〜自治体向け マイナポータル最新動向〜 マイナポータル利用の工夫、新しいオンライン申請サービスからAPI活用まで
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〜自治体向け マイナポータル最新動向〜 マイナポータル利用の工夫、新しいオンライン申請サービスからAPI活用まで

2026.03.30 Mon

住民向けオンライン行政サービスの中核を担うマイナポータル。各種手続きのオンライン申請や自己情報の確認など、住民サービスのデジタル化を支える基盤として活用が広がっています。今回はデジタル庁 国民向けサービスグループでマイナポータルに携わる、上仮屋氏、大塚氏、三浦氏、加藤氏に、自治体がマイナポータルについて理解しておきたい最新動向や、オンライン申請の利用率の高い自治体の特徴などを伺いました。

デジタル庁 国民向けサービスグループとは?

国民向けサービスグループは、デジタル庁において、マイナンバーカードやマイナポータルなどの国民向けサービスをはじめ、e-Gov、Gビズポータル、Jグランツなどの事業者向けサービス、そしてVisit Japan Webなど準公共分野のサービスを担っている組織です。こうした、住民にとって身近なデジタルサービスの企画・運用を通じて国民と直接つながる行政組織として、より便利で効率的な社会の実現に取り組んでいます。


国民向けサービスグループ 次長/審議官 上仮屋 尚氏

【トピック1】マイナポータルの最新の利用状況は?

——2017年から本格運用が開始したマイナポータルですが、最新の利用状況について教えてください。

利用できるサービスの拡充などに伴い、マイナポータルの利用者数は大幅に増加しています。2025年12月時点で利用登録者数は8,000万人以上、2025年の月間ログイン数は平均で1,200万件を超えています。特に3月には引っ越しの手続きや確定申告などを背景に、月間ログイン数が3,000万件に達しており、活用が広がっています。

国民向けサービスグループ 参事官 大塚 祥央氏

【トピック2】マイナポータルで提供している機能は?

——マイナポータルの機能について、現在の状況を教えてください。

マイナポータルは、自己情報の確認や、行政手続きの申請(オンライン申請)、お知らせの通知などの機能を備えています。これらの機能を通じて、「自身に必要な手続きの検索」「オンライン申請」「申請状況の確認」「審査結果の通知」といったような行政手続きの一連の流れを完結させることができます。

マイナポータルには充実した機能が備わっている。

【トピック3】オンライン申請の利用率の高い自治体の特徴は?

——国民向けサービスグループでは、マイナポータルを通じて、さまざまな自治体のオンライン申請を支援していると思います。オンライン申請の利用率の高い自治体に共通点があれば教えてください。

オンライン申請の利用率の高い自治体では、住民が「迷わず使える導線づくり」と「利用メリットの明確な周知」に取り組んでいると感じます。例えば、次のような工夫が見られます。

1.導線の整備

自治体のウェブサイトや広報紙に、各手続きの詳細画面へ遷移できるリンクや二次元コードを掲載することで、住民が迷わず申請画面にたどり着けるような導線の工夫が行われています。

2.該当手続きに直接誘導

対象となる手続きの申請ページに直接リンクさせることで、操作の途中離脱を防ぐ工夫が行われています。手続きの一覧ページなどにリンクしてしまうと住民が迷う原因となってしまうため、最短で申請画面に到達できる設計が重要です。

3.オンライン申請のメリットを具体的に周知

「窓口受付は日時が限られる一方、オンライン申請は原則24時間利用可能であること」など、利便性の違いを分かりやすく伝える工夫が行われています。また、窓口の混雑緩和を目的に、「一定期間はオンライン申請を先行受付とし、窓口申請の開始時期を後に設定する」など、オンライン利用のメリットが伝わる運用も行われています。

さらに、手続きによっては紙申請を原則廃止し、オンライン申請を基本とする運用に切り替えている自治体もあります。こうした取り組みに対して、住民からは「来庁せずに手続きが完結するようになり助かる」といった肯定的な意見が多く寄せられています。

このように、マイナポータルをはじめとしたオンライン手続きサービスを、より多くの住民に利用してもらうための導線設計と周知方法が、利用率向上の鍵となっています。

オンライン申請の利用率を高めるための工夫ポイントを紹介。

【トピック4】マイナポータルのオンライン申請が新しくなる?

