべきか分からない状態から話がくるのです。それに対して、今どういった問いに対して答えを出すべきかを考え、取り組むべき課題を特定し、一定の解を与えていくことが求められます。当社は今後も変化し続けていく為、まだ一般的にみても解決の仕方がよくわかっていないお題に対してチャレンジしていく場面も生まれます。

そうしたなかでは、顧客が自身の課題に気付いていない、且つまだベストプラクティスも存在しない、という答えのない状況でワクワクできるかがとても大切になってきます。仮説思考をはじめとした思考力よりも、好奇心といった類に近い。

次に、チャームのある人は(当社で)活躍しやすいと思います。チャームがある人とは、打算のない自己開示ができて愛嬌がある人を指します。愛嬌を持った人の周りでは仕事が円滑に進みやすく、その分本人もスピーディーに学びを深められます。スキルや知識といったテクニカルなことは入社後にキャッチアップできるので、入社前から気にする必要はありません。

–常に「意志」を大切にされているのが印象的です。その理由や背景を最後に教えてください。

当社は『プロダクトの力で行動を変え 社会を変える』をミッションとしています。 社会が変わることは「結果」。DX化も、変革も、それ自体は結果です。その結果を生み出すためにプロセスを推進するのは人。そして、その人を突き動かすのは意志。

意志がなければ人は動かず、人が動かなければDXも変革も…社会に変化をもたらすことも成し得ないと思っています。

私自身がこれまで想いのある人を巻き込みながらスポーツに打ち込んできた人間なので、個人的なキャラクターや考え方も入っているかもしれませんが、共感してくれる方がいてくださったら嬉しいです。

取材・執筆=株式会社ユニーク

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