食品規格書の転記やチェック作業を解決する、AIによる新たな解決方法とは【食品業界×DX】

株式会社グラファー マーケティング右田千夏

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卸売企業や食品メーカーの現場では、商品情報をまとめた書類である「食品規格書」に関わる業務が、DX推進における障壁となっています。
この食品規格書は小売企業に提出するために欠かせない書類ですが、メーカーごとにフォーマットがバラバラであるうえに、小売企業は独自フォーマットや独自項目を要求することも多いため、両者の形式が一致しません。その結果、卸売業では「食品メーカーA社のフォーマットから、小売企業B社の指定フォーマットへ」といった地道な転記作業が大量に発生し、担当者の業務を圧迫しています。
本記事では、なぜ食品規格書の業務がなぜ複雑化するのかを分かりやすく整理するとともに、AIを活用して転記やチェック作業を自動化する最新の解決アプローチを紹介します。

グラファーでは「生成AIを企業でどう使えばいいか分からない」「生成AIによる成果が出ない」といった課題に対し伴走型の支援や研修、プロダクト開発を通じて一気通貫で支援します。生成AI活用でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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目次

食品規格書とは

食品規格書とは、栄養成分・アレルギー物質・原材料など、食品にかかわる詳細な情報をまとめた書類です。食品メーカー(食品製造事業者)が作成し、卸売企業を経由して小売企業へ提出されます。

小売企業はこの情報をもとに、自社での販売可否の判断、表示内容のチェック、さらにはリスク管理などを行います。そのため、食品規格書は食品業界のサプライチェーンにおいて欠かせない重要書類です。

食品規格書の課題は「2つのズレ」

食品規格書は本来、企業間で商品情報を正確に伝達するためのものです。しかし、実際の現場では、フォーマットのズレや必要項目のズレという2つのズレによって、「転記」と「確認作業」の面での作業負担が生まれています。

1. フォーマットの違いによる「転記」の問題

食品メーカーが作成した食品規格書は、卸売企業を通じて小売企業へ提出されます。この際、小売企業ごとに、求める食品規格書のフォーマットが異なるため、卸売業や食品メーカーは、毎回それぞれの形式に合わせて情報を転記し直すことになります。

一方で、食品メーカー側も各社でフォーマットはバラバラです。そのため、卸売企業では以下のような大量の手作業が発生することになります。

  1. 食品メーカーが提出した規格書を目視で読み解く

  2. 必要な項目を探して、別フォーマットへ手作業で転記する

  3. フォーマットのレイアウト崩れや単位の違いを調整する

  4. 小売企業の要求に合わない項目の補完作業を行う

この転記問題については、官民連携のもと「産業横断レジストリ(※)」の構築も進んでいます。商品データの参照元を一元化することで、情報連携の効率化を図るものです。しかし、これはあくまで「参照元」の一元化です。最終的に各小売企業が要求する独自フォーマットへの「変換」作業は、依然として現場の手作業に依存しており、根本的な解決には至っていません。

(※)業界や企業を横断して、商品情報(マスターデータ)を共有・参照できる共通データベースシステム。

2. 必要項目の違いによる「確認作業」の問題

フォーマットの違いに加えて、小売業ごとに必要とする項目が異なる点も、現場での作業負荷を増大させています。例えば、輸出用の商品や特定用途向けの商品では、小売企業が独自の追加項目を要求するケースもあり、食品メーカーが通常保有していない専門的な情報が求められることがあります。

こうした項目は食品メーカー側ですぐに回答できない場合も多く、卸売企業が以下のような対応に追われます。

  1. 食品メーカーへ追加確認を依頼する

  2. 不足情報が多いため、過去の情報などから補完作業を行う

  3. 記載内容に矛盾があれば再提出を依頼する

その結果、不備修正・問い合わせの往復が増え、1商品あたりのリードタイムが長期化します。このような問題によって、商品登録の遅れや取扱商品の拡大が進まないなど、事業成長に影響を与えることもあります。

年間1,000億円規模の見えないコスト

このように、食品メーカー、卸売企業、小売企業の間で商品情報を受け渡すプロセスでは、フォーマットの違いや項目の不一致を埋めるための転記・確認作業が、業務効率化の大きな障壁となっています。経済産業省の調査(※)によると、商品情報の授受には年間30万人/月(EC掲載などの実務を含めると年間82万人/月)の工数がかかっており、これは概算で1,000億円規模のコストに相当すると推察されます。

