2022.11.08 Tue

【人気記事の裏側】カスタマーサクセスが顧客の問い合わせ数を「50分の1」にできた理由

こんにちは、グラファーでカスタマーサクセスをしている宇津木です。

グラファーでは、簡単な質問に回答していくだけで、自分に必要な手続きが洗い出せる「Graffer 手続きガイド」を提供しています。その「Graffer 手続きガイド」を利用して、市民からの問い合わせ数を50分の1にしたのが千葉県柏市。

この柏市の事例は、グラファーが発行するデジタル化情報メディアである「ガブテックトレンド」でも多くの人に読まれました。

今回はなぜ柏市が問い合わせ数を50分の1にできたのかという背景に迫るべく、カスタマーサクセスとして私が自治体の担当者とどのようなやりとりをしているのか、お話しします!

柏市事例記事:『オンラインによる保育無償化ガイドの提供で、問い合わせ数が約50分の1に。「驚くほど問い合わせが減った」柏市の取り組み』

【人気記事の裏側】カスタマーサクセスが顧客の問い合わせ数を「50分の1」にできた理由

「Graffer 手続きガイド」とは?

まずは千葉県柏市に利用いただいた「Graffer 手続きガイド(以下、手続きガイド)」について簡単にご説明します。手続きガイドとは、オンラインで簡単な質問に回答していくだけで、自分に必要な手続きが洗い出せるサービスです。

皆さんが補助金や手当てについて調べたとき、「自分は対象になるのか?」、「どんな書類が必要なのか?」と思った経験はないでしょうか?

行政は多様な状況・境遇の方に対して多くの制度を用意しています。そのためHPやパンフレットに盛り込む情報が多くならざるを得ず、市民からすると「自分に必要な情報を探すことが難しい」、「分かりにくい」と感じてしまうことがあります。

こういった悩みに対して、スマートフォンから簡単な質問に回答するだけで必要な情報を得ることができるようにしたプロダクトが手続きガイドです。手続きガイドを利用することによって、市民が情報を調べる手間・問い合わせをする負担や、自治体職員が説明や対応をする負担を軽減することができます。

顧客の問い合わせ数が50分の1に減少

この手続きガイドを活用して、保護者からの問い合わせを50分の1に削減したのが、柏市の保育課です。

柏市が使用した製品『Graffer 手続きガイド 

柏市では、手続きガイドを使用して、保育無償化の対象として保育料が無料になるかどうかを判断できる「無償化判定ガイド」と、無償化の申請時に必要となる書類を洗い出せる「無償化の申請ガイド」を作成されました。

サービスの公開後は、保護者からの問い合わせ数が減少しただけでなく、お問い合わせの内容も変化しました。以前は「必要書類は何か?」といった基本的なことから詳細まで全てを説明する必要がありましたが、導入後は「就労証明書の内容を相談したい」、「他市の施設を利用したい場合にはどうなるか」といった具体的なポイントに関する問い合わせに変化したことによって、対応にかかる時間が短くなりました。

職員の皆様からは、「お問い合わせ数が減ったことによって、他の業務に落ち着いて取り組むことができた。」、「こんなに効果があるなら、もっと早くサービスを導入すればよかった。」と嬉しい声をいただきました。

保護者の方は必要な時に必要な情報を簡単に手に入れることができて、職員の負担も軽減することができたという、まさにwin-winを実現できたのが、今回の取り組みでした。

何がKey Success Factorだったのか?

このような成果が出た柏市の取り組みですが、カスタマーサクセスのどんな取り組みが効いたのかを私なりに分析してみました。

自治体へのヒアリングを通じた適切な課題設定

当時、保育課では2019年から開始した保育無償化制度の影響で「保護者からのお問い合わせ件数が非常に多い」ということが大きな困りごとになっていました。ピーク時のお問い合わせの件数は1日100件を超えていました。さらに、この保育無償化制度はとても複雑で、1件のお問い合わせに対応するのに20分程度かかることもあり、通常業務に手が回らなくなるほどだったそうです。

また、職員にとっても制度が複雑で、市民への説明の質にばらつきが出てしまっていたので、職員の方の説明内容のばらつきを平準化したいという思いも持たれていました。

こうした中、柏市の別の部署で既に導入していた手続きガイドを通じて、この困りごとを解決できないかとご相談いただいたことがこの案件のはじまりでした。

まずは過去のお問い合わせ内容を分析したところ、お問い合わせの多くが「自分がどの制度に当てはまるのか分からない」といった疑問から発生しているものだということが分かりました。

