不確実性の高い状況で意思決定力を試されるプロダクトマネージャー。業務内容と成長の転機を聞く

こんにちは。HRの畑中です。

今回は、大手企業を対象に生成AIによるビジネス変革を支援するEnterprise事業部でプロダクトマネージャーを務める平田に話を聞きます。

プロダクトマネージャー業務の内容・工程、入社前後で感じた自身の成長・変化などを聞き、グラファーのプロダクトマネージャーとして得られる働きがいや成長機会について深堀りします。

Enterprise事業部 プロダクトチーム マネージャー
平田 悠祐

大学卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズに入社し、人事、物流ソフトウェアの設計、開発、オフショア開発ディレクションに従事。
2020年12月よりグラファーに参画し、Grafferスマート申請、Graffer窓口予約の開発に従事。2023年3月よりGraffer AI Studioの立ち上げに参画し、2024年4月よりプロダクトマネージャーを務め、9月より現任。

イシューを見極める問い「今決めないと死ぬと言える論点は」

–職種と業務内容を教えてください。

従業員数300〜1000人以上の大手企業に向けて生成AIを活用したビジネス変革を支援するプロダクトの開発に携わりながら、まだ世に出ていない新規プロダクトのプロダクトマネージャーも担当しています。

プロダクトマネージャーの役割は2つあり、1つ目はプロダクトの開発やグロースにおける意思決定です。顧客、マーケット、経営、エンジニアリングなど複数の観点を検討し、多様なコンテキストを踏まえた上で適切な意思決定を行うことが求められます。

2つ目は、プロダクトの実装です。プロダクトマネージャー自身も開発、実装を行うという点は、他企業の同職種の業務内容と比較するとグラファーならではの特徴だと思います。

Enterprise事業部の顧客層、提供内容、事例などについて知りたい方がいれば、当社の小寺がお話ししている記事をあわせてご覧ください。

『いかにして実効性のある生成AI導入提案ができるか?ヒントは「一次情報」「課題設定」 』

–業務の流れ、工程を教えてください。

現在推進中の人材業界向け新プロダクト開発工程をもとに説明します。

社内に人材業界で働いた経験のあるメンバーがおり、同業界がもつペインを「生成AIを使って解決できないだろうか」という話し合いの中で、開発がスタートしました。

開発の検討が始まると、まずは詳細な業務内容を理解し、仮説を作る段階に入ります。今回は人材業界で働いている方に時間を頂き、業務内容について詳細なヒアリングを行いました。ボトルネックとされる箇所を確認できたら、AIを活用したアイデアについてディスカッションを行います。「解決ができそうだ」「解決した際のインパクトも大きそうだ」というアイデアが見えてきたら、多面的なコンテキストからの検討に入ります。

  • 経営視点:グラファーでは現在どのような文脈で、何が求められているのか

  • マーケット視点:同業界においてより有効な他の解決手段、競合サービスはないか

  • 技術的視点:どのような技術によって実現できるか

詳細な業務内容理解からコンテキストの検討までを行うと、「なぜ作るのか?」が言語化できていきます。

その後、これまで検討した内容をPRD[※]にまとめ、「誰の、何の価値になる、どんなプロダクトなのか」を明確にします。

そこからはデモを作成し、現場で働く担当者や導入意思決定を行う決裁者に対してヒアリングを行い、その結果をもって商用プロダクトにするかどうかの最終判断を行います。

プロダクトマネージャーが「なぜ作るのか?」「何を作るのか?」「どう作るのか?」を一貫してカバーし、フルサイクル開発を行うという点はグラファー独自ですね。

[※]PRD:Product Requirements Documentの略。製品の開発において、製品の機能や特徴、定義などを記載した文書。プロダクトに関する情報を社内で円滑に共有するために不可欠なコミュニケーションドキュメントとして用いられる。

–そうした工程はどれくらいの期間で進めるのですか。

他の業務と兼務しながら5割程度のリソースで進めていたのですが、ペインの発掘から多面的なコンテキストの検討までを1週間、PRD作成から具体的な仮説・デモ検証段階までを1週間で行いました。

1人のPdMが一貫して担当することで体制をコンパクトにし、分業体制に比べるとコミュニケーションエラーや意思決定のための打ち合わせ回数などを削減できるため、こうしたスピーディーな開発ができています。

–仕事を進める上でどのような点を心がけていますか。

グラファーは「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」をミッションに掲げ、プロダクトを通した社会課題の解決に挑戦している会社です。プロダクトマネージャーはプロダクトに関する意思決定に責任を負うロールであり、会社の中でも最前線にいる立場だと理解しています。そうした立場では観点が不足した意思決定を行ってはいけないと思っています。

「顧客からは喜ばれるが、ビジネス上は収益にならない」「受注はできるが、本質的な課題解決はできていない」などの事態にならないように、コンテキストを幅広く、正確に収集することを心がけています。

