2021年9月から、グラファーで人事をしている畑中です。今回、試用期間中というまだあっぷあっぷしながら会社へのキャッチアップを進めているタイミングで、バリュー再定義プロジェクトのPMを拝命しました。PMとして動き出して初めて、私は何のためにグラファーが存在し、今後どういう価値を社会に提供していくべきなのか、そのために自分は何をするべきなのかを深く考えることとなりました。ということは、このプロジェクトの行程を公開することは、今後グラファーに関わってくださる全ての方々に当社のことを知っていただく良い機会になるのでは、と思い、今回筆を取りました。
Part1では、バリュー再定義プロジェクトの発足背景、プロジェクト発足からバリュー草案作成に至るまでの過程についてお伝えしました。
Part2では、大きな壁を乗り越えてできた草案と、草案が最終稿に至るまでの過程、そして今後どのようにバリューを起点とした「Graffer Culture」を作っていこうとしているかについてお伝えします。
全メンバーの意見、フェーズ2で定義したグラファーにしかできない価値提供をしていくための前提、プロジェクトメンバーで再度検討したバリューに含むべき要素をもとに、CEOの石井がバリュー草案の作成を行いました。
草案は、
覚えやすい言葉であること
具体的な行動をイメージできるものであること
自分たち独自の視点が少しでも含まれる表現であること
「みんなのこうありたい」をできる限り踏まえること
「みんなのこうありたい」を受け止めた上で、相反する要素などそのまま反映するのが難しいものに関しては、経営者・創業者としての意思を取り入れること
を意識して作成されました。
バリュー2.0 草案
■リスクを取って行動で示す
不確実な状況や曖昧な局面を打開するために必要なのは何よりも行動だ。批評家や傍観者にならず、みずから行動を起こし、前例にとらわれずに物事を前に進めよう。
■最速・最頻の試行スピード
試行の速さがモメンタムを生み、成果を引き寄せる。考えてから手を動かすまでの時間を最短に。改善は可能な限り頻繁に。どんなことでもより良いやり方は常にある。常に考え、試行し続けよう。
■「資産」と「仕組み」の最大化
優れた資産と仕組みによって提供価値が最大化され、圧倒的に生産性の高い事業を作り上げることができる。個人の頑張りや意識に頼らず仕組みで問題を解決し、その場しのぎの解決ではなく資産になる仕事をしよう。
■いつでもどこでも One Team
役割、部署、採用場所に関わらず常に1つのチームとして動こう。そのために必要な信頼関係の構築に十分すぎるほど投資しよう。互いに信頼しあう結束したチームは、天才が集うばらばらのチームを打ち負かせる。
■フィードバックを食い尽くす
人は得られたフィードバックのぶんだけ成長できる。どんな優れた人や組織もフィードバックなしには成長しない。チームメンバーからも顧客からも貪欲にフィードバックを求め続け、そのすべてを喰らい尽くせ。
■常に「結果」から逆算
一番大事なのは「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」でもなく、「どんな結果を得たいか」だ。達成したい成果は何で、考えうるリスクは何か?常に「結果」から逆算して行動しよう。
■誰にでも説明できることをする
自分やチーム、顧客、社会に対し、正面から説明できることだけをしよう。不都合を隠そうと躍起になるほど無意味なことはない。最初から隠すべき不都合がないように振る舞えば、遥かに良い結果につながる。
盛りだくさん!
