こんにちは、HRの畑中です。
2023年3月、メンバーのピープルマネジメント、アサインなどプロダクト部のマネージャーとして組織マネジメントを担ってきた黑﨑が、当社の経営体制変更に伴いVP of Product(以下VPoP)兼VP of Engineering(以下VPoE)に就任しました。
本記事では、黑﨑がVP就任にあたって現時点で考えていることを通して、グラファーのプロダクト組織が大事にしていることをご紹介します。
(経営体制変更の背景については、こちらの記事をご確認ください。)
(組織もプロダクトも成長し続けるので、今後、黑﨑の考えは変わる可能性があります。)
黑﨑のプロフィール 黑﨑 脩 神戸大学大学院理学研究科を修了後、シンプレクス株式会社に入社。FX取引システムの導入/保守運用を通して、要件定義から設計、開発、運用保守とシステム開発の全行程にプロジェクトリーダーとして携わる。 その後、大学時代の友人と共に起業し、複数プロダクトを立ち上げる。2021年2月からグラファーにプロダクトマネージャーとして参画し、同年11月よりプロダクト開発組織のマネージャーを務める。2023年3月、VP of Product 兼 VP of Engineeringに就任。 |
はじめまして。この度、VPoP 兼 VPoEに就任しました黑﨑です。
VPoP 兼 VPoEに就任するにあたって、「グラファーのプロダクト開発組織はこんな組織でありたい」と社内向けに発信したところ、「社外にも公開してはどうか?」という声があり、外部公開する運びとなりました。
グラファーは、プロダクトを通して価値を届ける会社です。この記事を通して、プロダクトを開発/運用している組織が大事にしていきたいことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。
社内では、「黑﨑はマネジメントの人」というイメージが強いかも知れませんが、私は入社当初からピープルマネジメント/組織マネジメントを担っていたわけではなく、2021年2月に新規プロダクトのProduct Managerとしてグラファーに入社しました。そして、入社して半年後、この新規プロダクトをクローズすることになります。今でも、プロダクトを検討・実装していた時のこと、クローズの決断をする時のこと、色んな人にご迷惑をおかけしつつ協力してもらいながらクローズしていったことを鮮明に覚えています。(プロダクトとはそういうものだと頭では分かっていても、当時のことを思い出すと、今でも結構込み上げてくるものがあります。)
その後、認証取得プロジェクトに参加したり、複数のプロダクトの開発/運用に加わるなど、特定のプロダクトに深く入り込むというより、薄く広く複数プロダクトやそのチームのメンバーの価値観に触れることになりました。この経験の中で、グラファーでのプロダクト開発の考え方、行政ドメインの難しさを感じました。
2023年1月末に、当社の代表取締役である石井(当時は代表取締役CEO)からVP就任の話をもらった時、打診されたのはVPoPのみでした。1年半弱プロダクト部のマネージャーとして組織/ピープルマネジメントを中心に行ってきたので、打診されるならVPoE(世間的には、人/組織をマネジメントする役回りが多い)がストレートな考えだと思うのですが、VPoEではなくVPoPを打診されたのは非常にグラファーらしさを表現していると思いました。
原点に立ち返ると、グラファーは「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」というミッションを掲げている通り、プロダクトを通して提供する価値を重視している会社です。「プロダクトが提供する価値を最大化するためにVPoPが必要である」という会社の意思を感じました。同時に、会社として「プロダクトによる価値創出/トライ&エラーの重要性」を重視していること、これがグラファーへの入社の決め手の1つだったことを再認識した瞬間でした。
このような会社の意志や自分の認識を再確認した上で、チームメンバーに伝えたいのは、下記を常に考えて行動してほしいということです。
我々のプロダクトがもっと色んな人に使われるにはどうしたらいいか
継続的に価値を発揮し、どんどん新しい価値を創出するためにどうしたらいいか
価値創出のための検証(トライ&エラー)を数多く行うためにはどうしたらいいか
当社Product組織のミッションは「ユーザーにとって本質的に価値のあるプロダクトを、最速で市場に提供する」であり、特にProduct Manager/Product Developerは、ビジネス部門と協業しながら、製品の開発を主導する役割を担います。動き方としてはフルサイクル開発者に近く、ソフトウェアライフサイクルでいう「開発」だけでなく、プロダクトのライフサイクル全体に責任を持ちます。
参考:【エンジニア編】カジュアル面談でよく聞かれることにお答えします
