2021年9月から、グラファーで人事をしている畑中です。
今回、試用期間中というまだあっぷあっぷしながら会社へのキャッチアップを進めているタイミングで、バリュー再定義プロジェクトのPMを拝命しました。
PMとして動き出して初めて、私は何のためにグラファーが存在し、今後どういう価値を社会に提供していくべきなのか、そのために自分は何をするべきなのかを深く考えることとなりました。
ということは、このプロジェクトの行程を公開することは、今後グラファーに関わってくださる全ての方々に当社のことを知っていただく良い機会になるのでは、と思い、今回筆を取りました。
この記事を通じ、少しでも皆さんにグラファーのことを身近に感じてもらえたら幸いです。
グラファーでは、バリューを「ミッション実現のための行動指針」であると定義しています。「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」というミッションを実現するため、日々の業務を行う上でメンバーが判断に悩んだときに立ち返る判断軸であり、グラファーが大事にする価値観です。
2019年頃から自治体へのサービス導入事例が生まれ始めたこと、その後COVID-19という未曾有の災害によって、行政領域においても直接顔を合わせずに行政サービスの提供を行うニーズが急速に増加したことなどから、政府・自治体の方々からたくさんの引き合いをいただくようになりました。
この事業拡大に伴い、従業員数もサービス導入開始から7倍以上に増加しました。従業員数の増加に伴い、意思疎通がうまくいかない、意思決定プロセスが不明瞭に感じられる、仕事が細分化されて全体感を把握しづらいなどの組織的な課題が生じるようになりました。それまでのように全員が経営者のように動く個の集まりから、チームとして価値を生み出す組織へと変化が必要な時期が来ていました。
再定義前のバリューは、石井が企業活動において大事な要素を①自分はどのようにふるまうか ②チームとしてどのようにコミュニケーションするか ③会社としてどのように社会とコミュニケーションするか の3つであると考え、グラファーを起業する少し前に策定したものです。
①Take a lead, Take a risk.
②Always be frank.
③Good citizenship.
会社が大きくなるにつれ、石井の中で、特に②のチームの観点において「あれ、frankってなんだろう?成果物に対して?働き方に対して?」という疑問や、「自分はメンバーの前向きなアクションを引き出すコミュニケーションができていない」という実感、「自分がどう振る舞うべきかを明確にイメージできていないことが、部門間のコミュニケーションの障壁になってしまっているのでは」という思いが生まれていました。
これら事業環境の変化、石井の思いが重なり、改めて「いままでのバリューが見落としていたことはないか」「うまく機能しなかった点がないか」「私達にとって最適なバリューは何か」を議論・検討する場として、バリュー再定義プロジェクトが発足しました。
今回、プロジェクトを進める上で私が大事にしたのが、
プロジェクトは全社一丸となって進めること
プロジェクトのアウトプットは、全て全社に公開すること
プロジェクトのゴールは、バリューを変えることではなく、定義すること
バリューは、具体的な行動に移すことができるものを定義すること
です。
バリューがミッション実現のための行動指針である以上、事業を前に進めていくためにグラファーメンバーの日常業務を助けるもの、実用的なものでなければ意味がありません。そのため、有志のプロジェクトメンバーを募り、アンケートなどでなるべく全社に働きかけながら個々人が考えるグラファーの良い点、改善すべき点を具体的なアクションの形で吸い上げ、それらをプロジェクトメンバーを中心に抽象化し、最後は石井にて言語化するというプロセスを取りました。
まずはバリューに取り入れるべき要素を抽出するため、石井へのインタビュー、全メンバーへのアンケートを実施しました。以下画像はメンバーから上がった意見を一部抜粋したものですが、
人、社会は似ている回答が多い
組織は回答に幅があり、回答数も多い
同じ観点の内容が、Goodとして回答されている場合とMottoとして回答されている場合がある
など、一定の傾向が見られました。
次に、バリューの草案作成に向け、出てきた要素からバリューに含むべきものを抽出すべく、プロジェクトメンバーで検討を開始しました。
ここに来て、本プロジェクトは、早くも存続の危機に見舞われます。
アンケート結果を参考に、グラファーの変えたくないところ、変えたいところを要素として抽出することはできましたが、どの要素をバリューに含むかという議論が全然着地しませんでした。
スピードを重視すべきなのか、長期的な価値を重視するのか。
ビジネスと公益性を両立させることが重要なのか。
トレードオフが発生したときは、何を基準にどちらを優先させるべきなのか。
そもそも、グラファーが提供すべき価値はなにか。
といった議論が発生しては、論点が発散して何を議論しているのかがわからなくなり、振り出しに戻るということが繰り返され、議論を着地させる術が見えないことに対して自分の焦りだけが募りました。
議論が着地しなかった要因は、バリューはミッション実現のための行動指針だということに立ち返ったときに、ミッション実現を通じて「グラファーは誰のどのような課題を解決するのか」「課題解決を通じてグラファーが社会に提供する価値は何か」という「価値」の意味合いが個々人でバラバラであり、結果としてそこから出てくる要素もバラバラになっていたことにありました。
そして私はここに来て初めて、「あ、自分はミッションを自分ごととして考えたことがなかったわ。。」という事実を思い知ることになりました。プロジェクトメンバーが忙しい合間を縫って喧々諤々の議論をしてくれている中で、そんな私が当然議論をまとめられるはずもありませんでした。
そこで、改めて石井を質問攻めにしてグラファーの事業特性を再整理し、グラファーにしかできない価値提供をしていくための前提を言語化したものが以下となります。
制度や法律に基づいて行われる活動を起点とした社会課題を解決するうえで、行政を避けて通ることはできません。
その行政を含む、個人、事業者という全ての経済主体と接点を持ちながら社会課題を解決してきたのがグラファーであり、この三者全てに働きかけることができる企業は、それほど多くはないと思います。
また、全ての経済主体と接点を持つビジネスモデルだからこそ、あっちを立てればこっちが立たないといったトレードオフの関係に陥りやすいのも事実です。
だからこそ、グラファーのプロダクト導入を通じ、ビフォー・アフターで価値の総量を最大化する方法を考え続け、実行していく。その実行を通じて、人々に自由と選択肢を提供し、人々の行動を変えることで社会課題を解決していくことこそが、私達にしかできない価値提供だという原点に、ようやくここで立ち返ることができました。
そしていよいよ、次のフェーズではバリュー2.0の草案が出来上がることになります。
(Part2へ続く)