企業は何を軸に生成AIのROIを整理するべきか

株式会社グラファー シニアコンサルタント西村祐紀

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多くの企業が、生成AIを導入する際に「ROI(Return on Investment=投資収益率)をどのように設定すべきか」といった点に課題を抱えています。生成AIはその革新性と潜在的な価値によって企業の関心を集めていますが、一方で、具体的なROIを測定し、評価するのは容易ではありません。しかし現実として、多くの企業がすでにAI技術へのIT投資を強化しています。このような状況に対して、企業では何を軸に生成AIのROIを検討していけばよいのでしょうか。

グラファーでは「生成AIを企業でどう使えばいいか分からない」「生成AIによる成果が出ない」といった課題に対し伴走型の支援や研修、プロダクト開発を通じて一気通貫で支援します。生成AI活用でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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目次

長期的なトレンドとなった生成AI

まず、生成AIの現状についてですが、IDCの調査レポートによれば、生成AIに1米国ドル投資した場合、平均で3.7 倍のROIが得られるとされています。さらに、生成AIを積極的に活用しているトップ企業では、平均で10.3倍ものROIを実現しているとのことです。

出典:IDCによる2024年AI活用機会に関する調査: 注目すべき5つの AI トレンド

一方で企業における運用面においては、従来のROIの観点で導入効果を測るのは難しい場合もあるでしょう。そこでご紹介したいのが、生成AIのROIは、従来のROI分析だけでなく、より広い視野で効果を検討する必要があるという点です

ポイントとして着目したいのが、以下の2つの観点です。

①消極的意義:生成AIを活用しないことで生じるリスクを回避する。
②積極的意義:生成AIを活用して新たな価値を創造する。

それぞれの詳細について、ご紹介していきます。

企業が生成AIによる効果を検討する際の視点 ①消極的意義

企業が生成AIの導入効果を検討する際の効果を考えるうえで、まず注目したいのが「他社に負けないために生成AIを活用する」という、いわば消極的な背景から生まれる効果です。具体的には、次のような他社との生産性競争・優秀な人材確保・シャドーITの抑制という3点が挙げられます。

(1)他社との生産性競争

同業他社が生成AIの活用を進め、生産性を向上させている中で、自社が取り組みを行わなければ、中長期で見たときにその差は埋められないものとなっているでしょう。例えばマッキンゼーのレポートでは、生成AIの導入によって、ハイテク領域では240〜460億ドル、小売り領域では240〜390億ドル、消費財領域では160〜270億ドルの生産性改善インパクトが予想されています。このような予想に対して、自社では積極的な導入を行わないと判断した場合、競争力は相対的に低下すると言えます。

出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー「生成AIがもたらす 潜在的な経済効果」

(2)優秀な人材確保

企業間の人材獲得競争が激化する中、生成AIをはじめとする新技術へのキャッチアップが遅いことは、若手優秀人材に敬遠される原因となり得ます。「Z世代の約9割は、DXの進まない企業への入社意向度が低い」という指摘もあり、生成AI技術に対する活用・検討が進んでいない企業は優秀な人材を確保できない可能性が高まります。

(3)シャドーITの抑制

生成AIを導入しない場合、ユーザーが独自に導入したシステムを利用する、いわゆる「シャドーIT」のリスクが高まります。「従業員がシャドーITを行う理由で最も多いのは生産性の向上」という調査結果の通り、より利便性の高いソフトウェアを使いたいという従業員のニーズを完全に抑えるのは困難です。一方で、こうしたシャドーITは企業の情報漏えいにつながる懸念があるため、企業にとっての大きなリスクとなります。

出典:「大企業社員600名に調査、シャドーITが生まれる理由の4割が『生産性の向上が目的』」

企業が生成AIによる効果を検討する際の視点 ②積極的意義

生成AIの導入効果を考えるうえで、もう一つ注目したいのは、「自社の企業価値を高めるために生成AIを使う」という積極的意義です。具体的には、新たな付加価値の創造や、将来の事業拡大に対する視座の向上という2点が挙げられます。

(1)新たな付加価値の創造

生成AIを前提とした新たなビジネスモデルや収益構造が実現できれば、中長期的な事業の付加価値創出につながります。実際に、顧客対応やセールスの領域では、世界全体でそれぞれ4000億ドル以上のインパクトがあると予想されており、今後のビジネス展開を考えるうえで、生成AIによる付加価値を無視することはできません。

(2)将来の事業拡大(M&Aなど)に対する視座の向上

社内での生成AI技術に対する理解や活用が進むことによって、生成AIを活用したビジネスを展開する企業の買収などに作用することが考えられます。「買収企業と被買収企業の間で、バリュエーションが合意に至らない要因は、テクノロジーを含む非財務情報の認識相違」という指摘もあり、生成AIを利用しないことが将来の成長にネガティブな影響を与えることと言えます。

出典:経済産業省「大企業×スタートアップのM&Aに関する調査報告書」

数値的なROI検証をする場合には利用率もあわせて考える

これまで挙げたように、企業の生成AI導入による効果を考えるうえでは、従来のROIの観点よりもさらに広い視点で検討を進めることが重要です。

一方で、現実的には具体的な数値が必要になるケースもあるかと思います。このような際に押さえておきたいのが、利用率の観点です。

例えば、従業員の時給が1人あたり2,000円だと仮定します。生成AIを導入することによって、月1時間の業務が削減できれば、数千円のツールの利用料金は容易に回収できます。それ以上の効果が期待できるケースも多いでしょう。

しかし、闇雲に導入すればよいというわけではなく、実際にどのくらいの社員が利用するのかといった利用率の観点が必要になってきます。例えば利用率が10%であれば、従業員の時給が2,000円でもツールの費用は回収できなくなります。

そのため、生成AI導入にあたっては、利用環境を提供するだけではなく、「全社員が生成AIを積極的に業務に活用する環境」を適切に整えて、利用率を向上させることが、効果の高い生成AI活用の実現につながると言えます。

まとめ:幅広い視野で効果を検証したうえで生成AIのROIを判断する

生成AIの導入を検討する企業の皆様にとって、避けては通れないROIの観点について、検討のヒントとなる視点をご紹介しました。

「Graffer AI Solution」は、導入を効果的に進めるうえで非常に重要な「全社員が積極的に生成AIを業務に活用する環境」を提供するプラットフォームです。

従来のチャットサービスに加えて、生成AIに詳しくない社員がプロンプトを打たなくても生成AIを活用できる「タスクライブラリ」も用意しています。あわせて、社内の人材育成を目的とした研修やサポート「生成AI活用伴走支援サービス」や「生成AI研修・人材育成サービス」まで、幅広くサポートします。

さらに、生成AIを業務に取り入れるには、セキュリティ面の安全性も重要な観点です。特に、一般公開前の情報や社外秘のデータなど、非公開の情報を取り扱うには、セキュアに生成AIを利用できる環境が必要です。「Graffer AI Studio」は、190を超える行政機関での導入実績、ISMS認証及びプライバシーマークを有する環境において、生成AIの安全な活用を考えるエンタープライズ企業を支援します。

ぜひこの記事が、企業の生成AI導入や業務の変革に繋がれば幸いです。

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文:東 真希 / 図:望月 麻由

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