こんにちは。HRの畑中です。
2025年7月、Govtech事業の立ち上げ期から当社の成長を牽引してきた市川が、VP of Business(執行役員・Enterprise事業担当)に就任しました。
本記事では(前編)に続き、市川よりEnterprise事業部の事業内容、執行役員就任の裏側、グラファーの「変化」「抜擢」の企業文化について紹介します。
VP of Business(執行役員・Enterprise事業担当)
市川 翔子
慶應義塾大学法学部を卒業後、三菱商事株式会社に入社。自動車ドメインにおいて会計・税務、戦略企画、海外子会社のマネジメント、ならびに新規事業開発・投資業務を担当する。
その後、在シンガポールの戦略コンサルティングファームで新規事業立ち上げをリード。2020年にグラファーへ参画し、オンライン申請サービスの立ち上げや、複数の大規模自治体におけるデジタル化推進プロジェクトを担当したのち、2023年の「Graffer AI Studio」リリース以降は、上場企業・自治体でのLLM導入プロジェクトを推進。2025年7月より現任。
抜擢のチャンスを成長機会に変える仕事のスタンス
–キャリアの原点となった三菱商事での経験について教えてください。
新卒で株式会社三菱商事(以下、三菱商事)に入社しました。同社では約9年半の間一貫して自動車事業ドメインに携わっていました。職種的な面では、会計や税務から始まり、営業、戦略企画、自動車業界のDXを見据えた新規事業開発・M&A業務など多様な業務に従事しました。
特に印象に残っているのは、20代後半にインドネシアの自動車関連事業投資先に出向・駐在した経験です。生産管理やファイナンス、IT・内部統制など幅広い管掌範囲にて、実務・マネジメントを経験することができた点は、「大上段の目的に向けて、役割の垣根なく最大限自己の提供価値を発揮する」「多様なバックグラウンドの仲間と切磋琢磨しながら互いと事業を成長させていく」というグラファーのカルチャーの一つにアラインする礎になっているのではないかと思います。
その後家庭の事情で三菱商事を退職し、シンガポールへ移住しました。
–グラファーとの出会いを教えてください。
シンガポールではM&Aアドバイザリーやファンドの業務を手がけるコンサルティング会社で働きました。その中の一つのミッションとして、現地の食品卸企業の完全子会社化や買収後のPMI、事業のてこ入れの役割を担った経験も印象に残っています。
同事業への専任的なかかわりはほぼ私一人であったこともあり、まさに役割分担の余地などほぼなく、「とにかく何でも一人でやる」という環境に揉まれる日々でした。前職の働き方とは真逆にも近い働き方でもあり、何もかもが私にとってはほぼ未経験の中での取り組みで暗中模索のような状況でしたが、そのカオス感が良い意味での刺激となり、やりがいを感じて挑戦し続けることができました。この経験は自分のマインドセットやスキルセットの幅を広げることにもつながったと思いますし、よりダイナミックに挑戦できるスタートアップへの関心が高まるきっかけにもなりました。
2020年、コロナ禍に日本へ帰国したタイミングで、VCの方から紹介を受け、数社のスタートアップ企業の方とお話しする機会がありました。その中の一社がグラファーでした。
–入社の決め手は何でしたか。
転職先を検討するにあたっては、この3つを軸としました。
「事業の社会的インパクト」
「企業の成長可能性」
「一緒に働きたいと思える人」
上から2つの視点ではどの会社も魅力的だと感じました。各社の方々と話してみた結果、3つ目の視点でグラファーがより魅力的だと感じ、入社を決断しました。
–「一緒に働きたいと思える人」とは、どのような人ですか。
当時は「自分自身、またはこれまでのキャリアで一緒に働いてきた方々とはまったく異なるバックグラウンド・経験を持つ人たちと働いてみたい」と考えていて、その観点で最も印象に残ったのがグラファーでした。
面接を通じて複数名のメンバーや経営陣と話した際、「これまで接点がなかったタイプの人たちだ」「これまでの自分の枠を超えて新しい視点を取り入れられる環境がありそう」と思ったのを今でも覚えています。
根本的に何を事業・会社のミッションとしているか、大切にしている行動指針はどのようなものかなど、コアな価値観の部分には共感できていたため、深層の部分にズレがないのであればグラファーで働くという選択も面白いのではないかと考えていました。
–入社後に経験した部署、業務内容を教えてください。
入社時は、今で言うGovtech事業部に配属され、Business Developmentとして働き始めました。今となっては同事業部の収益の大きな柱である「Graffer スマート申請」というプロダクトも、当時はまだほぼお客様がいない状態。これから正式にプロダクトを開発・提供していくというフェーズで、ビジネスメンバー全員が“コードを書くこと以外は全部やる”という働き方が求められる状況でした。