ここから立てた仮説は

  • 「自分の家庭では保育料が無償になるのか?」
  • 「無償にするための提出書類は何か?」

この二つの疑問を解消すれば、問い合わせは減らせるのではないか?ということでした。

この仮説をもとにヒアリングを進めていくうちに分かってきたのが、保護者がこの二つの疑問を解決するためには、複雑な条件分岐をたどって「自分が該当する書類」を判断しなければいけないということでした。しかし、自治体のHPやリーフレットには、非常に多くの情報が掲載されています。保護者は、非常に多くの情報の中から自分に必要な情報を過不足なく取得できていない状態になっていたことがわかったので、この状態を解消することが課題だと考えました。

このような課題設定をしたうえで、今回のプロジェクトでは「質問に回答をしていったら自分に必要な情報だけを案内してくれるプロダクト」である手続きガイドを使うことによって、多くの問い合わせを減らせるのではないかと考えました。

「ユーザー目線」の設定支援を通じた利用者に分かりやすいコンテンツ作成

手続きガイドは情報を得ることを目的にしているプロダクトなので、操作のしやすさや見た目だけではなく、表示される情報の質も重要になります。表示されている情報の質問の意味が分からなければ、利用者は結局、役所に問い合わせをすることになってしまいます。

そのため、カスタマーサクセスでは、構築時にコンテンツの内容についてもアドバイスを行っています。
自治体職員がコンテンツを作った場合、使用する言葉や表現がどうしても自治体目線になりがちです。そのため、ユーザー目線で、つまり、市民が読んだ時にどう感じるかという観点で、「専門用語や行政用語を使い過ぎていないか?」、「質問の表現が複雑になっていないか?」といったアドバイスを行いました。その結果、例えば「補助金額」ではなく「どのくらい補助されるの?」といった表現に修正されています。

コンテンツとあわせて、質問の数や順番といった構成の設計も大切です。設計する際には、すべての人をとりこぼさないように全てのパターン・条件分岐を網羅することもできますが、レアケースまで対象にしようとすると、質問数が多くなってしまったり、説明が細かくなったりしてしまい、大半の方にとって分かりにくいサービスになってしまう傾向があります。

そこで、より多くの方にとって分かりやすいシンプルなサービスになるように掲載する内容をご提案したり、ご案内できないレアケースの方にはどのように対応したりするかといったアドバイスも行いました。

こうして完成したサービスは、単にシンプルなだけでなく、職員の方がこれまで大量のお問合せを受けてきた経験・知見が存分に生かされた、きめ細やかなものになりました。

数値をもとにした改善

サービスの公開から数か月後に行ったのが、導線改善の取り組みです。市のホームページから手続きガイドへの遷移率は23%と比較的高い状態だったのですが、リンクがボタンではなく画像となっており、利用者にとってアクセシブルな状態ではありませんでした。そこで遷移率をさらに改善する試みとして、リンクをボタンに修正するアドバイスを行いました。

ご担当者の「楽しさ」の観点も大切に

ここまでは、自治体という組織が成果を出すために行う支援についての話をしてきましたが、もう一つ大切にしているのが、「楽しさ」の観点です。

プロジェクトマネジメントの観点では、やはり「ご担当者個人」のサポートも必要になってくると考えています。手続きガイドの作成工程には、一つ一つの細かい設定が必要になってきます。その中で自治体職員の方が、その作業に「楽しみ」を感じながら構築していただくことは、より良いサービスにするためにも大切だと考えています。

そのために、打ち合わせでは、担当者の方にノッていただけるように工夫をしています。例えば、プロジェクトがはじまった頃の目的や課題を共有したり、進捗状況に合わせてフォローするような声がけを行ったりしています。このように「楽しさ」をモチベーションにしていただきながら、プロジェクトを進めることによって、より良いサービスにしたり、スケジュール通りにプロジェクトを進めたりできるように取り組んでいます。

共感いただいた方からのご応募お待ちしています!

カスタマーサクセスの仕事についてイメージが湧きましたでしょうか?

私は、ランナーの伴走者のような役割としてカスタマーサクセスに取り組んでいます。自治体職員の方と一緒に、目的を共有しながら、ご担当者がつまずいてしまいそうなところ、見失いがちなところに対してサポートすることを大切にしています。

行政のデジタル化に取り組むことは、自治体職員を通して、全国各地の地域住民の方の生活を想像しながら、彼らとどうすれば繋がれるのか、価値を届けられるのか、模索し続けることでもあります。

地方自治体のデジタル化は、社会の求めに応じて、かつてないほど進んでいくタイミングにきていると感じます。それは住民の方と自治体とのコミュニケーションの仕方も大きく変わっていくことを意味しています。その将来像に私自身ワクワクしながら、市民と行政をより近くに、そして真に市民のための行政サービスが実現されている社会を次世代に残したいと願い、日々の仕事に取り組んでいます。

この記事を読んで、少しでもカスタマーサクセスに興味を持っていただけたら、ぜひお気軽にカジュアル面談にお越しください。お待ちしています!

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