小売業界の生成AI活用をリードする東急ストアの現場改革への挑戦

背景
・人手不足や労働コストの上昇を背景に、持続的な店舗運営を目指して生成AIの導入を決定
・本社業務の効率化に加え、売場での活用も見据えて取り組みを開始
・直感的な操作性と伴走支援の手厚さを評価し、「Graffer AI Solution」を選定
成果
・「Graffer AI Studio」の一括処理アプリケーションを活用することで、アンケート分析にかかる時間を100時間から3時間に短縮
・企画のアイデア出しや商品のキャッチコピー作成を効率化し、より魅力的な提案が可能に
・メール作成や会議準備など、日常業務の負担を軽減し、社内の業務効率化を推進
導入の狙いは、売場での活用も見据えた「従業員の生産性向上」
――生成AIの業務活用を決めたきっかけを教えてください。
社会全体で労働コストが上昇し、人口減少による人手不足が深刻化する中、当社も同様の課題に直面しています。こうした状況下で、持続的に店舗を運営するためには、従業員の生産性向上が欠かせません。その解決策の一つとして、生成AIの業務活用に踏み切りました。
――具体的にはどのような業務への活用を目指していますか。
本社業務に加えて、売場での棚割りや惣菜製造の最適化への活用を目指しています。一方で、システムの急な導入は従業員に混乱を招く可能性もあるため、まずはチャット型の生成AIを導入し、従業員が生成AIに「慣れる」という段階から取り組みを開始することにしました。

ステーションリテール事業室長 兼 営業本部 ビジネスソリューション部長
吉田 亮様(役職は2025年2月時点)
「一括処理機能」の活用で100時間の業務を3時間に短縮
――実際に生成AIの導入を進める中で、どのような効果を感じていますか。
100時間ほどかかっていたアンケートの分析を3時間ほどに短縮することができました。例えばこれまで、各部署・売場からのアンケートや、新入社員のアンケートなどを分析する際には、複数人で業務を分担して1件ずつ目視で確認しながらカテゴリ分けをする必要がありました。
しかし、「Graffer AI Studio」の一括処理アプリケーション(※)を活用することによって、このような作業を自動化することができるようになりました。

分析業務にかかる時間を大幅に短縮している。
(※)一括処理アプリケーションは大量のデータを効率的にまとめて処理できる機能です。
――アンケートのデータを一括で処理する際、どのような工夫を行っていますか。
生成AIはその場で文章を生成する特性があるため、アンケート内容に応じてカテゴリの出力形式が異なるという課題がありました。しかし、プロンプトに出力例を添える工夫をすることで、カテゴリがすべて統一された形式で出力されるようになりました。また、カテゴリの種類や分類方法についても、生成AIに提案してもらうことによって、極力、人間の手を介さずに効率化を図っています。このような仕組みによって、これまで煩雑だった分析業務の負担を大幅に軽減することができました。
――他にはどのような業務に活用していますか。
店舗で実施している合同企画のアイデア出しに、生成AIを活用しています。季節や旬の食材をテーマにした企画の案出しを生成AIに指示することで、従来の発想にとらわれない柔軟な企画を立案できるようになりました。結果として、より魅力的な商品提案やお客様へのサービス向上に寄与できるようになっています。

店舗での企画のアイデア出しに生成AIを活用している。
商品のキャッチコピーを考える際のアイデア出しにも生成AIを活用しています。例えば、惣菜のメニュー名を考える際、これまでは1件ずつ担当者が考えて案を出していました。しかし生成AIを活用することによって、短時間で複数の案を生成できるようになりました。選択肢が広がり、これまでには思いつかなかったような、より魅力的なネーミングが生まれやすくなったことで、生産性の向上に大きく貢献しています。

商品のキャッチコピーに生成AIを活用することで、より魅力的なネーミングの開発につながっている。
――売場の生産性向上につながる活用事例ですね。業務効率化の観点ではいかがでしょうか。
日常的な業務であるメールの作成や、会議の際の想定質問集の作成や文字起こしに生成AIを活用することによって、業務時間の削減を実現しています。これらの業務は、1件あたりのボリュームは大きくありませんが、頻度が高いため、年間で考えると半分以上の時間削減につながっています。