草案には、メンバーの思いと石井の思いが、可能な限り反映されていました。
草案は、各バリューの背景説明を含めると実に7,000字以上の大作だったのですが、初めて草案を見たプロジェクトメンバー同士で、「すんごいのが出てきたね」と目を見開いて驚き合ったのは、良い思い出です。
次に、草案に対する全社アンケートを実施し、
各バリューから具体的な行動をイメージできるか
グラファーのGoodな部分は取り込まれているか
グラファーのMottoな部分は改善されると思うか
の3点について意見を収集しました。
アンケート結果では、
今までのバリューに含まれていなかった「チーム」の要素が含まれた
グラファーらしい、人ではなく仕組みで改善しようとする姿勢が入っている
グラファーらしい、「資産」を大事にする姿勢が入っている
などのポジティブな意見も挙がりましたが、改善につなげるべき率直な意見が多数出ました。
これらの意見をどう反映し、最終稿を作成すればいいのか。
ここでは無理に意見を集約することはせず、アンケート結果を事前にインプットした上で、プロジェクトメンバーでバリューの改善案シートを作成しました。
草案は、「バリュー」+「解説文」の形で構成されており、一つのバリューに複数の要素が含まれていました。そこで、この改善案シートを用いて草案に含まれている要素を全て一度分解し、本当にバリューに含めたい要素は何なのかを改めてプロジェクトメンバーで議論した上で、石井とディスカッションを行いました。
ディスカッションでは、
リスクを取るのではなく、行動することが大事なのでは
資産と仕組みって行動に落ちないのでは……いや「資産」という言葉は、絶対バリューに入れたい。これがグラファーの良さ
One Teamを作ることではなく、その過程の信頼関係を構築するということが重要なのでは
フィードバックをもとに行動を変えるというニュアンスがほしい
「結果」と聞くと、すごく短期的な印象を受ける
草案に含まれていない要素は、本当に含まなくて良いのか
バリューの解説文は、バリューの解釈を制限しかねないし、誤解を生む可能性がありそう
全てをシンプルな言葉にして解説文をなくし、言葉の解釈はみんなで作っていくほうが良いのでは
など、様々な意見が出ました。
石井は、アンケート結果を見た当初は、どう内容をまとめていくか途方に暮れたそうです。それがこの議論を通じ、「信頼関係があれば、率直なフィードバックもできるし、One Teamにもなるのでは」といった、各要素を集約して言語化する方向性が見えてきたと言います。
この後、石井が最終稿の作成に着手します。
そしてついに、バリュー2.0が完成します。
実は、最終稿をFixする前に、再度プロジェクトメンバーと石井が集まり、バリューを構成する単語、バリューを記載する順番について一つ一つ丁寧に推敲する場を設けました。
結果的に、この場がさらにバリューを磨く良い機会となりました。
メンバーが尊重すべき「個人」とは誰なのか
尊重することと、信頼することの違いはなにか
メンバーが大事にしたいものは、透明性なのか。または誠実さや率直さなのか
行動者であることが先に来るべきか、未来から逆算して考えることが先か
などの議論を通じて一部の文言がブラッシュアップされ、納得感を持って全社に公開する準備が整いました。
いよいよ、2カ月弱のプロジェクトの集大成として、バリュー2.0全社説明会を実施しました。説明会では、全メンバーが自分なりにバリューを解釈し、議論するきっかけを作ること、みんなでバリューを作っていくための一歩を踏み出すことを目指し、石井に対するインタビュー形式にてプロジェクトの全行程を振り返りました。
事業環境、会社の規模など、その時々の状況によって私達にとって最適なバリューは異なるはずです。そのため、今回あえて再定義したバリューを「バリュー2.0」と名付けたのも、ミッション実現に近づくのであれば、すぐに2.1や3.0にバージョンアップしてもいいという思いがあったからです。
説明会はオンライン実施であり、メンバーが発言しやすい環境ではありませんでしたが、複数のメンバーから質問や感想が出ました。また、説明会後のアンケートでは71%のメンバーからバリュー策定プロセスについて理解できた、との回答がありました。今後は、残り29%を0%に近づけていき、バリュー2.0が日常的に使われる状態を作っていくために、引き続き様々な取り組みを行っていきたいと考えています。
バリュー2.0が決まり、本プロジェクトは一段落しましたが、本番はこれからです。
バリュー2.0をベースにしたグラファー文化を作っていくため、
認知
Slackスタンプ運用
再定義プロセスのコンテンツ化
会社HPアップデート
グッズ作成
興味・関心
ワークショップ実施
採用プロセス整備
人事制度update
マネージャー研修実施
など様々な施策を検討しており、少しずつ着手し始めた状態です。
定量的に施策の効果を検証する仕組みの構築など、まだまだ考えるべきこと、やるべきことは山積みの状態ですが、一つ一つ真摯に取り組んでいきたいと考えています。
本プロジェクトは、総勢14名の有志によるプロジェクトメンバーの存在なしには語れません。年末の繁忙期を挟んだにも関わらず、2カ月に渡ってプロジェクトに参加してくれたメンバーの皆さんには、心から感謝しています。
私がグラファーへの入社を決めたのは、自分の会社が提供するサービスを通じて、家族や自分の大切な人たちを喜ばせることができるのは素敵だなと思ったことでした。ですが、入社当時から今まで、グラファーだからこそ提供できる価値について深く考えたことは一度もなかったように思います。それがこのプロジェクトのPMを経験することで、グラファーという会社が存在する意義を自分ごととしてとらえ、自分なりの考えを発信できるようになったことは、「仕事」という枠を超え、自分の人生を豊かにすることにつながる経験だったと思います。
当社は、「Digital Government for the People」をかかげ、市民の利便性を追求したデジタル行政プラットフォームを開発するスタートアップ企業です。
もし、私達のバリューに対する姿勢や大事にしているもの、事業に共感してもらえたら、一緒に日本の行政をより良くしていくための1歩を踏み出しませんか?
グラファーでは、一緒に働いてくださるメンバーを大募集しています!