本部での利用率70%。創業100年を迎える総合ディスカウントストア ミスターマックスが挑む生成AIを活用した社内改革

背景
・本部機能の効率化や業務の生産性向上を通じた企業価値の向上を目指して生成AIの導入を決定
・生成AIのリテラシーを高め、将来的なビジネスチャンスを逃さないための基盤作り
・10社以上のAIツールを比較検討したうえで、きめ細かい伴走支援を評価して「Graffer AI Solution」を選定
成果
・本部内の社内利用率70%を達成し、生成AIが本部機能の生産性向上に貢献
・相談会・勉強会・活用事例共有会を通じて、各部署での活用が拡大
・「もう生成AIがなかった頃には戻れない」という社員の声が上がるほどの業務浸透
導入の狙いは「小売業における業務活用」と「社内のリテラシー向上」
――生成AIの導入を決めたきっかけを教えてください。
吉田:生成AIを活用することで、小売業における本部機能を効率化できると考えたためです。小売業にはいくつかの経営形態があります。店舗が仕入れや販売をコントロールする企業もあれば、当社のように本部がそれらの役割を一括して担う企業もあります。本部が管理・運営を集中的に行う、いわゆる「チェーンストア経営」では、本部が膨大なデータを取り扱うのが特徴です。この本部の生産性を向上させることができれば、業務効率化だけでなく、企業価値の向上にもつながると考えました。
――本部機能のさらなる向上を目的にされたのですね。
吉田:もう一つの理由は、生成AIに対する社内のリテラシーを高め、将来的なビジネスチャンスを逃さないためです。生成AIは今後、社会のインフラとしてさらに浸透していくと予想しています。その際、社内の理解やスキルが不足していれば、機会を生かせない可能性があります。そうしたリスクを避けるためにも、早い段階でリテラシーを向上させることが重要だと考えました。

上席執行役員 DX戦略部門管掌 吉田 康彦様
導入の決め手はきめ細かい伴走支援
――検討はどのような流れで行いましたか。
吉田:まずはDX戦略室でChatGPT(GPT-3.5)の試験利用を行いました。しかし、企業としてデータを入力する際にはセキュリティ面での懸念があります。そのため、安全に生成AIを業務で活用できる環境の整備が必要だと判断し、具体的な検討を始めました。
――生成AIの安全な企業導入に向けて、どのような手段を検討したのですか?
吉田:まずは内製化を検討しましたが、膨大なリソースが必要なため、現実的ではありませんでした。そこで、企業向けの生成AIツールを中心に候補を探すことにしました。10社ほどを比較・検討した結果、最終的に「Graffer AI Solution」を選定しました。
――「Graffer AI Solution」を選んだ理由は何だったのでしょうか?
吉田:最大の決め手は、きめ細かい伴走支援でした。毎日のように状況が大きく変化する生成AI領域において、自社にとって必要なアップデート情報を入手することは非常に重要です。グラファー社を通じて、情報を適切にキャッチアップできる点は大きなメリットだと感じました。また、一方的な情報提供にとどまらず、私たちの課題やニーズに寄り添い、ともに解決策を作り上げていこうという姿勢も大きな魅力でした。
利用率70%達成のポイントは、一斉メールの配信・相談会・勉強会・導入事例発表会
――その後、2024年6月に利用を開始されていますが、社内の利用率はどのくらいですか。
森重:本部内の利用率(※)は約70%に達しています。さまざまな取り組みの成果として、多くの社員が活用を進めています。
(※)利用率は、月に1回以上利用したユーザー数をアカウント数で割った割合を指します。
――初期段階では特に、各部署への浸透が重要なポイントとなるかと思います。70%という高い利用率を達成できた理由は何でしょうか。
森重:業務への浸透を図るために、一斉メールの配信、相談会、勉強会、活用事例共有会といった4つの取り組みを行いました。

DX戦略室 課長 森重 豊様
――まずは一斉メールの配信について詳しく教えてください。
森重:隔週で一斉メールを配信し、社員に生成AIの魅力を伝えています。細かいプロンプトの解説というよりは、「こんな使い方ができるんだ」と感じてもらえるような事例やヒントを紹介し、興味を持ってもらうことが目的です。

一斉メールでは、社員に向けてさまざまな情報を紹介。よく利用されている方の名前・部署の紹介や、プロンプトの書き方のテクニックも配信している。
――次に、相談会についても詳しく教えてください。
森重:相談会は、生成AIの活用に悩んだ社員が気軽に相談できる場として、1~2週間に1回のペースで開催しています。生成AIを「当たり前」のものとして定着させるためには、社員の自主性が重要だと考えています。そのため、相談会は強制ではなく自由参加の形式にし、前向きに取り組める環境を整えました。この相談会に参加したメンバーは、生成AIをより積極的に活用している印象があります。
吉田:「いまさらこんな基本的なことを聞いてもいいのかな?」という疑問も、相談会では気兼ねなく質問できます。また、社員の時間を長く拘束することも現実的ではありませんので、相談会は短時間で効率よくサポートできる仕組みだと感じています。
――勉強会についても詳しく教えてください。
日永田:勉強会は、パートナーであるグラファー社がレクチャーを行う形式で、最新機能や活用事例、プロンプトライティングにおける工夫ポイントなどについて解説してもらう場です。社員がまとまった形で最新情報をキャッチアップできるため、非常に有益な機会となっています。