一方で、リソースの限度や期限がある中で、重要なイシュー=論点を見極めることも求められます。というのも、不確実性が高い状況だと、Aという論点があり、A1 A2 A3と分解すると、最終的には選択肢が3つ考えられて、といくらでも煮詰めていくことができてしまいます。ここで重要なのはプロダクトの価値に深く関わるもの、後続の工程に関わるものを優先して意思決定すること。

この見極めは簡単なことではありませんが、自分自身がいつも用いる(見極めに)有効な問いかけ方があります。

「今決めないと死ぬ、と言える論点は何か」

その瞬間に意思決定しなくても構わないという結論に至った論点に関しては、その後意思決定が必要なタイミングまでは保留とすることもあります。

–やりがいを感じる点を教えてください。

自分がプロダクトマネージャーとして携わったプロダクトを使ってくださった方の声を聞き、直接届いた実感を味わえることがやりがいですね。もちろん「使いやすい」という声が一番嬉しいですが、フィードバックやご意見を頂く場合でも同じく嬉しいです。

実践経験、メンバーとの対話で磨かれた「意思決定力」

–これまでの経歴を教えてください。

大学は文系で、もともとエンジニアリングに興味があったわけではありませんでした。当初はまちづくりを通じてハード、ソフト両面でコミュニティに価値を生み出すことに興味があったことから不動産業界に注目していました。

就活の結果、ERPパッケージソフトウェアの開発販売等を行う会社に新卒で入社することになり、物流ソフトウェアの設計・開発、オフショア開発ディレクション等に携わりました。

その後、「自分が作ったもので社会に自己表現していける職種に就きたい」と考え、エンジニアキャリアを活かしてプロダクトマネージャーにステップアップできる会社を探していたところ、グラファーと出会いました。

–現在担っている業務内容に必要な能力や強みは、入社以前からお持ちだったのでしょうか。

いえ、そんなことはありません。採用面接を受けた時には当時の面接を担当してくれた社員からしっかりフィードバックを受けました…。

とあるシチュエーションと情報が与えられ、「このシステムを作るか否か、判断を下す」という場においての回答を求められるもので、私の回答は経営・マーケットのコンテキストが抜け落ちていて、技術・顧客のコンテキストに偏ったものだったんです。一方で、前職時代に物事を問いながら深掘りする能力は鍛えられていたため、ディスカッションにはなんとか食らいついていくことができました。

私の場合は入社前から求められる能力が備わっていたわけではなく、その後社内における業務を通じて次第に必要な能力を身につけることができました。

–グラファーで働く中で、自身の成長に繋がった転機だったと言える場面について教えてください。

今振り返ると、2つの場面を思い出します。

1つ目は、行政手続きの電子申請プロダクトにおける機能開発に携わった時のことです。当時、お客様からのご要望を受けてある機能の検討を行っていました。2〜3週間かけてコンテキストの収集、PRD作成に取り掛かりました。

プロダクトマネージャーに完成したPRDのレビューを依頼したところ、思わぬコメントが返ってきました。

「機能を作らない、という選択肢はないの?」

作らないという選択肢自体があるのか、と衝撃を受けたと同時に、作ることで生じるデメリットを評価できていなかったことや、機能要望の裏側にあるユーザーの本質的な課題に向き合えていなかったことなどを反省しました。最終的には、要望通りの機能開発はせず既存機能に改修を加えるという形で価値提供をするという決定を下しました。

今振り返ると、小さな論点をたくさん潰そうと動いていて、大きな論点にアプローチできていなかったんですよね。論点の見極めがいかに大切か、を学んだ経験でした。

–2つ目の転機について教えてください。

役所の窓口に来るときに予約を事前に取れる機能の開発に携わった時のことです。

「その機能を使って、テニスコートなど公共施設の予約を取れるようにできないの?」という声が上がったことをきっかけに、機能の開発を行うかどうかの検討を行いました。

経営視点、技術的視点から深掘りしつつ、以下のような点について徹底的にリサーチや検討を行いました。

  • 管理者サイドの運用課題

  • 決済関連のペイン

  • 全都道府県分の競合サービス、ベンダー

  • 収益性

  • 既存のシステムとの親和性

今までは、エンジニアリング能力を基盤としたキャリアを歩んできた私にとって、より一層ビジネス視点からプロダクトを考える勘所を掴んだ転機でした。

–新しい能力や技術を身につけることは容易ではないと思います。成長過程で支えになったり役立ったりしたものはありましたか。

グラファーだったからこそ、自分自身の成長があったと思っています。

まず、壁打ち相手になってくれた当時のプロダクトマネージャーの存在は大きかったです。結果を出しているプロダクトマネージャーの観点から助言やヒントを頂くことが多く、ディスカッションの度に気づきが増えていきました。