エンジニアリングをしていると目の前の開発に集中したい時や、システムの改善すべき点が目についてしまうことがあると思います。
それらに対応する必要性は重々分かっているつもりではありますが、「今やるべきなのか?自分がやるべきなのか?」ということを、ミッションと共に上記の「考えて行動してほしい」という内容と照らし合わせて都度考えてみてほしいです。
(ただ、現場に近いメンバーの判断が基本的に正しいと思っているので、上記を考えた上で実行すると判断したのであれば是非実行してほしいとも思っています。)
これまでも様々なタイミングで話が出ていましたが、プロダクト組織は「アウトプットではなくアウトカム」を常に考える組織でありたい。「○○という複雑な機能を作った」ではなく、「○○という機能がこんな使われ方をしている」「○○という機能を使ってこんな効果があった」ということをもっともっとチームで話し合っていけたらと思います。
「システムではなくプロダクト」「アウトプットではなくアウトカム」「トライ&エラー」これらを常に意識しながら自分たちのサービスを捉え、日々の行動に移していける組織であり続けたいと考えています。
私は、VPoEも兼任することになりましたが、実は自分から経営陣に提言しました。
これまでの話と矛盾しているように思われるかもしれませんが、「プロダクトの継続的な価値提供/新たな価値提供/ アウトカムの実現」には、それを支えるエンジニアリング、特にイネイブリング(※)が必要不可欠だと思っています。
※チームトポロジーでは、コンウェイの法則を前提として、価値提供のフロー効率を高めるシステムアーキテクチャを実現させるための組織の在り方について述べられています。組織内に存在するチームの種類を4つの典型的なタイプに分類し、各タイプが果たすべき役割を整理しています。その中の1つである、イネイブリングチームの役割は、プロダクトチームに最適な選択肢を提供することです。
(余談ですが、会社としても「長期でのプロダクトによる継続的な価値創出にはエンジニアリングが重要であり、プロダクト作りにはエンジニアリングを理解することが重要」という考えが昔からあり、私自身がグラファーへの入社を決めたもう1つの理由です。)
直近1年ほどで、SRE・Securityを専任とするメンバーが入社してくれたりと、エンジニアリングを主軸とし、イネイブリングを担ってくれるメンバーも増えました。
イネイブリングを担ってくれる存在がいることで、各プロダクトチームが価値提供に集中して取り組む環境が実現できると思っています。
外部システムのセキュリティインシデントによる対応
EKSのアップグレードなどのインフラ基盤更新
デザインシステムの開発/運用
etc..
グラファーはここ数年でたくさんのプロダクトを生み出しており、PMFを達成しソースコード量も増えて歴史を積んだプロダクトもあれば、まだまだ価値を見つけていくフェーズのプロダクトもあります。そのような中、プロダクトのフェーズに関わらずトライ&エラーを重ね、最速でプロダクトを成長させていくには、イネイブリングにもしっかり取り組んでいくことが欠かせません。その思いからVPoEの兼任を申し出て、下記のような活動を担うイネーブルメントグループを作りました。
プロダクトの負債解消
新規プロダクト立ち上げ時の負債の最小化
有事の際の影響最小化
未然の問題防止
プロダクトの成長スピード最速化
etc…
ただ、私には野望があります。先述した通り、世間的なVPoEはマネジメント要素が強いと思いますが、それだけをやるVPoEにはなりたくありません。
イネーブルメントグループの担っていることがビジネスの競争力の1つとして捉えられるようなレベルにまで持っていきたいと考えています。例えば、「グラファーのセキュリティは安定しているよね。」、「アクセシビリティを常に改善し続けているよね。」、「障害が起きても復旧がすごく早いよね。」
これらがグラファーのプロダクトを選ぶ要因になるということを実現したいと思っています。イネーブルメントグループのメンバーには、サポートという側面だけではなく、自分たちがプロダクトを支えている/作っているという気持ちで取り組んで欲しいです。
CxO/VP/Mgrなど様々な役職がありますが、これらは全て配役/役割にすぎないと考えています。入社した目的は違えど、同じグラファーという船に乗っているということに違いはありません。同じ船に乗っている以上、プロダクト/組織を良くしていくことは全員が取り組むべきだと思っていますし、そこに役職/役割は関係ないと思っています。
だからこそ、メンバーには何かあればどんどん言ってほしいですし、メンバーと一緒により価値があるプロダクト/より密度の濃い組織を作っていきたいです。
グラファーのプロダクト組織に対する考え方に共感いただいた方、もっと深く話しを聞いてみたいと思ってくださった方、ぜひご連絡をお待ちしております!