2022.08.08 Mon

社員の強みを伸ばす「人事制度2.0」ができるまで。6カ月の過程と、込めた想い

こんにちは、VP of Corporateの羽生です。

コーポレート全般を担当し、主に経営観点から事業成長の道筋を示すこと、生産性向上施策の推進、社員のキャリアアップ支援をしています。バックグラウンドはHRで、これまで様々な規模の組織でHRをやってきました。

2022年に会社のバリューを新しくしたタイミングにあわせ、人事制度も刷新しました。今回は、人事制度の概要や構築プロセスをご紹介します。

私が新人事制度を作るにあたって、「形骸化せずに運用される制度」を作ることを一番大切にしました。

この記事を読んでいただいてる皆さんに、グラファーがオープンな経営を目指していること、個人のキャリア形成・能力開発と会社の成長を両立させたいと想っていることが伝わると嬉しいです。

社員の強みを伸ばす「人事制度2.0」ができるまで。6カ月の過程と、込めた想い

創業から5年。このタイミングで新制度にしたのは組織のスケールをより意識したから

私がHRとして入社したのは、2021年5月。それまでは、経営陣が社員一人ひとりと1on1をして、アサインの意図や期待値を伝えたりフィードバックを行うという方法で、人事制度が運用されていました。私が入社前に想像していたスタートアップと比較すると、「とても丁寧にコミュニケーションがとれている組織だな」という印象でした。

このように、うまくいっている状態の制度をアップデートしていく必要があったのは、以下のような理由からです。

  • 経営体制や事業の方針変更もあり、事業運営の方法を変化させる必要があった。

  • 社員数が50名を超えそうだったため、今後のスケールを見据えた組織形成をする必要があった。

  • 経営陣以外のメンバーは全員がフラットという組織から、ミドルマネジメントの役割を設置して、組織運営をする形にマネジメントの方法を変化させる必要があった。

社員数の増加、ミドルマネジメント層の設置といった意思決定。そして、人事制度の評価者の増加などに対応していくために、人事制度自体をアップデートする必要がありました。

大切にしたのは「しっかりと運用される制度である」ということ

「どういう組織や文化を作っていきたいのか」をあらわすのが人事制度

新人事制度で大切にしたのは、「どういう組織や文化を作っていきたいのか」という意志を明確にすることです。意外に思われるかもしれませんが、人事制度は大きく分けると3種類しかないため、どの会社でも制度の骨格はほぼ同じです。

では、それぞれの会社によって何が異なるかというと、「評価対象とする項目」、「評価基準」、「評価対象項目の重み付け」の三つです。この三つを通じて、会社の姿を作っていきます。

基盤として行ったのが、経営の意思を取り込むための対話

プロジェクトを開始する前に行ったのが、「どういう組織や文化を作っていきたいのか」を明確にするために行ったのが、社員との対話です。

具体的には、CEOの石井やメンバーとの対話。あわせて、バリュー再定義プロジェクトの際に取得した従業員アンケート等も参考にしながら、「グラファーをどういう会社にしたいのか?」といった経営の意思を明確にしていきました。

制度を全て作り直すのではなく、骨格を生かすことを選んだ

プロジェクト開始前にもう一つ行ったのが、プロセスの検討です。

今回は、制度を作り直すのではなく、旧制度の骨格を活かしながら新たな制度を仕上げていく進め方を選択しました。

その背景には、旧制度は不十分なところはあるものの、社内ですでに浸透した仕組みであったという点があります。旧制度は、求められる役割と報酬は「グレード(等級)」によって決められており、創業当初から「月次グレード改定制度」や、実質的な評価にあたる「半期ごとの振り返り会」が存在していました。

「制度は使われてなんぼ」なので、グラファーの中での使われやすさを考えると、フルスクラッチで作り直すのは賢明ではないと考えました。

新人事制度を作るまでの6カ月の道のり

旧制度の整理からスタート!

旧制度の骨格を活かしながら新たな制度を作ることにしたので、まずは旧制度の中から、活かすもの、変更するものを整理することから始めました。

旧制度の中で不十分だと考えた点は、例えば以下のような点です。

  • 「人事制度とは何か?」という定義が曖昧だった。

  • 事業成長を期待する側面が強く、キャリアなど個人のWillを確認する機会が少なかった。

  • それぞれの年収帯に求められる役割が不明確だった。

  • 仕事で求められる水準や期待値が、本人の認識と必ずしも合致しない場面があった。

  • 上司以外からフィードバックを受ける機会が少なかった。

このような整理を行う際には、他メンバーが前職で経験した人事制度のヒアリングや、旧制度時の従業員アンケートの結果が役に立ちました。旧制度から活かすもの、新たに組み込むものをまとめた新たな制度のドラフトを作成し、マネジメントメンバーで議論する土台を作りました。