経営会議に参加し、役員の前でプレゼンを行う機会もあるんですが、カジュアルな雰囲気なので伸び伸びと話すことができますし、的確なフィードバックを持ち帰ることができます。自分よりも経営層に近いメンバー、役員と近い距離で働けることも成長要因になりました。

また、グラファー全体に根づくプロダクト志向のカルチャーも自分が成長できた理由のひとつだったと思います。グラファーのメンバーはプロダクト開発に直接関わるメンバーに限らず、セールスやCSといったビジネス職のメンバーもプロダクトを通じた価値提供に向き合う姿勢を持っています。全員がプロダクトと向き合っているので、たたき台を作るとさまざまな意見をもらうことができて、社内にいながら多様なコンテキスト・観点から深掘りすることができるんです。

今では、PRDを作成する際に他の職種の目線を用いて「この場合、セールスの観点ではどうか?」「あの人の立場だったらどう見えるか?」などと考えられるようにもなりました。

エンタープライズ企業の成長を支援し、社会全体を前進させる

–事業部としての展望を教えてください。

Enterprise事業部としては、大手企業において生成AIのビジネス活用が遅れているところに着目し、この“遅れ”を“成長可能性”であると捉えています。今後は生成AIを通じ、“今まで人間だけでは不可能だったことを可能にしていく”ためのプロダクト改善、開発に取り組んでいきます。

日本経済において大きな影響力を誇る大手企業のさらなる成長にプロダクトを通じて貢献することが、日本全体の力を向上させ、ひいては日本社会全体を前進させていくことに繋がると考えています。

–今後取り組むこと、現在取り組み始めていることはありますか。

組織として提供できる価値を最大化させていきたいと考えています。そのために、新しい仲間を事業部に迎え入れるための採用活動にも取り組み始めています。

現時点で求められる能力を持っていなくても、グラファーのミッションに共感し、好奇心や粘り強く問い続ける姿勢を持った方がいれば、ぜひお話させていただきたいです。

–「好奇心」「問い続ける姿勢」について、詳しく教えていただけますか。

まず、相手や物事に好奇心を持ち、主体的に質問することが大事です。先述の例でいうと、自分自身は人材業界での就業経験はないですが、好奇心はあるといった状況でした。ヒアリングを行いながら業務工程やボトルネックを抱えた構造などを解きほぐしていくプロセスに私はワクワクします。

次に、曖昧なまま進んでいくことに違和感を持ち、問いを繰り返すことが大事です。「なぜ〜〜なのですか?」「どうして〜〜なのですか?」と何回か聞いていくと、次第に物事の本質的な部分が見えてきます。この深掘りが甘いと表面的な困りごと、意見しか得られず、ユーザーの本質的な課題解決には至りません。

同じような経験、感覚に覚えがある方がいれば、その好奇心を活かした働き方をグラファーで実現できるかもしれません。

–グラファーで実現できるキャリアパスには、どのようなパターンがありますか。

実際には様々なパターンがありますが、例えばプロダクトデベロッパーとして入社し、プロダクトマネージャーに進むパターンがあります。

少し整理をすると、これまでお話ししたプロダクトマネージャーはプロダクト全体に対して責任を担い、意思決定を行うロールです。プロダクトデベロッパーとは、プロダクトマネージャーの意思決定範囲の中の一部を移譲され、プロダクトマネージャーからのレビューを受けながらサブイシューに対する課題定義→仕様決定→実装→運用のサイクルを自律して回し続けるロールです。

プロダクトデベロッパーの業務を通じて経験を積み、プロダクトマネージャーへステップアップしていく流れは社内でも例が多いパターンですね。

一般的なテックリード、エンジニアリングマネジャーになるパターンもありますが、プロダクトマネジメント側にもキャリアパスがあることはグラファーならではと言えるかもしれません。

–ご自身は今後どのような挑戦をしていきたいと思っていますか。

一言で言うと、グラファーのプロダクトマネージャーとして実績を残したいと思っています。

以前と比べれば期待される役割の幅は広がっていると思いますが、会社の期待を良い意味で裏切れるほどのバリューを出せているかというと…まだまだ。今後求められる既存プロダクトを通した成果の最大化、新規プロダクトによる提供価値の拡張に対して、最大限個人のバリューを発揮し、貢献していきたいです。

一方、これまで自分の限界を引き伸ばすことでプロダクトとして提供できる価値も最大化してきた経験から、組織として、メンバーがこれまで以上の提供価値を出力できるようにしていくことも個人的な今後のミッションです。

現在のメンバー、今後入社してくださる方々と共にPRDのクオリティアップや有機的に新プロジェクト、新規事業を推進していける組織づくりなどに取り組んでいきたいです。

取材・執筆=株式会社ユニーク

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