「自動審査アシストを用いた審査プロセスの効率化」に関する実証実験結果

2022年5月27日


株式会社グラファーは、神戸市と実施した実証実験である「自動審査アシストを用いた審査プロセスの効率化」について、実験結果を取りまとめました。実験結果を通じて、住民サービスの向上と行政事務の効率化を実現する「エンドツーエンド接続」の取り組みを、今後さらに強化していきます。

実証実験の概要
目的
クラウドサービス(Amazon Web Services)を活用して、安全なネットワーク上で申請データと行政データを連携させ、審査にかかる事務負担を減らすことで、審査時間を短縮して市民サービスを向上させることを目的に、本実証実験を実施しました。     

背景
申請を受理するシステムと、行政データを保管しているシステムは別のネットワークに分離されています。そのため、これまでオンライン申請で得られた申請データを、行政が保有しているデータと照合して審査する必要がある場合には、それぞれのデータを目視で確認し、審査を行う必要がありました。     

実験期間
2022年2月〜4月

対象業務
所得・課税証明書の発行業務

「自動審査アシスト」とは
「自動審査アシスト」は、自治体における電子申請システムとマイナンバー利用事務系システムのデータを、安全なネットワーク上で連携することによって、審査業務を効率化し、職員の事務効率化を図る取り組みです。行政データをクラウド上のストレージに格納し、オンライン申請システムのデータと突合させることによって、申請されたデータが正しいデータかどうかを判定します。

システム概要図

実証実験の結果(一部を抜粋)

1. アシスト精度の確認——高精度を実現
正答率(※1)は94.5%、誤った情報の取得は0件と、審査業務を効率化するために必要な情報を適切に取得したことが確認できました。
(※1)正答率:審査業務において必要となる情報を、マイナンバー利用事務系システムから正しく取得し、審査を行う画面に表示した率。

2. 業務に対する影響の確認——効率化に寄与
(1)宛名番号の自動取得による情報検索の効率化
市民一人ひとりに固有の宛名番号(※2)を、申請データに紐づけて自動取得し、審査結果と併せて表示することによって、審査時に職員が行う情報検索(※3)を効率化する効果を得られました。     
(※2)宛名番号とは、マイナンバー利用事務系システムに存在する、神戸市が独自に付番している市民固有の番号を指します。マイナンバーではありません。(※3)情報検索とは、マイナンバー利用事務系システムにおける情報検索を指します。

(2)申請の事前判別による審査の効率化
アシスト結果に基づいて、マイナンバー利用事務系システムにおける審査前に、「証明書が発行できない申請」や「発行できない理由」を判別することによって、審査にかかる作業時間が、職員の体感値として3割減少する効果を得られました。

効率化の具体例1.
1月1日時点で神戸市に住所がない対象者については、課税対象外であることがあらかじめ確認できます。そのため、マイナンバー利用事務系システムにおいて情報検索を行うことなく審査を次のステップに進めることにより、審査業務を効率化する効果が得られました。

効率化の具体例2. 
アシスト結果に基づいて、「定型的に進められる申請」と、「申請者への確認が必要な申請」をあらかじめ判別することができます。審査において一定の知見が必要な業務については、業務経験が豊富な職員が担当するなどの運用ができるようになったことによって、職員の負担を軽減し、業務分担を適正化する効果が得られました。

今後の展開
実験結果を受け、グラファーでは住民サービスの向上と行政事務の効率化を実現するために、実証実験における対象業務の拡大等に取り組むことを予定しています。併せて、「自動審査アシスト」の製品化にも取り組んでまいります。

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