令和7年度からSaaSの調達事務を大幅効率化。DMP(デジタルマーケットプレイス)を最大限活用するために、職員が今、準備すべきことは?
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令和7年度からSaaSの調達事務を大幅効率化。DMP(デジタルマーケットプレイス)を最大限活用するために、職員が今、準備すべきことは?

2025.03.18 Tue

デジタルマーケットプレイス(以下、DMP)は、自治体の調達事務を効率化する、調達プラットフォームです。以前、『先取りしておきたい!自治体の調達事務を効率化する「デジタルマーケットプレイス(DMP)の基本」デジタル庁インタビュー特別編』でご紹介して以降、デジタル庁で構築が進んでおり、令和7年度の調達から自治体における調達事務に活用できる見込みです。そこで今回はDMPの最新状況について、デジタル庁の吉田泰己氏と永岡大誠氏に伺いました。

※本記事に紹介されているDMPの機能は開発中のものを含むため、予告なく変更となる可能性があります。

【2025年2月現在】DMPの最新状況

——今回どのようなアップデートがありましたか。

2025年1月30日に「ソフトウェア検索機能」をリリースしました。「ソフトウェア検索機能」はDMPに登録されているソフトウェアの検索ができる機能です。

事業者の皆様からは2025年2月6日現在、136のソフトウェア登録があります。現在登録確認中のソフトウェアも倍近くあり、今後、ソフトウェアの登録数はさらに増加していく見込みです。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーションAI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

DMPのウェブサイトから、実際に登録されているソフトウェアを確認できる。


これから、調達はどう変わっていくのか

——DMPを通じて、これから、自治体の調達はどのように変わっていきますか。

従来は、ソフトウェアの調達においては一からのソフトウェア開発を委託するケースが多く、一般競争入札を原則として、公告や意見招請といった手続に多くの時間が割かれるとともに、必要書類の作成などにおいても官民双方で多くの手間がかかっていました。DMPカタログサイトをご利用いただき、調達事務を進めることで、仕様に合ったソフトウェアを簡易に選定することができるようになります。さらに、選定結果をエビデンスとして活用することで、指名競争入札、随意契約といった形で迅速に調達契約を進めることができるようになると想定しています。


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デジタル庁 企画官 吉田泰己(よしだひろき)氏


——DMPカタログサイトの機能を利用し調達事務を進める上でのポイントを教えてください。

DMPを利用した調達では、これまでのソフトウェア調達での調達仕様書の記載に代えて、デジタル庁の準備する「調達仕様チェックシート」を通じて、調達したいソフトウェアの仕様を整理していただく形になります。

その上で、「調達モード」による検索を通じて、調達仕様に基づいた検索による絞り込みを行います。「調達モード」の検索では、フリーワード検索のような恣意的な検索ができないようになっています。また、検索で絞り込んだ後、「調達仕様チェックシート」に記載している仕様の中で不明な点はベンダーにヒアリングを行うことにより、要求を満たしているかを確認した上で選定を行います。

最後に調達仕様チェックシートと、その仕様に基づいて選定した結果をPDFとして出力し、エビデンスとすることで、一般競争入札を採らなくても公平・迅速にソフトウェアを選定することができます。

詳細は、令和7年1月17日付でデジタル庁が発出した「調達利用ガイドブック」に記載されています。このガイドブックは、迅速かつ適切な調達を行うための基本的な考え方や調達手続きの手順を示したもので、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言として提供されています。なお、DMPに関する情報(説明会や調達利用ガイドブックなど)は、自治体の情報担当部門に加えて、契約担当部門にも送付されています。

——DMPを利用することで自治体にとって、他にどのようなメリットがありますか。

調達より前の政策企画段階や、仕様策定・予算要求の段階においてもDMPカタログサイトを活用することで、市場にどんなソフトウェアがあるか知ることができ、関心があるベンダーには問合せフォームから詳細説明や費用見積を依頼することができます。より各自治体様の目的にあったソフトウェア調達を行う上で、こうした調達前から情報を収集、整理できる点にもメリットがあると考えています。


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戦略・組織グループ デジタルマーケットプレイス(DMP)班 永岡 大誠氏


職員が準備すべきこと

——3月下旬以降リリースされるDMPの調達向け機能を利用しようと思った場合、まず何をしたらよいですか。

調達向け機能の公開後は、サイト上から利用規約に同意の上、利用者登録を行えば即日利用を開始できます。その際、必要となるのがメールアドレスや登録者の情報(組織名、部署名、名前など)です。部署共有のメールアドレスしか保有していない場合には、一つのアカウントを複数人で利用することもできます。

令和7年3月下旬から、行政機関の登録が開始される予定。


登録が認められているメールアドレスは、「go.jpドメイン」、「lg.jpドメイン」または「地域型ドメイン」です。デジタル庁で把握していないドメインで行政機関として登録したい場合には「お問い合せ画面」からの問い合わせが必要となります。


——自治体の皆様に一言あればおねがいします。

DMPのカタログサイトを通じて様々なソフトウェアを探すことができるようになることで、各自治体が同じ機能を持つソフトウェアを個別に開発するのではなく、迅速に導入することが可能になると思います。

自治体の皆様の中でも既に調達しているSaaSで利用しやすいものがあれば、取引先のベンダーの皆様にDMPカタログサイトの登録を促していただければ幸いです。それが他の自治体のソフトウェア調達にも貢献することになります。

既にログインなしで利用出来る一般のソフトウェア検索の機能は活用可能ですので、ぜひ積極的にご活用いただき、使い勝手などフィードバックいただければ幸いです。

また、3月下旬の調達機能のリリースにより、自治体の皆様が2025年度の調達実務でも活用することができるようになりますのでこちらも活用をご検討下さい。

「新しい地方経済・生活環境創生交付金」(旧・デジ田交付金)のデジタル実装型において、タイプⅠを申請する際には、計画の中でDMPを利用した調達を前提とする場合に100点満点中1点の加点が措置されており、交付金の申請の際もぜひ利用をご検討いただければと思います。

タイムラインAI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

令和7年度の調達事務から実務への活用が可能となる見込み。

DMPに関するお問い合わせ先

デジタル庁 戦略・組織グループDMP担当

https://www.dmp.digital.go.jp/inquiry/

行政向けご利用ガイド

DMPを利用するための手順や利用マニュアルなどをご確認いただけます。

https://www.dmp-official.digital.go.jp/userguide/government/

グラファー Govtech Trends編集部

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