顧客からの情報収集、必要な条件の整理、プロダクトの企画、商談、入札等の公共調達に向けた仕様調整や応札対応、契約条件の精査、導入後のオンボーディングやサクセス活動まで、全てに携わりました。その後ありがたいことにお客様も順調に増えてプロダクトも拡販フェーズに入っていき、その過程でチームメンバーも増え、2022年春にチームのマネージャーに就任しました。
2023年になると、その後世界に大きな衝撃を与え進化を続ける「生成AI」という巨大かつ長期・不可逆なトレンドが起こり、「これを事業を通じた顧客への提供価値につなげない手はない」ということで新事業としての生成AI事業が立ち上がりました(前年からフロンティア開発という組織でR&D活動は行っておりましたが、正式に事業化に踏み切ったのが2023年)。
同年5月には本格的な営業活動を開始するというタイミングを迎え、この頃に私は同事業部に異動しました。異動後は、グラファーに入社した頃と同じように、プロダクト開発・提供に向けて、ビジネスメンバーとして営業活動から事業企画・開発、サクセス活動など幅広く携わりました。同年7月にはグラファー初の展示会出展を行ったのですが、そのプロジェクトリーダーを担った時の経験は今でも鮮明に覚えています。あまりに不慣れで、今思えば手作り感満載でした。
この事業においても、ありがたいことにエンタープライズ企業を中心にセキュアかつ利便性の高い生成AI活用を通じた業務変革に取り組む意欲があるお客様との出会いを多く頂き、プロダクトの進化と合わせてお客様やメンバーも順調に増やすことができました。
2024年9月からは事業部の中に5つのチームを組成する形で組織を改編し、私はその中のCS&コンサルティングチームのマネージャーを担うこととなりました。
–その後、Enterprise事業部の責任者に就任した経緯を教えてください。
2025年3月に生成AI事業部の事業部長に就任し、7月に執行役員就任と同時にEnterprise事業部の責任者を務める運びとなりました。
当時の上長であり前任者でもあった小寺からは「いずれはこの事業全体を任せたいと思っている」と声をかけられていたのですが、小寺がより非連続で中長期的な価値探索や事業づくりに専念することになったタイミングで、このポジションを受け取るような形になりました。
–会社の成長とともに抜擢の機会を得てこられたことがわかりますね。
Govtech事業部でメンバーからマネージャーになり、その後立ち上げ時期のEnterprise事業部へ異動。マネージャーではなくスペシャリスト(※注1)として同事業の推進にかかわり、その後CS&コンサルティングチームのマネージャー就任を経て、同事業部の責任者になりました。
それぞれの時期に、当時の会社や事業の状況に合わせて役割を変更しており、今振り返れば…抜擢という形での変化が続いたと言えるかもしれません。
※注1
グラファーでは、”マネージャー”などの役職は「配役」だと考えています。マネージャーとメンバーに上下関係があるのではなく、役職がある人は組織をマネージすることで組織に貢献する人であり、スペシャリストはその人が保有する専門能力を使って組織に貢献する人と考えています。同時に、役職と報酬を分離しており、マネージャーだから給与が高いということはありません。詳しくは、下記の記事をご参照ください。
「社員の強みを伸ばす「人事制度2.0」ができるまで。6カ月の過程と、込めた想い」
–抜擢される時の心境は、どのようなものですか。
正直にいうと、抜擢の瞬間は不安半分、ワクワク半分ですね。「せっかく新しいチャレンジの機会をもらえるならそれを楽しみたい。自分を限界までストレッチさせてみたい」という気持ちもありつつ、自分にまだ見えていない領域に対して「本当にできるのか。期待に応えられるのか」という気持ちも同じくらいあります。それでも都度新しい学びを取り入れ、できることを少しずつでも増やし、メンバーと協力しながら進んできました。
今回の執行役員、事業責任者就任に関しては、これまでの新たなアサインを頂くとき以上に不安の方が大きかったのですが、最終的には「できないならできないなりに、やるべきこと・できるようになりたいことを明確にして、できるまでやり続けるしかない」と気持ちを固め、覚悟を決めました。
就任後はこれまでに比べて関わる範囲が一気に広がったことを実感しています。私は特定の専門性があるわけではありません。だからこそ、「多様な能力や専門性を持った人たちが集まる組織から生まれるパフォーマンスを最大化するにはどうしたらいいか。そのために、他の人がやらない隙間をどう埋めればいいか」と考えながら、日々業務にあたっています。
–「他の人がやらない隙間をどう埋められるか」という視点は、以前から持っていたものですか。
もともと何か一つにすごく秀でているタイプではないので、「この状況で、自分は、どうすればバリューを出せるだろうか」と考えると自ずと「誰も手をつけていない重要な部分をやる」という結論に至るのかもしれません。
思い返せば、新卒で入社した1社目である三菱商事の仲の良い同期社員にも、「1年目の時から『自分は誰もやりたがらない仕事をやるんだ』と意気込んでいたよ」と後から聞かされたことを思い出します。自分では彼に言われるまで覚えていなかったのですが。