手元でPCを操作しながら熱心に知識を深める勉強会の様子
――最後に、活用事例共有会についても詳しく教えてください。
日永田:活用事例共有会は、各部署が生成AIをどのように活用しているかを共有する場です。実際の業務での具体的な使い方を共有することで、他の部署のメンバーも「こういう使い方ができるのか」と新しい発見や活用のヒントを得られる場になっています。この共有会を通じて、生成AIの活用がさらに広がっていると感じています。
また、事例に対してグラファー社からのフィードバックを受けることで、より実際の業務に活かせる具体的な活用事例を作ることができました。さらに、各部署の推進リーダーを選定し、活用事例共有会を実施した結果、その事例をもとに部内で自主的な勉強会を開催する動きも生まれました。このように、活用事例共有会がきっかけとなり、組織全体で生成AIの活用を活発にしていくことができました。

DX戦略室 日永田 誠様
段階的に利用者を増加させていった
――具体的な導入プロジェクトとしてはどのように進めたのでしょうか。
森重:社内の利用者拡大は2つのステップに分けて進めました。第1ステップでは商品部門や営業部門を中心に導入を進め、第2ステップでは人事部や総務部といった部門を中心に展開しました。

一度に全部門に展開するのではなく、段階的に全社に展開していった。
――なぜ第1ステップで商品部門や営業部門を選定したのでしょうか。
森重:商品部門や営業部門は、生成AIの活用に対しての導入ハードルが高い部門だと考えたためです。事務系の部門であれば、業界的にはすでに多くの活用事例があり、比較的スムーズに導入できます。しかし、あえてハードルが高い部門に先に導入することで、成功事例を作り出し、他の部門へ展開する際の説得力を高める狙いがありました。
――どのような推進体制をとりましたか。
森重:推進メンバーは、DX戦略室の3名が中心となり進めました。また、社内各部門から1、2名の推進メンバーを選出し、各部門に根付いたサポートを行いました。さらに、各部門を4つのチームに分け、チーム単位での推進を行うことで、効率的に進められる体制を整えました。

4つのチームに分けて推進していった。
――導入後の社内の反応はいかがですか?
森重:生成AIは多くの社員に浸透しており、「もう生成AIがなかった頃には戻れない」という声も聞かれるほどです。文章作成の補助やコーディングやSQLクエリ作成など幅広い用途で利用が進んでいます。
参考事例:【実例公開】総合ディスカウントストアミスターマックスが語る生成AI活用術〜ECサイトへの商品登録から物流センターでの活用まで〜
生成AI活用のハードルは社内への的確な情報発信
――すでに社内へのスムーズな展開を実現していますが、これから生成AIの導入を進める企業にとって、ハードルになりそうなことがあれば教えてください。
森重:主に2つの課題があると感じています。1つ目は、「入力内容が学習データとして利用されるのではないか」という誤解です。2つ目は、「検索してみたけれど正しい答えが返ってこなかったので使えない」といった、生成AIの特性を十分に理解していないことからくる誤解です。これらは、当社でも社内から多く寄せられた意見ですが、他の企業でも同様のハードルになる可能性があると考えています。
――生成AIへの期待と実態にはギャップがあるということでしょうか?
吉田:その通りです。生成AIには得意な分野と不得意な分野がありますが、何でもできる万能なツールだと誤解されることが少なくありません。その結果、期待値が過剰に膨らんでしまい実際の結果との差による失望や誤解が、導入の妨げになることがあります。そのため、初期の段階から生成AIの特性や限界を正しく伝え、実態に即した情報を社内に発信することが重要だと考えています。
今後はさらなる活用・浸透を図っていく
――今後はどのような取り組みが予定されていますか。
森重:社内では生成AIの活用が進みつつありますが、使用頻度や使い方には個人差があり、部門ごとにもばらつきがあるのが現状です。今後はこうしたばらつきを解消し、生成AIが社内業務の「当たり前」となるように、さらに活用を広げていきたいと考えています。
また、生成AIは日々進化しており、できることが増え続けています。最新の技術や活用方法を適切にキャッチアップするためにも、引き続き情報収集を行っていきます。特に、グラファー社の担当者は相談すれば必ず寄り添い、具体的な提案をしてくれるため、非常に心強い存在です。今後も、きめ細かいサポートやツールのさらなる機能拡充に期待しています。
日永田:各部署で自然に生成AI活用のアイデアが生まれる環境作りのためのサポートを行うのが、私たちDX戦略室の役割だと考えています。私たち自身も働き方や業務の質をアップデートしていきたいと考えています。会社としても重要な転換点にいる今、社員一人ひとりが成長しながら、生成AIを最大限に活用できる環境を作り上げていきたいと思います。
※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。
生成AIの活用で企業変革を実現する「Graffer AI Solution」
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