(※)経済産業省 第1回 商品情報連携標準に関する検討会 ㈱シグマクシス『国内調査報告・課題分析について』

AIによる「非構造データの構造化」と「フォーマット変換」で課題を解決

それでは、このような現場の課題はどのようにすれば解決できるのでしょうか。この問題が長年解決困難だった最大の理由は、多くの情報がExcelやPDFといった、システムが自動処理できない「非構造データ」で受け渡されるためです。従来のRPAやルールベースのシステムでは、多様なフォーマットを「読み解き」「判断する」ことができず、結局は人手による解釈や判断が必要でした。

しかし近年、この領域で大きな変化をもたらしているのが生成AIを活用したデータ処理の自動化です。従来のルールベースでは対応できなかった、人間が行っていた「読解」「判断」「変換」といった工程を、AIエージェントが代替します。

このAIによる課題解決アプローチを、食品業界の現実に特化して製品化したのが、グラファーが提供する 「Graffer Databridge」です。

AIが「転記・チェック担当者」になる。Graffer Databridgeとは

「Graffer Databridge」は、食品規格書の「読解」「転記」「変換」「確認」「管理」という一連のプロセスをAIエージェントが担うことで、これまで人手で行っていた作業を効率化するサービスです。

AIが食品規格書を自動で読み解く

食品メーカーは、使い慣れた自社フォーマットのPDFをアップロードするだけで、AIエージェントが内容を解析し、必要な項目を自動でデジタルデータ化します。そのため、これまで時間をかけて行っていた入力作業やチェック作業を削減できます。

卸売企業はボタンひとつで任意フォーマットに転記

卸売企業は、食品メーカーから受け取ったデータをもとに、小売企業が求める規格書フォーマットへワンクリックで変換できます。PDFだけでなく、社内システム向けのCSVなど多様な形式に対応しており、フォーマットをまたぐ転記作業が不要になります。

現場のコミュニケーション負荷もAIが解消

食品規格書業務に特化した、現場で生じがちな細かな負担を解消するための機能も備わっています。

  • 食品メーカーからのデータ不足などの自動確認

「アレルゲン表示がない」「栄養成分の合計が合わない」といったデータの不足・矛盾・異常値を自動検知。提出前にアラートを出すため、目視チェックの負担が減り、後工程で発生する差し戻しを防ぎます。

  • コミュニケーションの集約

修正依頼や確認事項はシステム内のチャットで完結。対応履歴が一元管理され、「どこまで対応したか分からない」「やり取りのメールを探すのが大変」といったコミュニケーションの負担が解消されます。

  • 進捗・履歴の一元管理

案件の進行状況やバージョン情報をクラウドで整理することによって、引き継ぎや監査時の負担を軽減します。現行商品と新商品の情報を重複して管理するようなケースで業務負荷を軽減することができます。

属人化した手作業から脱却し、事業成長を加速させる

食品規格書をめぐる課題は、単なる事務作業の煩雑さに留まりません。メーカー・卸売・小売の三者がそれぞれ異なるフォーマットや項目要件を持つことで、その変換作業がボトルネックとなり、商品登録のスピードや取扱商品の拡大を阻害する課題を抱えています。

さらに、人口減少が進み人材リソースが限られる一方で、商品ラインナップは多様化しています。従来のように、人手だけで情報の流通を支え続けることは現実的ではなくなりつつあります。

そこで一つの鍵となるのが、AIを活用したデータ処理の自動化です。これまで人手に依存してきた「読み解き・変換・確認」の工程をAIがサポートすることで、業務を根本的に効率化することができます。食品規格書業務の見直しは、単なる生産性向上ではなく、より付加価値の高い業務へシフトし、事業の成長を後押しするための戦略的な一歩となるはずです。

関連:https://graffer.jp/ai-solution/ai-databridge/food-kikaku

文:東 真希 / 図:望月 麻由

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本記事でご紹介した「Graffer Databridge」は、多様なフォーマットの読み取りから、取引先ごとのフォーマット変換、不備のチェックまで、食品規格書にかかわる業務をAIエージェントが支援する特化型のシステムです。

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