話しているうちに、三菱商事在籍後半の頃の記憶も思い出しました。当時、自動車ドメインの中長期的な戦略を企画推進する部署に所属していました。業界全体にDXの流れが加速しはじめ、消費者の価値観も「所有」から「利用」へと一気に変化し始めた時期です。各社が新しいビジネスモデルを模索し始めるなか、所属していた事業本部の中でも新規事業へ重点的な取り組みが必要となったタイミングで、「兼務でやらせてほしい」と手を挙げました。
「自分ならできる。やりたい」という気持ちよりは、「組織として重要な部分なのに、担い手が足りていないという状況を見過ごせない、自分がやるしかない」という気持ちが大きかったと思いますね。
–抜擢を受けて挑戦するにあたって、グラファーの職場環境や風土はいかがですか。

グラファーは挑戦意欲があり、それに向けて行動している人に多大なる理解と支援がある会社です。どんな立場の方であっても時間を作ってくれますし、私自身にとって未経験な領域について相談をするとすごく初歩的なところから抽象度の高い課題まで柔軟に、惜しみなく自身の経験や考えを話してくれます。話すだけではなく、実際にやって見せてくれたりとことん壁打ちに付き合ってくれたりもします。
私の立場からみると、ここで答えをくれるだけではなく、一つのお手本を見せてくれたり思考の補助線やヒントをくれる、というやり方がミソだと思っています。「最後は本人がやってみる、本人が決める」というところを後押ししてくれる風土が根付いているように思います。
こうした心強いサポートがあるからこそ、私も覚悟を決めて「今できることを精一杯やろう」「成長して、グラファーに貢献したい」と思うことができています。
「はたらく」に余白を、–– 私たちが創りたい世界
–今後の事業部の展望を教えてください。
ビジネスパーソンがまるでインターネットのように生成AIを日常的に活用し、業務の改善につなげられるような仕掛け・仕組みをもった当社ソリューションを通じて、企業の生産性向上や一人ひとりのリソース・スキルの拡張に寄与したいと考えています。

その結果として、人がもっと創造的に、もっと自由に挑戦できる「余白」を生み出し、一人ひとりの人生の選択肢を広げることで、日本全体がより心豊かな社会になることに貢献したいです。こういった一人ひとりのビジネスパーソンの『「はたらく」に余白を、』生み出す取り組みは、企業自体の競争力や価値を高めることにも直結すると信じています。
その実現に向けて、顧客企業の幅広い業務領域において広く、深く組み込まれ当たり前に活用され、その業務変革の取り組み自体を常に加速していけるようなプロダクト・ソリューションを作っていきます。そして、私たち自身も変革を楽しみながら、一人ひとりが自らの可能性を拡げていける組織を目指していきます。
–自身の目標、実現したいことを教えてください。
生成AIは、“人生100年時代”においても、何度も巡ってくるとは言えないほどのインパクトを持つ潮流であり、まさに今、この領域でビジネスを手がけられることは大きな魅力だと感じています。
市場そのものが変容を続ける真っ只中での挑戦は、まるで頂上が見えない、未踏の高い山に挑むようなものですが、その分社会にまだ存在しない新たな価値を生み出せるチャンスがあるとも言えます。そんな大きなチャンスに、恵まれた仲間たちと挑めること自体が、私個人にとっては奇跡的な出会いであると思っていて、その中で自分に期待されている以上の成果を出し切り、「限界を超えて挑みきれた」と胸を張って言えるようになりたいと思っています。
また、生成AIなどのテクノロジーやその活用を通じた新たな働き方、生き方を創り出したいという思いで事業を推進しているわけですが、私たち自身も一人のビジネスパーソンとして日々変わりゆく働き方などで感じているワクワク感を、事業を通じてしっかりと社会に広くデリバリー・拡張していければ、例えば10年先に振り返ったときに自分たちの取り組みが社会が良くなることや成長することの一助になった、と自信をもって言えるのではないかと思い描いています。
–今後入社を検討する方に向けて、メッセージをください。
私たちが挑む市場は、競合も多く、決して簡単に結果が出せる環境ではありません。だからこそ、この“しびれる”状況の中で、自分たちが誰よりも早く突き抜けていくという意志を持ち続け、チームとともにこの未踏の山を登り切る覚悟で挑みたい。その過程さえも前向きに楽しんでいける、そんな挑戦をしていきたいと考えています。
これからグラファーに加わってくださる方々にも、生成AIやこの変化の波を“てこ”として活用し、自身の力をより広く、そして深く伸ばしていける──そんな機会が当社にはあると感じていただけたら嬉しいです。
グラファーに根付く「挑戦する人を理解し、後押しする文化」、必要があればサクッと組織や役割の境界を越えてお互いにカバーし合いながら前に進むという風土は、きっと挑戦する人にとって力強い追い風になるはずです。
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取材・執筆=株式会社ユニーク
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