——マイナポータルのオンライン申請が新しくなると聞きました。

マイナポータルの新しいオンライン申請サービスは2026年の10月末頃に開始予定です。住民にとっての使いやすさがさらに向上するとともに、自治体職員の業務効率化にもつなげやすくなります。

——住民にとってどのような変化がありますか

オンライン申請の際の住民の入力がより簡単になります。自治体がすでに保有している情報を申請画面にあらかじめ自動で反映する仕組みを導入することによって、氏名や住所などの情報を一から入力する手間が減り、入力ミスや記載漏れの防止、差し戻しの減少が期待されます。

申請内容の修正や書類不足の再提出のやり取りについても、オンライン上で完結できるようになります。これまで申請内容に誤りがあった場合の補正依頼やその対応は電話やメールで行う必要がありましたが、オンライン上で補正依頼から再提出まで完結します。あわせて、審査結果や決定通知もマイナポータル上で確認可能となります。

国民向けサービスグループ 参事官補佐 加藤 佑季氏

——職員にとってどのような変化がありますか。

マイナポータル上で利用できる標準様式が拡充され、より多くの手続きが共通様式で提供されるようになります(標準様式は2025年1月30日時点で171手続き)。あわせて、標準様式だけでなく、各自治体が独自に定めている様式についても登録できる仕組みが整備され、各自治体の状況に応じた手続きにも柔軟に対応しやすくなります。

このように、新しいオンライン申請サービスは、住民の入力負担や来庁負担を軽減するとともに、自治体側の確認作業や連絡業務の削減にもつながる基盤として位置付けられています。

新しいオンライン申請サービスではいくつかの機能追加が行われる。

【トピック5】マイナポータルAPIの活用方法は?

——マイナポータルで提供されているさまざまな情報をAPIで活用できると聞きました。どのような仕組みですか。

マイナポータルAPIは、マイナポータル上で確認できる個人の情報を、本人の同意を前提に、外部の官民サービスに連携できる仕組みです。少しイメージしにくいかもしれませんが、「住民がマイナポータルで閲覧できる自分の情報を、住民自身が許可した特定の外部サービスに提供することを、マイナポータルがシステム間連携で安全に行ってあげる仕組み」と考えると分かりやすいかもしれません。

——自治体ではどのような活用方法がありますか。

自治体では、独自のオンライン申請サービスやアプリの機能拡張に活用されています。例えば健康分野では、自治体の健康アプリと連携することで、健診結果や予防接種履歴を本人同意のもと取得し、アプリ上での表示や健康づくり支援に活用できます。受診やウォーキングに応じたポイント付与施策と組み合わせる例もあります。

また、子育て・福祉分野では、「Public Medical Hub(※)」の仕組みと相まって、マイナンバーカードを用いた予診票入力や妊婦健診情報をオンラインで共有・確認できる取り組みも進んでいます。

(※)自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム(Public Medical Hub:PMH)

国民向けサービスグループ プロダクトマネージャー 三浦 萌氏

さらに、本人確認が重要な場面での活用も可能です。例えば婚活支援事業において、独身証明書情報を電子データとして確認する仕組みと組み合わせるケースがあります。

このようにマイナポータルAPIは、「他の行政や民間が持っている情報を、自治体が安全に取得するための基盤」として活用することができます。すぐに大規模なシステムを作るという話でなくても、「こんな連携もできる」という選択肢として知っておくことで、今後の自治体サービス検討の幅を広げる材料になります。

マイナポータルAPIで自治体サービスの幅を広げることができる。

自治体へのメッセージ

——最後に、自治体職員の皆さまへのメッセージをお願いします。

マイナポータルは、さまざまな機能を拡張するとともに、システムの内部基盤についても2026年1月に大規模なシステム更改を行い、ますます使いやすいシステムへと進化しています。さらに、マイナポータルAPIの活用事例も200件を超え、活用が広がっています(2025年10月時点)。「まずは一部手続きから試してみる」「既存システムとの連携可能性を情報収集する」といった小さな一歩が、将来の大きな業務効率化や住民サービス向上につながります。各自治体の状況に応じた支援や情報提供を行っていますので、ぜひ積極的にマイナポータルの活用をご検討ください。

■自治体向けマイナンバーカードの利用促進に関するお役立ち情報

https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/local-government/info

グラファー Govtech Trends編集部

Govtech Trends(ガブテック トレンド)は、日本における行政デジタル化の最新動向を取り上げる専門メディアです。国内外のデジタル化に関する情報について、事例を交えて分かりやすくお伝えします。

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