検討プロセスでは、ミドルマネジメントでの議論を重視した

次に行ったのがメンバー間での検討です。検討の過程では、ミドルマネジメントメンバーで議論することを大切にしました。

その理由は、新人事制度を実際に運用するのはミドルマネジメントのメンバーだからです。また、現在のミドルマネジメントのメンバーは、全員が旧制度で評価される側と評価する側の両方を経験しています。

ミドルマネジメントのメンバーが、「新人事制度を前提にチームメンバーと対話できそうか」という点を何度も話し合いました。

何度も練り直した、評価とグレード改定

検討段階では、ミドルマネジメントメンバー間の議論と同時に、CEOの石井との議論も行いました。

石井からのフィードバックの中でも、特に印象的だったのが次の2点です。

  • 役職とは「配役」であり、組織の要請によって変わっていくものである。したがって役職があるなしによって、上下関係が発生するものではない。

  • 役割変更は、事業環境の変化に応じて柔軟にやりたい。したがって、月次でのグレード改定は存続させたい。

新人事制度では、このように言語化された「意思」を込められたことに価値があると考えています。

社員への個別ヒアリング

新人事制度の骨子がある程度固まった段階で、社員への個別ヒアリングを行いました。

社員に個別ヒアリングをしたり、複数の社員に集まってもらって新人事制度への要望や説明資料へのフィードバックをもらったりするプロセスを経て、制度の修正を重ねました。

中には、「給与決めルールの印象が強い」という率直なフィードバックをもらったこともありますが、制度に込めた想いを伝えながら、ブラッシュアップしていきました。

完成、そして公開!

6カ月のプロセスを経て、グラファーの新人事制度が完成しました。

完成後に行ったのが、全社への説明会です。説明会の場では、制度を登山に例えて説明しました。実はこの「登山に例えて説明しよう」というアイデアに関しては、伝え方の整理がなかなかうまくできず、2週間くらいは夢に出てくるくらい悩んだという裏話があります(笑)。


人事制度を「山を登る際のマイルストーン」と定義し、バリューは「山の登り方」、ミッションは「山の頂上に到達すること」というように、それぞれの立ち位置を分かりやすく説明しました。

全体への説明を終えたときは、ようやくスタートできたことにホッとした気持ちになりました。同時に、説明したことが実現できるよう、運用フェーズでも社内で対話を重ね、人事制度を使ってもらえるよう伴走していくことが重要だと考えています。

こうして完成した新人事制度。ポイントはバリューの定着と情報のさらなるオープン化

新人事制度。一つ目のポイントは、「バリュー(行動規範)の定着」

こうして完成した新人事制度ですが、評価指標の一つに追加したのが、「バリュー発揮行動フィードバック」です。

グラファーでは、2022年1月に新しいバリューを定義したのですが、「バリュー発揮行動フィードバック」は、360度評価で、自分自身がバリューを体現できているかについて、複数人からフィードバックをもらう制度です。

参考:『「バリュー再定義プロジェクトの全容を公開します」Part1

定期的に振り返ることによって、会社全体が同じ方向に進んでいくことを目指しています。

二つ目のポイントは、「ポジションごとの業務水準の全社公開」

新人事制度では、ポジションごとの業務水準を全社にオープンにし、社員ひとりひとりの役割や、求められている業務水準を、誰でも確認できるようにしました。全社にオープンにしているのは、オープンな会社を目指していることを体現するためです。

これにより、被評価者は現在の自分に期待されていること、上位・他のポジションが期待されることを知ることができるので、次のステップを目指すための道のりが明確になります。誰がどのような業務水準が求められているのかわかるため、ロールモデルがイメージしやすくなるというメリットもあります。

三つ目のポイントは「キャリアステップの多様性と報酬の分離」

役職と報酬を分離することで、組織への貢献の仕方に幅を持たせました。

グラファーでは、役職を「配役」だと考えています。

マネージャーとメンバーに上下関係があるのではなく、役職がある人は組織をマネージすることで組織に貢献する人であり、スペシャリストはその人が保有する専門能力を使って組織に貢献する人と考えています。

配役ということは、組織の要請や個人のキャリア志向などを踏まえ、役割が変わることがあります。裏を返せば、マネージャーであったとしてもスペシャリストであることを求めるので、常に専門性を高めていく必要があります。

同時に、役職と報酬を分離しているので、マネージャーだから給与が高いということはありません。



社員や会社の成長にあわせて変化する人事制度

新人事制度は、完成したら終わりではなく、今後も変わっていくことを前提に設計しています。現在は、全社統一の人事制度ですが、職種別人事制度の必要性の是非など、継続検討が必要な論点があると思っています。

組織のフェーズや経営方針、事業方針などを踏まえて制度を変化させ続けることで、より良い制度を追求していきたいと考えています。

グラファーの採用情報

グラファーのミッションやバリューに共感いただける方、一緒に大きな山を登ってくださる方からの応募をお待ちしています!

(今回の記事では制度の詳細説明は割愛していますが、選考過程できちんと詳細を説明しますので、ご安心ください。)

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