バックオフィス業務の効率化に取り組んでいる。
――社員からはどのような反応がありましたか。
導入前は「自分たちに使いこなせるのか」「すでに業務が多忙な中でさらに負担が増えるのではないか」といった不安の声もありました。しかし現在では、「生成AIが得意とする業務を中心に効率化が進んでいる」という声も寄せられるようになりました。
社内研修など、浸透のための施策についてはさらなる工夫が必要だと感じています。双方向のコミュニケーションを意識しながら、情報をしっかりと発信していく体制を築いていきたいと考えています。
「誰もが使いやすいツールであること」が導入の決め手
――すでにさまざまな効果が生まれている生成AIですが、その手段として「Graffer AI Solution」を選定した理由は何ですか。
最大の決め手は「誰もが使いやすいツール」であることです。生成AI導入は当社として初めての取り組みだったため、直感的な操作性と分かりやすい機能が求められていました。
また、研修や日々のフォローアップを丁寧に行ってくれる伴走支援が提供されている点も、選定の大きな理由です。
――社内での環境構築ではなく、SaaS型のサービスを選定したのはなぜですか。
生成AIは日々進化しており、この変化に迅速に対応しながら生産性を向上させるためには、スピード感が重要だと考えたためです。柔軟なアップデートが可能なSaaS型サービスは、常に最新の技術や機能を利用できる点で、大きな利点があります。

最大の決め手は「誰もが使いやすいツール」であることだった。
専任メンバーを中心にしながら、活用範囲を徐々に拡大
――選定後、プロジェクトはどのような流れで進めましたか。
選定後、2024年9月には環境の整備を完了し、10月から一部の社員にアカウントを配布しはじめました。まずは定型業務の多い本社メンバーを中心に、活用に積極的なメンバーを選抜しました。将来的には売場での活用を目指して段階的に進めていく予定です。
――推進チームはどのようなメンバーで構成されていますか。
専属メンバー数人が中心となり、情報発信や技術面でのサポートを行っています。もともと売場業務を主に担当していたメンバーも含まれており、AI分野の専門的な知識はまだ十分ではありません。しかしそのぶん、現場での経験を活かし、利用者の視点に立ちながら課題を共有し、一緒に成長しつつプロジェクトを推進する形を目指しています。
全社導入を目指してさらなる活用に取り組んでいく
――今後は、社内での活用をどのように進めていきますか。
今回得られた成果や課題をもとに、次のステップとして全社導入を目指したいと考えています。利用者からのフィードバックを積極的に反映させながら、全社的な生産性向上を実現するため、引き続き取り組んでいきます。
――今後の生成AI活用について、目指す姿や計画について教えてください。
生成AIを活用することはゴールではなく、プロセスのひとつにすぎません。
まずは、バックオフィス関連においてDXを推進し、業務量の2~3割程度の削減を目指しながら業務全体の効率化を進め、従業員がより付加価値の高い仕事に集中できる環境を整備していきたいと考えています。また、生成AIの活用を全社的に進めるためには、店舗従業員の理解を深めることや、従来の思考や業務プロセスを見直して転換を図ることも欠かせません。これらを通じて、全社一丸となって新たな取り組みに挑戦し続け、持続的な成長を実現していきたいと考えています。
※文中の敬称略。撮影時のみマスクを外しています。所属や氏名、インタビュー内容は取材当時のものです。
生成AIの活用で企業変革を実現する「Graffer AI Solution」
生成AIの活用に対するお悩みはグラファーにお寄せください
株式会社グラファーでは、企業が生成AIを活用するために欠かせない活用領域の選定や洗い出し、社内の人材育成を目的とした研修やサポート、高度なセキュリティ環境で安全に活用できるプロダクト「Graffer AI Studio」を提供しています。
「Graffer AI Studio」では汎用的活用しやすいチャットサービスに加えて、プロンプト不要で活用できる「タスクライブラリ」、チャットで高度な活用ができるデータ分析機能、大規模処理や定型業務の活用に欠かせない面倒な処理を生成AIに丸投げできる「一括処理アプリケーション」を提供しています。
プライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得済み。これまで200以上の官公庁にサービスを提供してきた株式会社グラファーが運営しているため、エンタープライズ企業で安心してご利用いただけます。無料お見積もり、デモのリクエストなど、お気軽にご相談ください。
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